今回は、1950年代のイギリス陸軍空挺迷彩スモックを分析します。
いわゆるデニソンスモックなのですが、大戦中のモデルに類似した迷彩生地が用いられていますね。
やはり、とても美しい迷彩です!
今回のデニソンスモックも、デッドストックですよ!
目次
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1 イギリス陸軍空挺迷彩スモック (デニソンスモック・P59)とは?
第二次大戦後の世界の軍装は、大きく3種類に分けることができます。
(勿論例外もありますよ。)
ひとつは、ワルシャワ条約機構を中心に装備された旧ソ連軍型、もうひとつは自衛隊を含む多くのアジア諸国で装備されたアメリカ軍型、最後はイギリス軍型です。
そのうちイギリス軍型軍装で典型的な戦闘服の原型になったのが、本日分析するデニソンスモックですね。
既にこのブログでも、度々話題にしてきました。
本日は、その有名なデニソンスモックの戦後型になります。
デニソンスモックは、第二次大戦中の1941年頃に開発され、戦後も細かい仕様や迷彩生地に変更を加えて、概ね1970年代まで使用された息の長い戦闘服でした。
(そのコンセプトは、のちのDPMやMTPの空挺スモックにまで継承されていますよ。)
今回のモデルは戦後型ではありますが、デザイン、迷彩生地とも、1944型デニソンスモックと酷似しているモデルになります。
戦中型デニソンスモックの記事はこちらです。⬇︎
でもベルギー軍同様、同じ時期に違うパターンのデニソンスモックが混在していたことも判明していますね。
何故でしょう?
そこにはもしかしたらイギリス軍独自の合理的な考え方があったのかもしれせんね。
さてさて、それはどんな空挺迷彩スモックなのでしょうか?
今回は、イギリス軍マニアのみならず、空挺装備コレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
美しい迷彩です。
(色調は第二次大戦中のドイツ戦車に似ていますね。)
背面
エポレットは後ろ寄りに取り付けられています。
前面裏側
一部迷彩が裏まで透けていますね。
背面裏側
ウエストのドローコードはありません。
テイルピース固定用ダットファスナーに注意
襟
ウールが暖かそう。真冬のコットンて、めちゃ冷たいですよね。
ダットファスナー表側は、グレイっぽいOG(オリーブグリーンに塗装されています。)
腰ポケットと裾調整用タブ
裾調整用のボタンは一個しかありません。
(他国の空挺スモックとの識別点ですね。)
胸ポケット
ポケットは、他国のスモックより角度が大きいです。
ダットファスナーのメーカーは「NEWEY」
ジッパースライダーの引き手は「SWIFT」と縦に刻印
ジッパー差し込み口の金具裏側に「X」の刻印が!
脇の通気口もしっかり踏襲
大戦中のモデルでは、ダットファスナーはブラスそのままでしたが、このモデルはメッキしてあります。
タグとスタンプ
タグ及びタグ下のスタンプ拡大
内ポケット
袖ニット裏側
ニットは二段織
古いG-1みたいですね。
袖ニット表側
未使用ですが、経年の穴が😞
テイルピース固定用のダットファスナー
(背面表側にあります。)
着用例
映画「鷲は舞い降りた」のマイケル・ケイン
(中央の人物)
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3 その特徴とは?
迷彩は、大戦中のモデル同様にダークイエロー(ライトカーキ?)に、グリーンとレッドブラウンを刷毛で大きく大胆に塗った様なパターンをプリントしています。
その見事な刷毛さばきは、書道甲子園の女子高生にも負けないくらい生き生きしていますね。
(これぞ、デニソンスモック!)
ブラウンとグリーンが重なり合ってる所はダークブラウンになる…という迷彩は、デニソンスモックがルーツです。
(他色を重ね合わせて違う色を出すなんて透明水彩絵の具みたいですね。)
これとは別にダークグリーンの箇所もあります。都合4色迷彩といったところでしょうか?
生地は、防風織したデニムです。
これも大戦中のモデルと同様ですね。
(大戦中に使用した余剰の生地で製造された可能性もありますね。)
デザインも大戦中の1944年モデルを踏襲して前合わせがフルジッパーになっていますよ。
それ以前のモデルがプルオーバーだった事を考えると、随分使い易くなっていますね。
構成は、胸ポケット×2、腰ポケット×2、内ポケット×2で、袖口は、オリーブグリーンのニットになっています。
勿論テイルピース、襟内側のアンゴラウールも大戦中のモデルを踏襲しています。
ただテイルピースは、使用しない時には背面に固定できる様、専用のダットファスナーが追加装備されているのが新しいですね。
全体的な縫製は、大戦中のモデルと比べると、とても丁寧です。
時間的な余裕があったのでしょうか?
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1959年
製造場所 イギリス
契約会社 イギリス
製造会社 〃
材 質 コットン
ウール
表記サイズ 3
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約81cm
肩幅 約56cm
身幅 約72cm
袖丈 約70cm
状 態 デッドストック
(袖ニット一部破損)
官民区分 官給品
入手場所 愛知県の専門店
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
マテリアルは素朴でも、このデザインは現代でも通用する機能的なものですよね。
(なるほど、各国が類似品を作るわけです。)
また、迷彩も伝説のミリタリー雑誌「PXマガジン」によりますと、大雑把な迷彩パターンではありますが、服の皺や装備との兼ね合いで、複雑な迷彩となって効果も高いそうですよ。
素晴らしい迷彩服ですね。
そのままサバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、登山などに使用できそうです。
今回のモデルや、以前分析した大戦中のモデルを見て、ドイツ戦車の配色に似てると思いました。
(有名な3色迷彩ですね。)
大戦後期のドイツ軍戦車の典型機な3色迷彩
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デニソンスモックの開発が1941年、英軍空挺部隊の初陣が1942年、ドイツ戦車の基本塗装変更の通達が1943年という時系列を考えると、デニソンスモックを入手したドイツ軍が、少ない配色で効果的な迷彩を表現できる方法をこのスモックから学んだのかもしれませんね。
良いものは何でも即採用のドイツらしく、陸軍でもデニソンスモックを参考にして戦車の塗色を決定したのかも。
(空軍では、大戦末期にイギリス軍風の迷彩塗装を採用していましたね!)
ところで、今回のモデルを含めてデニソンスモックは戦後も使用されたことから、大戦中のものが概ねそのまま使用されたようです。
しかし次第に大戦当時の生地が不足してきたため、別のパターンの迷彩生地を採用したのかもしれません。
別パターンの戦後型デニソンスモック
それが同じ時代に違う迷彩パターンのデニソンスモックが存在した理由ではないでしょうか?
…真実は不明ですが、いつか解明したいですね。
それはともかく、戦中、戦後モデルを問わず、程度の良い官給品デニソンスモックは希少で、イギリス本土でも少なくなっていると聞いています。
(見つけてもめちゃ高価で、即決は難しいですね。)
ましてや日本では本当に見つかりません。
(絶滅危惧種の最たるものです!)
もし程度の良いデニソンスモックを見つけたら即買いをお勧めします。
そして大切に保管しておきましょう!
どうしても実用で使用したい方は、数は少ないですが世界中でいくつかレプリカが作られています。
出来はいずれも実物の迫力には遠く及ばないものですが、こんなものだと妥協してガンガン使ってみましょう。
(当ブログでもモデル品デニソンスモックをいくつか分析していますよ!)
今回は、イギリス型戦闘服の起源ともいうべき希少な空挺迷彩スモック(デニソンスモック)を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20240218更新)
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参考:イギリス軍の各時代におけるデニソンスモック(モデル品を含む)に関する記事はこちらです。⬇︎
デニソンスモックのモデル品に関する記事はこちらです。⬇︎
デニソンスモックがデザインの原型になった空挺スモックに関する記事はこちらです。⬇︎
他のイギリス軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他国軍の空挺装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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