今回は、1960年代のアメリカ軍フィールドジャケットを分析します。
有名なM65ですね。
歴史あるM65フィールドジャケットは、実はこのモデルから始りました。
中古品で状態はあまり良くありませんが、識別点が判っていただいたら幸いです。
目次
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1 アメリカの軍M65フィールドジャケット(1st:最初期型)とは?
前作M51フィールドジャケットで、ある意味戦闘服の頂点を極めたアメリカ軍。
でも朝鮮戦争でバトルプルーフを受けたM51は、前線から多くの問題点が指摘されました。
(詳しくは下のM51フィールドジャケットの記事をご覧ください。)
朝鮮戦争終了後、早速アメリカ軍はM51フィールドジャケットの改修に乗り出します。
そしてベトナム戦争真っ盛りの1965年に、新しいフィールドジャケットを採用しました。
それがM65フィールドジャケットでした。
今回は、その一番最初のモデルになります。
これまで分析した中期型、最終型と、どう違うのでしょうか?
今回はコアなM65ファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
(なお、官給品は当初OG(オリーブグリーン)しかありませんでした。迷彩は1980年代のウッドランド迷彩(3rd)からになります。)
2 全体及び細部写真です!
前面
一見その後のモデルと大差ありませんが…。
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーと ダットファスナーです。
サイズタグ
下は元オーナーの認識番号でしょうか?
品名タグ
契約年度が示されていませんが、1966年頃の契約品です。
後のモデルにあるエポレットとボタンがありませんね。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
ポケットフラップ裏側には本来の生地の色調が残っていますね。
腰ポケット
こちらもダットファスナーで開閉。
ネイムタグ
分厚いコットンキャンバス製のタグ
陸軍タグ
薄いODナイロンツイル製
部隊マーク
両側にあります。
レギュレーションはそうでしたっけ?
袖
立体裁断で、通常の状態では緩やかに曲がっています。
袖口はマジックテープで開閉
コットンポプリンのマチがあります。
ジッパーは「CONMAR」のアルミ製
(スライダーとプルリングはブラス)
チンストラップは、シェルと同じ生地でしっかり作られています。
左襟に残っていた金属の階級章
上級曹長です。
背中のアクションプリーツも最初期型から。
データタグ 欠損でした。残念!
ウエストのドローコード
腰ポケット内の生地は生成りです。
裾が不意にめくれると、とても目立ちますね。
夜戦では7.62mm 54R弾が容赦なく飛んできたかも?
勿論フードも最初期から装備
襟裏のジッパーもアルミです。
これも意外と目立ちますね。
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3 その特徴とは?
まず目につくのは、M38フィールドジャケットから続くエポレットが廃止されているところです。
これが最初期型の一大特徴ですね。
その後エポレットはすぐに復活し(頭の硬い陸軍からクレームが入ったのでしょうか?)、以降ウッドランド迷彩のモデルまで継承されました。
その他では、ジッパーが全てアルミ製です。
(スライダーもシルバーにメッキされていますね。)
これで軽量が図られています。
でも実際は、アルミ合金であるため脆く、錆びると極端に変形してジッパーの開閉ができなくなる欠点がありました。
(M51系からアルミ合金が用いられていましたが、M65系は何故か錆が多いですね。)
また、襟を立てるとジッパーが意外に目立ちます。
結局1970年代の中期型からは、ブラスに変更されました。
本当の軽量化は、YKK製のプラスティックジッパーを採用した後期型まで待つことになります。
生地は、コットンとナイロンのサテンで、厚く重いです。
(今回のモデルは、使用に伴う褪色が甚だしいです。)
あと腰ポケット内の生地が生成りのコットンが使用されていますね。
M65は、ライニングの裾をシェルに縫い付けていないので、裾がめくり上げられると、ポケットの生成りがとても目立ちます。
同じ理由で、タグがホワイトなのも目立ちますね。
全体的な縫製は、ちょうどこのモデルから丁寧さは無くなって、少々雑になってきました。
でも強度は抜群な仕立てですよ。
今回のモデルはサイズがM–Rですが、日本人男性サイズのLサイズよりややゆったりしたサイズ感です。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1966年頃
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ M–R
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約78cm
肩幅 約50cm
身幅 約61cm
袖丈 約61cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 4(極めて困難)
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FS8 アメリカ軍 実物 US ARMY M65 フィールドジャケット 1st
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5 まとめ
1965年採用のM65フィールドジャケットですが、改良されつつアメリカ陸軍ではACU迷彩のモデルまで製造されました。
現在のマルチカムのモデルはまだ確認できていませんが、おそらく採用は見送られたのではないでしょうか?
もしそうでも、一国の軍隊で50年以上使用された息の長い戦闘服になりますね。
これはそのまま、M65フィールドジャケットの優秀さを示すものだと思います。
またその秀逸なデザインは、世界中で模倣され現在に至っています。
(敵も味方もM65…なんてこともあったかもしれませんね。)
さて、今回のモデルですが記念品的にマニアがコレクションするならともかく、一般の方は手を出さない方が良さそうです。
(希少価値を強調してとても高価で販売されていル場合がありますよ。)
ただ、もしデッドストックでジッパーに錆のないモデルを見つけたら、万難を廃して購入しておいた方が良いかもしれませんね。
生産量が極端に少ない今回のモデルは、人気があって年々価格が上がっています。
良い状態のジャケットは、将来きっとあなたを助けてくれますよ。
そういえば、昨今国内外のモデル品メーカーが今回のモデルを製造したとの情報があります。
タグを加工し、使用感を加えた官給品もどきが出回るかもしれません。
呉々も騙されないようにしてくださいね。
正式は外れたかもしれませんが、M65フィールドジャケットはとても機能的なジャケットです。
ライナーや別装備のハードフードを取り付けることにより、防寒性能も各段に向上します。
サバイバルゲームは勿論、狩猟、野鳥観測、ツーリング、各種作業等々、全てのシーンで使えるジャケットと言えますね。
市販品も多く、カラーやサイズも各種あることから、まさに老若男女誰もが使用できるジャケットですね。
この素晴らしいジャケットを、ぜひ皆さんも着用してみてください。
おすすめですよ!
今回は、M65フィールドジャケットの一番最初のモデルを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240602更新)
参考:M65の前身であるM51フィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルの後に開発されたM65(OG)に関する記事はこちらです。⬇︎
アメリカ軍正式採用の迷彩生地M65フィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
ベトナム戦争期の各国装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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