こんにちは!
今回は、多くのイギリス系戦闘服のルーツとなったイギリス軍空挺迷彩服を分析します。
しかし大戦後にもこのパターンの迷彩生地が使用されていたとは知りませんでした。
これは稀少品かも。
今回も、デッドストックですよ!
目次
- 1 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)とは?
- 2 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)の全体及び細部写真
- 3 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)の特徴とは?
- 4 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)の製造とサイズのデータ
- 5 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモッック戦後型)まとめ
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1 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)とは?
第二次大戦後の世界の軍装は、大きく3種類に分けることができます。
(勿論例外もありますよ。)
ひとつは、ワルシャワ条約機構を中心に装備された旧ソ連軍型、もうひとつはアメリカ軍型、最後はイギリス軍型です。
そのうちイギリス軍型軍装で典型的な戦闘服の見本になったのが、本日分析するデニソンスモックです。
既にこのブログでも、度々話題にしてきましたね。
本日は、そのオリジナルデニソンスモックの戦後型になります。
デニソンスモックは、第二次大戦中の1941年頃に開発され、戦後も細かい仕様や迷彩生地を替えて、概ね1970年代まで使用された息の長い戦闘服です。
今回のモデルは戦後型ではありますが、デザイン、迷彩生地とも、1944型デニソンスモックと酷似しているモデルになります。
戦中型デニソンスモックの記事はこちらです
でもベルギー同様、同じ時期に違うパターンのデニソンスモックが混在していたこともありますね。
(何故でしょう?)
さてさて、それはどんな迷彩スモックなのでしょうか?
今回は、イギリス軍マニアのみならず、空挺装備コレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)の全体及び細部写真
前面
美しい迷彩です。
(色調は第二次大戦中のドイツ戦車に似ていますね。)
背面
エポレットは後ろ寄りに取り付けられています。
前面裏側
一部迷彩が裏まで透けていますね。
背面裏側
ウエストのドローコードはありません。
テイルピース固定用ダットファスナーに注意
襟
ウールが暖かそう。真冬のコットンて、めちゃ冷たいですよね。
ダットファスナー表側は、グレイっぽいOG(オリーブグリーンに塗装されています。)
腰ポケットと裾調整用タブ
裾調整用のボタンは一個しかありません。
(他国の空挺スモックとの識別点ですね。)
胸ポケット
ポケットは、他国のスモックより角度が大きいです。
ダットファスナーのメーカーは「NEWEY」
ジッパースライダーの引き手は「SWIFT」と縦に刻印
ジッパー差し込み口の金具裏側に「X」の刻印が!
脇の通気口もしっかり踏襲
大戦中のモデルでは、ダットファスナーはブラスそのままでしたが、このモデルはメッキしてあります。
タグとスタンプ
内ポケット
袖ニット裏側
ニットは二段織 古いGー1みたいですね。
袖ニット表側
未使用ですが、経年の穴が😞
テイルピース固定用のダットファスナー(背面表側)
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3 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)の特徴とは?
迷彩は、大戦中のモデル同様にダークイエローに、グリーンとレッドブラウンを刷毛で大きく大胆に塗った様なパターンです。
その見事な刷毛さばきは書道甲子園の女子高生にも負けないくらい生き生きしていますね。
(これぞ、デニソンスモック!)
ブラウンとグリーンが重なり合ってる所はダークブラウンになる迷彩は、これがルーツです。
(他色を重ね合わせて違う色を出すなんて透明水彩絵の具みたいです。)
これとは別にダークグリーンの箇所もあります。都合4色迷彩といったところでしょうか?
生地は、防風織したデニムです。
これも大戦中のモデルと同様ですね。
(大戦中に使用した余剰の生地で製造されたのでしょうか?)
デザインも大戦中の1944年モデルを踏襲しています。
それ以前のモデルがプルオーバーだった事を考えると、随分使い易くなっていますね。
構成は、胸ポケット×2、腰ポケット×2、内ポケット×2で、袖口は、オリーブグリーンのニットになっています。
勿論テイルピース、襟内側のアンゴラウール、も大戦中のモデルを踏襲しています。
ただテイルピースは、使用しない時には背面に固定できる様、専用のダットファスナーが装備されているのが新しいですね。
全体的な縫製は、大戦中のモデルと比べると、丁寧です。
時間的な余裕があったのでしょうか?
4 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック戦後型)の製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 1959年
・製造場所 イギリス
・契約会社 イギリス
・製造会社 イギリス
・材質 コットン
ウール
・表記サイズ 3
・各部のサイズ(平置)
着丈 約81センチ
肩幅 約56センチ
身幅 約72センチ
袖丈 約70センチ
・状態 デッドストック
(袖ニットに一部破損あり)
・官民区分 官給品
・入手方法 愛知県で購入
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5 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモッック戦後型)まとめ
マテリアルは素朴でも、このデザインは現代でも通用する機能的なものですよね。
(なるほど、各国が類似品を作るわけです。)
また、迷彩も伝説のミリタリー雑誌「PXマガジン」によりますと、大雑把な迷彩パターンではありますが、服の皺や装備との兼ね合いで、複雑な迷彩となって効果も高いそうですよ。
素晴らしい迷彩服ですね。
今回のモデルや、以前分析した大戦中のモデルを見て、ドイツ戦車の配色に似てると思いました。
デニソンスモックの開発が1941年、英軍空挺部隊の初陣が1942年、ドイツ戦車の基本塗装変更の通達が1943年という事を考えると、デニソンスモックを入手したドイツ軍が、少ない配色で効果的な迷彩を表現できる方法をこのスモックから学んだのかも。
良いものは何でも即採用のドイツらしく、陸軍でもデニソンスモックを参考にして戦車の塗色を決定したのかもしれませんね。
それはともかく、戦中、戦後モデルを問わず、程度の良いデニソンスモックは希少で、英国本土でも少なくなっていると聞いています。
(見つけてもめちゃ高価です。)
ましてや日本では本当に見つかりません。
(絶滅危惧種です!)
もし程度の良いデニソンスモックを見つけたら即買いをお勧めします。
そして大切に保管しておきましょう!
どうしても実用で使用したい方は、数は少ないですが世界中でいくつかレプリカが作られています。
出来はいずれも実物の迫力には遠く及ばないものですが、こんなものだと妥協してガンガン使ってみましょう。
(当ブログでもモデル品デニソンスモックをいくつか分析していますよ!)
今回は、戦闘服の一方の起源ともいうべき希少なイギリス軍の迷彩服を紹介しました。
次回は、アジアの迷彩服を紹介します。
お楽しみに!
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参考:デニソンスモックがデザインの原型になった空挺スモックはこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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