今回は、1950年代のフランス軍空挺迷彩スモックを分析します。
その迷彩パターンやデザイン、そして歴史から日本のみならず世界中でも大人気ですね。
ある理由から廃止されてしまった悲劇の迷彩服とも言えます。
今回は中古品ですが、程度は良好ですよ!
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目次
1 フランス陸軍空挺迷彩スモック(リザード迷彩・後期型)とは?
この迷彩服を初めて見たのは、「アルジェの戦い」というモノクロ映画でした。
(映画…ご存知ですか?)
最初のシーンで、テロ事件の犯人を捜査、尋問している兵士全員が着ていましたね。
今から思えば、初期型だったかもしれませんが、とにかく私は「カッコいい!」と思ってしまったのでした。
フランスはインドシナ戦争、アルジェリア戦争の相次ぐ敗北、その後のクーデター騒ぎ等があって、迷彩服=悪という認識が生まれました。
なんと国家で迷彩服を否定したのですね。
そのため比較的長い期間、迷彩服は外人部隊の一部でしか使用が許可されていませんでした。
(せっかく装備した迷彩服も、殆どイスラエルに供与してしまったようですよ。)
今回のスモックは、ちょうどその頃のモデルです。
1950年代くらいからの使用が確認できますね。
フランスの植民地や影響を受けた国でも類似品(中には粗悪な)が製造されたようですよ。
さてさて、それはどんな迷彩スモックなのでしょうか?
今回は、フランス軍装備マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
独特の迷彩がカッコ良いですね。
エポレット以外のボタンが見えないのが渋いですね!
(逆にダットファスナーは剥き出しですが…😅)
背面
生地が左右に分かれているので、ここでサイズ調整する兵士も多いです。
前面裏側
ライトグリーンの生地です。
背面裏側
迷彩は裏側まで透けていません。
前合わせはジッパーとボタンの併用。
でもボタンは8個もあり、隠しボタンなので着脱は少々面倒です。
タグは切り取られていました。
各種スタンプに注意
エポレットはテーパー付きのラウンド型で細身です。
各ポケットは、
内容量に応じてポケットフラップの位置を変えることができます。
胸の左ポケットにはジッパーで開閉する隠しポケットが!
表面にもパッチポケットがあります。
各ポケットの底部には、丈夫な麻布が縫い付けられています。これなら信管ペンチを入れていても、穴が開かないかも。
ジッパースライダーには「ELLESS」の刻印が。
袖口
隠しボタンのお陰でスッキリ これならパラシュートのラインも引っかからないですね。
先端にはゴムが内蔵されています。
(幼稚園児のスモックみたいですね。これも防寒対策の一環ですね。)
袖裏側
ボタンが裏側を向いています。
左胸ポケット上部
イスラエルに供与されたスモックの多くが、ここにイスラエル軍のスタンプがあります。
(今回のスモックには、スタンプがありません。)
各ダットファスナーの表側は、茶色っぽいOD色で塗装されていますね。
塗装の剥げが少ないことから、着用時間が短かったのかも。
襟は基本スタンドカラーで、専用のフードを取り付けるボタンが沢山ついています。
胸にはネームタグ用( ?)のマジックテープあり。
ジッパーは黒染めのブラス製
内ポケットもボタンで開閉
脇の通気口
金属製ハトメ付き
裾のドローコードは平紐で、ホールはボタンホールタイプ
色調のバリエーション(3着あります。)
左:かなりの使用
中:中程度使用(今回のモデル)
右:殆ど未使用
因みに左と右は、イスラエル軍放出品です。
専用フード(未使用)
特にタグや刻印はありませんでした。
(植民地製かもです。)
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3 その特徴とは?
迷彩は、ライトグリーンの生地に、レッドブラウンとグリーンを刷毛で乱雑に塗ったようなパターンをプリントしています。
しかも二色が重なり合っているところは、ダークブラウンになっていて、図らずも四色を用いた迷彩になる…というのは、インド軍のスモックと同じ手法です。
このパターンは、海外でリザード(トカゲ)またはブラッシュ(刷毛)と呼ばれています。なるほど、トカゲはともかく、刷毛はそのまんまですね。
じつは、この迷彩生地には、微妙な色違いやブラウンとグリーンを入れ替えたり、パターンを裏返しにプリントするなどして何種類もありますね。
(数種類のスモックデザインとも合わせて、とても複雑な体系を作っていますよ。)
生地は高級なコットンのヘリンボーンツイル(杉綾織)です。
軽量で丈夫、通気性もありますね。
(フランス軍はこの生地を多用することで有名です。)
デザインは、エポレット付き、胸ポケット×4、腰ポケット× 2、内ポケットで、胸ポケットのひとつは隠しポケットになっていますね。
面白いのは、表側の各パッチポケット内の底には、厚いリネン(麻)製のテープで補強してあるところです。
これなら、尖った工具などを無造作に入れても、ポケットに穴が開く確率が減りそうです。
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で、強度も十分ですよ。
4 製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 1960年代
・製造場所 フランス
・契約会社 フランス
・製造会社 〃
・材 質 コットン
麻
・表記サイズ 不明
(推定23)
・各部のサイズ(平置)
着丈 約71センチ
肩幅 約51センチ
身幅 約71センチ
袖丈 約54センチ
・状 態 中古良品
・官民区分 官給品
・入手方法 大阪の専門店
・入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
ところでスタンリーキューブリック監督作品映画「時計仕掛けのオレンジ」でも、冒頭のシーンで主人公に敵対するグループの数名がこの迷彩スモックを着用していましたね。
悪や暴力を表現する演出でしょうか?
でも本来迷彩服は、戦場で戦う兵士のために作られたものです。
迷彩服に罪は無いと思うのですが…。
それはともかく、実際にこのスモックを着用してみると、細かい工夫がなされていて素晴らしい戦闘服と言えます。
迷彩パターンも、現行のCCE迷彩なんかよりずっとシブいですよね!
じつはベトナム戦争で有名なタイガーストライプ迷彩は、この迷彩パターンが原型だとも言われています。
まさに歴史の証人とも言える迷彩服ですが、昨今程度の良いものは入手困難です。
イスラエル軍に供与したものは、多くが使い込まれていて酷く退色したり破損している場合が多く、購入しないほうが良いかも知れません。
(購入するならならフランス本国ものか、ベトナム残留の良品がおすすめです。でも希少で高価です😅)
オークションでは、たまに良品が出ます。
探しているあなたは、気長に待てみましょう。
(同じデザインでOD単色モデルもありますが、更に希少です。)
また、今回のモデルはその人気ゆえ、世界中でモデル品が製造されています。
日本でも1980年代に、大手ミリタリーショップが販売していました。
同時期に販売していた、英軍空挺迷彩スモックより、はるかに良くできていましたよ。
(探しています!)
また最近、中共製モデル品を見かけました。
出来は今六つでした。
(今ひとつどころではありません。)
まさか購入する方はいないと思いますが、万が一購入する場合は、当ブログを参考にして識別してくださいね。
今回は、希少でカッコ良いフランス軍の空挺迷彩スモックを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230415更新)
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参考:他のフランス軍空挺迷彩スモックの官給品に関する記事はこちらです。⬇︎
各国製造のモデル品はこちらです⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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