今回は、1950年代のフランス軍空挺迷彩ユニフォームを分析しまします。
残念ながら、ある国に供与されたモデルになります。
(これだけでマニアのあなたには判ってしまいますね。)
スモックは極上品、トラウザーズはデッドストックですよ!
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目次
1 フランス陸軍空挺迷彩ユニフォーム(リザード迷彩)とは?
第二次大戦前中、ドイツに僅か1ヶ月で敗北したフランス。
戦前ドイツとの国境に強大なマジノ要塞を建設、これでドイツ軍の侵攻を阻止できると国民は本気で安心していました。
ところがドイツ軍はこの要塞を無視、迂回してフランスへ攻め込みました。
無用の長物と化した要塞に閉じこもっていた多くの兵士は、どんな気持ちだったのでしょうね?
戦争は、安心した方が負けるのでしょうか?
それはともかく、戦後フランスは強大なライバルであったドイツ軍を徹底的に研究します。
それは兵器のみならず、個人装備にも及びました。
特にドイツ軍が装備した先進的な迷彩装備は、フランスに大きなショックを与えます。
そんな発想は、フランス軍の誰も持っていなかったからですね。
フランスでは、通常の装備を整えつつ、戦後一早く迷彩服の研究・開発に乗り出しました。
折しもフランスの植民地が危機的状況であったことから、開発した迷彩服は紛争地域に展開する一部の部隊に支給されましたね。
まずは空挺部隊と外人部隊に支給されたこの迷彩服は、いつしか世界中で「リザード(トカゲ)迷彩」と呼ばれるようになりました。
それが今回のモデルです。
今回のスモック及びトラウザーズも、後期型になります。
さてさて、それはどんな迷彩ユニフォームなのでしょうか?
今回は、フランス軍空挺マニアのみならず、リザード迷彩ファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
スモック
前面
あまり使用されていないため、迷彩が鮮やかに残っていますね。
背面
相変わらず迫力のある迷彩ですね。
前面裏側
生地が厚いので、迷彩は裏側に透けていません。
背面裏側
前合わせはボタンとジッパーです。
ボタンの数がとても多く少々面倒ですね。
タグ
シンプルです。
エポレット
テーパー付きのラウンドタイプです。
右胸ポケット
3個のダットファスナーで開閉
ポケット容量に合わせて、ダットファスナーの留める位置を変えられます。
左腰ポケット
胸ポケットと同様です。
右胸ポケット
右側にジッパーで開閉する隠しポケットがあります。
ポケット表面には小さなペンポケットがあります。
袖口にはゴムを内蔵
ボタンで開放することができます。
ポケットは表に露出しないよう内側に取り付けられていますよ。
脇の通気孔
4個の金属製ハトメ。
襟はジッパーで立てることができます。
襟の裏側にはフード取り付け用のボタンが4個あります。
内ポケット
タブとボタンで開閉します。
今回のモデルは、残念ながらイスラエルに供与されたものです。
フランス軍のスタンプの上から、それを打ち消すようにイスラエル軍のスタンプが押してあります。
(何故か胸ポケットの上には、いつものスタンプがありませんでした。)
ダットファスナー
ODの塗装。
トラウザーズ
前面
背面
前面裏側
背面裏側
サイズタグとフランス軍スタンプ
トラウザースにはイスラエル軍のスタンプはありませんでした。
前合わせはボタンのみです。
腰のサイドには3個の ダットファスナーが付いたポケットフラップがあります。
開けるとスラントポケットが。
ウエストには金属製バックル付きのサイズ調整タブもあります。
膝ポケット
中央にプリーツがあって、ダットファスナーで開閉
臀部にも左右2個のポケットが。
ダットファスナーで開閉。
内側にはボールペンでサイズと記号が記入されていました。
ウエスト部裏側
裾のドローコード
おまけ
専用フード(デッドストック)
左側面
右側面
右側面裏側
フードの各縁には同じ生地で補強されていますね。
左側面裏側
前縁のドローコードはODの平紐タイプ。
前面
背面
取り付け用のボタンホールも4個
謎の文字?
そして謎のナンバリング。スポンサーリンク
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3 その特徴とは?
迷彩は、ライトグリーンの生地に、ダークグリーン、レッドブラウンを刷毛で勢い良く塗ったようなパターンです。
面白いのは、グリーンとブラウンが重なった所が、マホガニーブラウンになっている所ですね。
(使用されているカラーは3色ですが、都合4色迷彩になっていますよ。)
これは、大戦中のドイツ軍武装親衛隊迷彩スモックや、イギリス軍デニソンスモックに見られる手法です。
生地は薄めのヘリンボーンツイルで、軽量ながら丈夫ですよ。
デザインは、スモックが初期型と同じ4ポケット+隠しポケットですが、着丈を長くしてコートタイプに変更されています。
また、袖口もストラップから、ボタンで調整するタイプに変更、袖口にゴムを内蔵していますね。
残念ながら、初期型のテイルピースは廃止されています。
トラウザーズは、腰スラントポケット×2、ヒップポケット×2、膝ポケット×2で、スラントポケットのフラップに3個のダットファスナーが使用されているのが特徴です。
全体的な縫製は、とても丁寧かつ正確で、当時のフランスの高い技術がうかがえます。
とても機能的かつ効果的な迷彩服ですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1950年代
製造場所 フランス
契約会社 フランス
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 32
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
スモック
着丈 約79cm
肩幅 約52cm
身幅 約70cm
袖丈 約59cm
トラウザース
ウエスト 約44cm
股上 約37cm
股下 約83cm
着丈 約11cm
裾幅 約24cm
状 態 中古極上品
(トラウザースはデッドストック)
官民区分 官給品
入手場所 大阪の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
戦後開発されたこの迷彩服ですが、フランス本国ではすぐに使用禁止になります。
主たる支給先の空挺部隊が、あろうことかクーデターを企てて失敗し、関係者が処分されるという事件が発生したからです。
この事件を受けて、フランス国内ではいつのまにか「迷彩服=暴力」というイメージが浸透したようですね。
そのため、せっかく世界でも早い段階で装備していた迷彩服は、早々にお蔵入りとなってしまいました。
(やはりフランスって、ちょっと…いやかなり変ですね。)
そして、使用されなくなった迷彩服は、殆どイスラエルへ供与されたのでした。
以降、フランス軍は個人用迷彩服の導入に遅れたのは言うまでもありません。
軍装備品の使い勝手や効果、威力ではなく、国民の気分を優先させる国は戦争に勝てません。
これはフランスが二つの大戦で学んだことではないかと思うのですが?
(インドシナ戦争でも強固な要塞を築きながら、ベトナムに完敗していますね。)
それはともかく、この迷彩パターンは、日本のフィールドでも効果が期待できますね。
サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測などに使用できそうです。
(ポケットが沢山あるので便利ですね。)
さて、この迷彩服ですが、国内外でも品数が少ないことで有名です。
絶対数が少なかったことや、コアなマニアがいて、なかなか手放さないことも原因のようです。
(モデル品も発売されていますが、現在ではこれも品薄ですね。)
また見つかっても程度の悪いものが多く、逆に程度が良かったらとても高額です。
でも、稀にネットオークションに良品が出品される場合がありますよ。
もし、程度が良ければ将来のために購入しておくのも良いかもしれませんね。
気長に待っていただけるなら、今回のモデルもオークションに出品する予定です。
(その時は、ブログで告知しますね。)
今回は、フランス軍古の空挺迷彩スモックセットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231214更新)
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参考:過去のフランス軍空挺迷彩スモックに関する記事はこちらです。⬇︎
その他のフランス軍リザード迷彩服はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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