今回は、1950年代のアメリカ軍防寒パイロットスーツを分析します。
残念ながら現在は後継モデルにバトンタッチしているようですね。
(だからこその放出品でしょうか?)
残念ポイントもありますが、なかなか程度が良いですよ!
(なんとか修理する方法を考えなくては…。)
目次
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1 アメリカ空軍防寒パイロットスーツCWU-1P(2種)とは?
現代の殆どの軍用機は暖房が完備されていて、パイロットは上空でも快適に操縦できるようになっていますね。
しかし、ジェット機(ジェットエンジンを搭載した航空機。プロペラの有無は関係ありません。)の黎明期には、まだまだ不十分な機体がありました。
必然的にフライトジャケットなどのパイロット用防寒装備も開発されましたが、パイロットスーツ(多くの場合カバーオール(つなぎ))自体も防寒を目的としたものが開発されましたよ。
アメリカ軍の場合、以前も分析したMD-3系などがありましたが、試作品的なイメージで、各部に改良の余地がありましたね。
今回のモデルは、その後に採用されたモデルになります。
(カラーは2種類準備しました!)
より常識的(?)かつ利便性を追求した、使い勝手の良いデザインに改良されていますよ!
さてさて、それはどんなパイロットスーツなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍パイロット装備マニアのみならず、バイカー(ライダー)のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
⑴ セージグリーンモデル
全体前面
前面上半身
大きな襟が特徴ですね。
前面下半身
全体背面
背面上半身
背面下半身
前面上半身裏側
レーヨンがピカピカですね。
前面下半身裏側
背面上半身裏側
背面下半身裏側
襟周辺
襟裏側
襟裏にはジッパーが!
タグ
FSN(フェデラルストックナンバー:連邦物品番号)が記載されています。
でも年度が記載されていないのは、1950年代末から1960年代初めの製品ですね。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
腰のスリット
ジッパーで開閉
ポケットではありません。
開けると裏地が…。
右膝ポケット
ジッパーで水平に開閉
ふくらはぎポケットと足首のジッパー
ふくらはぎポケット
左膝ポケット
こちらはほぼ垂直のジッパーで開閉
左袖のシガレットポケット
ジッパーは全て「COMMAER」
製品によっては鋳造性スライダーもあり。
ウエスト背面のボタン
このボタンはもしや…
ボタンを外すと…
やはり全体を開く事ができました。
これでトイレも安心!?
(いちいち上半身を脱がなくても大丈夫!)
ここの開口部は、内部は一枚生地が足されていて、冷気の侵入を防いでいます。
袖は立体裁断で、少々曲がっています。
袖口は、ボタンとタブで調整できます。
袖口の裏側には、毛布のような起毛生地が縫い付けられています。
前合わせはジッパーのみですが、内側にストームフラップがあります。
ジッパーは勿論上下から開くことのできるダブルジッパーです。
襟裏のジッパーを開けると、中に簡易フードが入っていました。
フードは薄いナイロン製です。
内股にはタバコの灰(?)を落とした跡が…。😞
(だから激安でした!)
修理方法はないものでしょうか?
幸いにもライニングには貫通していません。
ナイロンの弱点ですね。
⑵ インディアンオレンジモデル
全体前面
眩しいばかりのオレンジ色ですね。
前面上半身
前面下半身
全体背面
背面上半身
背面下半身
前面上半身裏側
ライニングはさらに眩しいです。
前面下半身裏側
背面上半身裏側
背面下半身裏側
襟周りレイアウト
前合わせはジッパーのみでストームフラップ(ウインドシールド付)
タグ
1960年度契約品です。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
ウエストのサイズ調整タブ
ボタンで開閉
腰スリットとポケット
右膝ポケット
水平のジッパーで開閉
左膝ポケット
垂直のジッパーで開閉。
左内股のナイフポケット
足首のジッパー
マチ付きですね。
足首ポケット
(ジッパーで開閉)
袖
袖口はボタンで開閉・調整
裏は起毛した生地
袖ポケット
ジッパーで開閉
前見頃のジッパーは上下から開くことのできるダブルジッパーです。
(何故か下側は「CC」ジッパー!)
上のプルタブは鋳造製なので経年劣化で折れる場合があります。
要注意ですね。
背面ヒップ付近はボタンで水平に開放できます。
襟裏のジッパー
襟内には簡易フードを内蔵
襟のドローコード付け根
ブラックのレザーで補強されていますね。
襟裏のジッパーも「CC」でした!
ポケットのダットファスナー
2つの生地と色調を合わせていますね。
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3 その特徴とは?
シェル(外皮)は、セージグリーン(またはインディアンオレンジ)のナイロン製で、ライニング(内張)はシャンパンゴールド(またはオレンジ)のレーヨン製です。
イメージ的には、フライトジャケットL–2Bの材料で、パイロットスーツを作ったような感じですね。
(だからインターライニング(中綿)はありません。)
デザインは、胸、腰、膝、ふくらはぎにポケット×2、内股のナイフポケット、袖ポケットで、当時の夏季用パイロットスーツK–2Bに似ていますね。
しかし、フード内蔵の大きな襟、腰ポケットの角度と開閉方法が違っています。
特筆すべきは、ウエストの背面がボタンで開放できるスリットが設けられている事です。
MD–3は、股間の垂直ジッパーでシェルが左右に分かれるタイプでしたが、今回のモデルは上下に分かれるので、より常識的ですね。
ボタンでの開放は少々面倒ですが、これで随分使い易くなりましたよ。
全体的なサイズ感は、表記よりやや小さい感じで、普段MRまたは40インチの私でもLRくらいが着用できます。
下に何か着込むことを考えると、1サイズ大きいものが良いかもです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1950年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ナイロン
レーヨン
表記サイズ M–R
(日本人のM〜L)
各部のサイズ(平置)
セージグリーン
着丈 約149cm
肩幅 約47cm
身幅 約59cm
袖丈 約57cm
ウエスト 約49cm
股下 約65cm
裾幅 約19cm
オレンジ
着丈 約150cm
肩幅 約46cm
身幅 約58cm
袖丈 約62cm
ウエスト 約50cm
股下 約66cm
裾幅 約22cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 愛知県の専門店
入手難易度 2(やや困難)
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5 まとめ
今回のモデルは開発以来、1990年くらいまで使用されていましたが、現在は後継の難燃繊維でできた防寒難燃パイロットスーツ(CWU–64P)が採用されています。
(ということで、今回のモデルはとっくにお役御免になっていました。)
でも、年配のコレクターは今回のモデルを気に入っている方が多いようですよ。
確かに、なかなかのヘビーデューティ感があるパイロットスーツですね。
デザインからも判るように、このパイロットスーツは、下着(または防寒下着) の上に直接着用するスーツです。
よく、夏季用のパイロットスーツの上に着用すると誤解されていますね。
確かにそうやって着用する場合もあります。
しかしトイレでの使用を考えると、二度手間になりますよね。
さて今回のモデルを実際に着用して真冬の日本海ツーリング(バイク)に行ってきました。
冬なので、ジャージ上下の上に今回のモデルを着用、さらにN–2Bも着て走りましたが、下半身が結構寒かったです。
パイロットスーツとしての防寒性能は、然程でもないようですね。
でも気温がやや高い秋や春は問題なく使用可能できそうですよ。
真冬には、このスーツの上にF–1系のオーバーパンツを履くと良いかもしれません。
(今度やってみます。)
ところで約20年前までは、両モデルとも箱入りデッドストックが比較的安価で販売されていましたが、昨今程度の良いものは年々価格が上昇傾向にありますね。
特にインディアンオレンジのモデルは、アメリカ本土防空隊のみにしか支給されておらず、さらに希少です!
入手される場合は、お早目に!
今回は、アメリカ空軍の防寒パイロットスーツを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみ!
(20240903更新)
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参考:アメリカ空軍のパイロットスーツに関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.comwww.military-spec-an.com
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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