今回は、大好評の「第二次大戦中の空挺服シリーズ」の一環で、今回も大戦中のドイツ空軍降下猟兵(空挺)用迷彩スモックを分析します。
当然モデル品です!
(相変わらずの開き直り!)
でも、ひと昔前によくあった決定的なミス(問題点?)のあるモデルですね。
中古品ですが、程度は極上ですよ!
目次
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1 ドイツ空軍降下猟兵(空挺)用迷彩スモック(陸軍テントパターン・モデル品)とは?
第二次大戦中のドイツ空軍は、そのトップに位置したゲーリングが問題でした。
何かと陸軍や海軍と張り合っていたり、航空機の航続距離延伸を見誤り、大切な制空権確保どころかドイツに敵機の侵入を許しました。
まさに悲劇ですね。
また、空軍最高指揮官ながら、細かいことにも口を出しました。
通常陸軍に所属するべき空挺部隊の保有、他国にはない独自の小火器の開発・支給、空軍戦車部隊の組織、果ては空軍戦車突撃章(?)まで作って授与したりしてました。
(空軍で戦車突撃章って…😅)
第一次大戦の撃墜王も、第二次大戦では既に時代遅れの「老害」だったのですね。
そんなドイツ空軍降下猟兵(空挺)部隊の装備ですが、絶対数が少なかったことから武装親衛隊に次いで大人気です。
特に専用迷彩スモックは貴重で、当時の官給品はとても高価になっています。
(私は官給品を見たことが無いです!←恥ずかしい自慢)
そこに商機を見出した各国のミリタリーグッズメーカーは、挙ってモデル品を開発、販売しました。
しかし、大きな誤解(?)というか認識違いから、現在ではその多くが「誤り」だとされています。
今回のモデルも、よく再現はしていますが、決定的な誤りがありましたよ。
さてさて、それはどんな降下猟兵用迷彩スモックで、どこが誤りなのでしょうか?
今回は、ドイツ降下猟兵装備コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体前面
基本的には好きな迷彩です。
前面上半身
前面下半身
背面上半身
背面上半身
背面下半身
前面上半身裏側
空軍マークのパッチ(ワッペン)がポケット越しに縫われていますね。
勿体ないです。
前面下半身裏側
背面上半身裏側
迷彩生地はリバースブルではありません。
また、裏側には全く透けていませんね。
背面下半身裏側
ウエストのドローテープ(ゴム製)の処理方法が無頓着ですね。
(実用重視?)
本来は布テープのはずなのですが…😅
前合わせはボタンのみです。
鎖骨付近のポケット
ジッパーで開閉
プルタブも再現
腰ポケット
ジッパーで開閉
ボタンホールには補強で別の生地(ナイロン)が縫い付けられています。
スモックの裾は、 ダットファスナーでズボンのように留めることができます。
右腰のホルスター
ボタンが全く違いますね。
その脇には、スモック内側の装備に対応できるよう大きなプリーツ付きです。
用途不明のループ
袖
ダットファスナーで開閉・調整
ホルスター裏側の生地(ナイロンですが本来はシルクか?)
袖は内側にもあって二重袖になっています。
右脇腹付近には、紐が縫い付けられていました。
おまけ
同じ迷彩生地で製造された装備です。
空挺ヘルメットカバー
頂部の補強生地と周囲の偽装用ループに全く違う色調のHBT生地が使用されていますね。
(当時の官給品もこんな感じでした。)
スチールヘルメットに取り付けるための金属製フックに注意!
バンダリア(弾帯)
Kar98K用ですね。
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3 その特徴とは?
迷彩は、カーキドラブの生地にブラウンとグリーンを用いて、ガラスなどの破片のようなパターンを描き、その上からブラックグリーンで縦に走る破線をプリントしています。
いわゆるスプリンター(破片)迷彩ですね。
問題は迷彩生地のパターンです。
今回のモデルの迷彩パターンは、当時のドイツ国防軍ツェルトバーン(テント)の迷彩パターンになっています。
これは、まず有り得ない事ですね。
(大戦後期の地上兵用スモックなら、或いは可能性があるかもしれませんが。)
ドイツ空軍空挺スモックの迷彩パターンは、ドイツ国防軍のパターンとは似て非なる物なのです。
迷彩パターン比較
左:以前分析したモデル(より正確なパターン)
右:今回のモデル(ツェルトバーンパターン)
色調はともかくパターンは大きく違っていますね。
前述したとおり、ドイツ空軍はゲーリングの指導の下、陸軍装備と一線を画した装備を開発・支給していました。
極端な話「陸軍と同じ物は使用しない」というスタンスでしたね。
(でも共通装備もあったのですが…😅)
なんと被服の迷彩パターンにまで、その思想が生きていたのですね。
この事実は、現代では周知の事実…のはずなのですが。
今回のモデル品は、未だ誤った認識で製造されたモデル品と言えます。
生地はおそらくコットンのツイルで、薄く軽量です。
デザインは、特徴ある当時の官給品をよく再現しています。
構成は、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2、右ヒップホルスター(拳銃入れ)で、袖は二重になっています。
面白いのは左右側面に大きなプリーツがあって、スモック自体の表面積を増やせるところです。
通常、最初はフリーガーブルゼと呼ばれるウールの制服+装備の上にこのスモックを着用するので、ある程度融通の効くデザインにしていますね。
全体的な縫製は、モデル品にしては丁寧かつ正確で、まるで日本製のような仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1990年
製造場所 不明
(おそらく中国)
契約会社 不明
製造会社 〃
材 質 コットン
ナイロン
表記サイズ 表記なし
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約105cm
肩幅 約50cm
身幅 約64cm
袖丈 約62cm
状 態 中古極上品
官民区分 民生品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
現在もなお誤ったスモックが製造されているのは、おそらくメーカーが、
- 空軍と陸軍の迷彩パターンが別物であることを知らない。
- 空軍と陸軍は、同じツェルトバーンを使用していたので、スモックのパターンも同じだと思い込んだ。
- 違いは認識しているけど、知らないふりをしている。(こだわっていない。)
- ツェルトバーンを潰して製造された実物もどきを「実物」として入手し、それをサンプルにしてモデル品を製造した。
などの理由があるのかもしれませんね。
今回の記事を参考にして、違いを認識しておきましょう!
さて今回のモデルは、迷彩生地の再現度は今ひとつですが、実用には十分な迷彩服ですね。
サバイバルゲームや野鳥観察は勿論、狩猟にも使えそうです。
むしろ、少々暗い迷彩なので、森林地帯での使用がより効果的かもしれませんね。
裾はズボンのようにできるので、邪魔にならないのも良いです。
(バイクにも使えそう?)
ただし、ヒストリカルゲーム(リエナクト)では、より正確なスモックを準備しましょう。
残念ながら現行のモデル品は大きいサイズが多く、平均的な女性にはオーバーサイズになる場合が多いです。
(逆にとても大きいサイズを購入して、仕立て直すという手もありますね。)
そうそう、ヒストリカルゲーム以外で着用する場合は、胸の鷲のマークを外しておきましょう。
(誤解を受けないように…。)
今回は、ちょっと残念なドイツ空軍降下猟兵(空挺)用迷彩スモックのモデル品を分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も本当に面白いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231123更新)
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参考:より正確な迷彩のドイツ空軍降下猟兵(空挺)用スモックに関する記事はこちらです。⬇︎
第二次大戦中の各国軍空挺関連装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他の第二次大戦中ドイツ軍迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.comwww.military-spec-an.com
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読んでいただき、ありがとうございました。
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