今回は、1950年代の旧チェコスロバキア軍の迷彩服を分析します。
チェコスロバキアといえば、これまでも個性的な迷彩服がありましたね。
今回の迷彩スモックも、他に勝るとも劣らない素晴らしい迷彩服です。
中古品で破損もありますが、程度はまずまずですよ!
目次
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1 旧チェコスロバキア陸軍迷彩リバーシブルスナイパーユニフォームとは?
今では分離していますが、かつて「チェコ」と「スロバキア」は、「チェコスロバキア」という共産主義の一つの国でした。
ミリタリー マニアの間では、優秀な兵器を造る国として有名ですね。
大戦前後の38(t)やZB26から始まって、1960年代の傘◯、現代のCz75など、私のお気に入り兵器の生産国でもあります。
また個人装備も独特です。
おおよそ用途のわからない「黄色い迷彩」で知られているサラマンダー迷彩服など、とても面白いですね。
戦後1950年代からチェコスロバキアでは各種迷彩服を開発・導入し、テストしていました。
共産圏だったこともあって、旧ソ連の迷彩も採用したりしていましたね。
今回のモデルは、そんなチェコスロバキアが1950年代から1960年代において、限定的に支給していたスナイパー用の迷彩スモックになります。
あきらかに旧ドイツ武装親衛隊ライバーマスター迷彩の影響を受けているようですよ。
さてさて、それはどんな迷彩スナイパースモックなのでしょうか?
今回はチェコスロバキア軍マニアのみならず、迷彩服コレクションベテランのあなたと一緒に、確認していきましょう!
もしかしたら不快感を感じる方がいらっしゃるかもしれません。
閲覧注意でよろしくお願いします。
2 全体及び細部写真です!
スモック
前面
フードを閉じた状態です。
スモックの造りをみると、こちらが表側のようです。
秋冬用でしょうか?
背面
一番上にプリントされたブラックの影響で、分裂効果が高そうです。
よく見ると各部に偽装用ループが縫い付けられていますね。
前面裏側
全く別の迷彩パターンです。
春夏用でしょうか?
背面裏側
フード部
とても大きいフードで、大戦中の旧ソ連軍スナイパー用迷彩ユニフォームを彷彿させます。
フードにはオリーブグリーンのメッシュが。
これはフェイスベールですね。
フードは独特の固定方法です。
(やはり旧ソ連軍の迷彩スナイパーユニフォームに似ています。)
袖ポケット
シンプルな構造
袖には手袋が縫い付けられていました。
ドローテープで開閉
胸にはフラップ付きのスリットが。
(ポケットではありません。)
これは下に着用した衣類のポケットが使えるようにとの配慮ですね。
でも、スリットフラップの上端は、縫い付けられていました。
裾のODドローテープ
手袋はミトンタイプで、親指と4指に分かれています。
引き金は手袋を脱いで?
迷彩パターン
ブラック以外のカラーは、重なり合って複雑な色調を表現しています。
フード裏面
スリットフラップは表側だけで、裏側に全部出すことができません。
勿論表側と同じ袖ポケット
手袋も同様です。
肘の補強生地は裏面に縫い付けられています。
裏面の迷彩
表側の迷彩が、少し透けています。
表側、裏側ともフードにループが縫い付けられていて、ジャケットとボタンで連結させます。
裏側のみ不滅インクでナンバリングが。
トラウザーズ
前面
背面
前面裏側
背面裏側
膝の補強生地
ジャケット同様、裏側に縫い付けられています。
腰のスリット
こちらは、裏側にも展開可能です。
股間のスリット
股間は菱形の生地が別に縫製されています。
今回のモデルは、股間に穴が…。
ウエストのドローテープ
右臀部のポケット
2個のボタンで開閉
ジャケットと同じく、裏側のみナンバリングが。
でも数字が違っていますね。
裾にはスリットと、ドローテープがあります。
股間のスリット
膝の補強生地
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3 その特徴とは?
まず迷彩ですが、表面はダークイエロー(ライトカーキ?)をベースに、グリーン、ピンクで雲やギザギザの葉のようなパターンを描き、その上にブラックでアメーバ状のパターンをプリントしています。
各色は、微妙に重ねたり、塗り残したりして複雑なパターンを構成していますね。
この色調や一部のパターン、そしてブラックの処理は、ドイツ武装親衛隊が大戦末期に使用したライバーマスター迷彩を参考にしているようです。
第二次大戦中のドイツ武装親衛隊ライバーマスター迷彩
ホビージャパン発行「GERMAN CAMOFLAGE UNIFORMS 1937▶︎1945 第二次大戦ドイツ迷彩服」より引用
そして裏面は、同じくダークイエローをベースに、グリーンとブラックグリーンで雲型を描いています。
こちらは、表側に比べると、ややオーソドックスな配色ですね。
生地はやや厚いコットンツイルで、丈夫そうです。
(今回のモデルは、オーナーの取り扱いが荒かったのか、股間に鉄条網で引っ掛けたような穴が空いています。😓)
デザインは、最初からフード付きのスモックですが、フードは人体の輪郭を誤魔化すように、とても大きなものになっていますよ。
(これは、大戦中の旧ソ連軍スナイパー用迷彩ユニフォームに例がありますね。)
スモックとオーバーパンツですので、下に着用している被覆のポケットを使えるように、スリットが設けられていますね。
面白い所では、袖に手袋も縫製されていますよ!
徹底されていますね。
(ただし、銃の引き金を引くには、手袋を脱がなければいけません!)
全体的な縫製は、時代を考えると正確かつ丁寧で、チェコスロバキアの高い技術を感じる仕立てですよ。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1960年代
製造場所 チェコ
スロバキア
契約会社 チェコ
スロバキア
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 不明
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
スモック
着丈 約65cm
肩幅 約60cm
身幅 約68cm
袖丈 約55cm
トラウザーズ
ウエスト 約53cm
着丈 約114cm
股上 約37cm
股下 約77cm
裾幅 約26cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 5(まず無理)
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5 まとめ
狙撃兵は、その任務ゆえ特殊な装備を支給される場合があります。
今回のモデルは、まさにその典型と言える装備かもしれませんね。
アメリカ式軍装を採用せざるを得なかった我が国では、全く思いもつかなかった装備です。
また、こんな所にもドイツの影響が残っているのが驚きですね。
(でも、そんな素晴らしい迷彩服の系譜も途切れてしまいましたが…。)
それはともかく、この迷彩も日本でどんな効果があるのか確かめてみたいですね。
今回のスモックは、一見スイス軍のライバーマスター型迷彩にも似ていますが、市中に出回っている品数には雲泥の差があります。
今回のモデル…とても稀少ですよ。
私も偶然、それも奇跡的に入手できたものです。
今後もなかなか見つからないと思います。
でも、どこかで見つけたら、程度に関わらず購入しておきましょう!
絶滅危惧種を保護するのは、ベテランコレクターの責務ですよ!
今回は、旧チェコスロバキアの稀少な迷彩スモックを分析しました。
いやー、軍装品って本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230905更新)
おまけ
追記(20191229)
ユニフォームの収納袋が見つかりました。
リバーシブルですが、別の迷彩生地のようです。
(この生地の迷彩服も入手しなくては!)
表側
裏側
参考:各国のスナイパー装備に関する記事はこちらです。⬇︎
スナイパーにも優先的に支給されたスモックはこちらです。⬇︎
ドイツライバーマスター迷彩の影響を色濃く残す迷彩服はこちらです。⬇︎
他のチェコスロバキア迷彩服はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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