今回は、2010年代のイギリス軍スナイパー用迷彩スモックを分析します。
通常のモデルはコレクションしていますが、砂漠用は初めて見ました。
タグから試作品又は試験採用的なスモックのようです。
勿論、デッドストックです!
目次
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1 イギリス陸軍迷彩スナイパースモック(砂漠用・試作品)とは?
スナイパーというのはいわゆる狙撃兵のことす。
狙撃兵は通常、射撃能力の高い兵士(を集めて特別に訓練する場合もあり)に、精度の高い銃を使用させ、敵の指揮官や通信手を狙う専門の兵士ですね。
第一次大戦頃からから、この名称が使用されていますよ。
ちょうこの頃から、小銃に照準眼鏡(スコープ)を装備して、肉眼では照準困難な遠距離からの狙撃が可能になったことから、戦場では恐ろしい存在になりました。
ある時は味方の最前線で突破口を開くために、ある時は味方退却の時間稼ぎとして、場合によっては要人の暗殺にも駆り出されましたよ。
(映画「プライベートライアン」「フルメタルジャケット」「山猫は眠らない」などで、比較的正確に描かれていましたね。)
現在、各国軍(と警察)でも積極的に訓練・配備されていますね。
陸上自衛隊においても、アメリカ海兵隊を模範に、専門の部隊が編制されていますよ。
そんな狙撃兵ですが、個人装備は大きく2種類あって、
- 一般に支給される官給品装備を使いやすいように自分で改造している場合
- 専用の装備を支給される場合
があり、イギリス軍は後者が多いですね。
(第二次大戦中から、イギリス軍は狙撃兵に空挺部隊が使用するデニソンスモックを支給していました。)
今回のモデルは、そんなイギリス軍狙撃兵のために製造された試作スモックで、迷彩生地以外は通常のスナイパースモックと大差ないようです。
さてさて、それはどんなスモックなのでしょうか?
今回は、コアなイギリス軍装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう。
2 全体及び細部写真
前面
袖のニットが目立ちますね。
(ここはタンやカーキでも良かったのでは?)
背面
両袖の黒い金具や各部のループに注意
前面裏側
見えづらいですが、両胸左右に内ポケットがあります。
背面裏側
下部の大きなポケットに注意
前合わせはジッパーとダットファスナー。
タグ
なるほど試作品だけあって、NSNや契約番号がどこにも記載されていませんね。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
腰ポケットは、側面から後ろについています。
伏せて射撃することが多いのでこの配置がベストでしょうか?
ダットファスナーで開閉。
袖には偽装用ループが。
二の腕にはパットが縫い付けられています。
両袖には、偽装網を取り付けるためのフックがあります。
肘にはパットを内蔵。
背面部にも偽装用ループあり。
背中には偽装用ループが沢山あります。
パラスモックのようにテイルピース付きですね。
テイルピースは、こんな風に股間を通して前裾に留めます。
これで裾のズリ上がりを防止します。
襟はダットファスナーで立てることができます。
背面下部のポケット(通称マップポケット)が。
内ポケット
ポケット口は斜めカットの オープンタイプ。
胸上部のパット
左右にあります。
ジッパースライダーの刻印
官給品と同じメーカーですね。
裾のドローコード
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3 その特徴とは?
迷彩及び生地は、イギリス軍デザートDPMと同じです。
配色はホワイトの生地に、デザートピンクをベースにブラウンで葉や雲のようなパターンを描いてありますが、通常のDPMの色違いなんですね。
(良く見ると、同じパターンがありますよ。)
湾岸戦争に参加するため急遽作られた迷彩ですが、イギリス軍はずっとそのまま使用していますね。
デザインは、一見迷彩空挺スモックに似ています。
でも細部は似て非なるものとなっていますよ。
構成は、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2、内ポケット×2、背面裾裏側のマップポケットfですね。
特徴的なのは、胸上部(特に床尾の当たるところ)、二の腕、肘の部分に厚さ7ミリくらいのウレタンパットが予め縫い付けられているところですね。
また袖口はニットで、テイルピースも備えているのが、空挺迷彩スモックと同じですね。
これは匍匐(ほふく)や伏せ撃ち時に衣類のまくりあがりを防止するためです。
(元の生地がホワイトなので、表に出ると良くないですよね。)
加えて、各部に偽装用のループがあり、両袖には偽装網またはギリースーツを取り付けるフックと思われる金具があります。
全体的には、銃を構えたまま、あるいは照準したまま長い時間耐えられるような造りになっていますよ。
全体的な縫製は、とても正確かつ丁寧で、試作品とはいえイギリス軍らしい上質な仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 2010年代
製造場所 イギリス
契約会社 イギリス
製造会社 〃
材 質 コットン
ポリエステル
表記サイズ 180/96
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約84cm
肩幅 約46cm
身幅 約58cm
袖丈 約65cm
状 態 デッドストック
官民区分 民生品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
なかなか素敵なスモックですね。
ところで最終的にこの試作品がどうなったのか不明です。
しかし温帯や亜熱帯の森林なら、この種のスモックも必要かもしれません。
でも砂漠でも必要なものなのか少々疑問ですね。
(むしろ、デザートピンクのポンチョやテントの方が、より使えるような気がしますね。)
ただ、防寒着にはなりそうですよ。
ところで、世界の軍装品で試作型や試験採用品が、我々民間人に払い下げられることはまずありません。
それでもフライトジャケットなどは、流れてくることがありますね。
これらは後の量産型に比べて、特殊な素材が使用されたりデザインが違っている場合があり、稀少品とされています。
(日本製フライトジャケットのモデル品では、わざわざ試作品を製品化しているくらいです!)
今回のスモックは、もしかしたら超希少な「お宝」かもしれませんね。
とても興味深いスモックです。
でも残念ながら入手はとても困難ですね。
(私も偶然入手したに過ぎません。)
それでも探しているあなたは、ぜひ海外のオークションを覗いてみましょう!
今回は、試作品ながらとても珍しいイギリス軍砂漠用スナイパースモックを分析しました。
いやー軍装品って、試作品も本当に面白いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240823更新)
参考:このスモックの原型と思われるイギリス軍新旧空挺スモックの記事はこちらです。⬇︎
イギリス陸軍の砂漠用迷彩装備に関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.com * * *
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