今回は、1960年代のアメリカ軍M65フィールドジャケットを分析します。
これまでも数種類のM65フィールドジャケットを分析してきました。
でも今回は、1stモデルを改良した2ndモデルと呼ばれているものです。
中古品ですが程度は良好ですよ!
目次
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1 アメリカ軍M65フィールドジャケット(OG・2nd)とは?
ところで皆さん、「タクシードライバー」という映画を観たことがありますか?
マーチン・スコセッシ監督作品、ロバート・デ・ニーロ主演の素晴らしい映画でしたね。
(シビル・シェパードさんが素敵でしたね💕)
その映画でベトナム戦争の帰還兵である主人公トラビスが、意を決して行動を起こそうとした時に着ていたのが、今回のモデルです。
トラビスは、映画の前半で大戦中のウインターコンバットジャケット(通称タンカースジャケット)を着ていました。
しかしあるギミック(?)が必要だったため、従軍時に愛用していたM65フィールドジャケットを着用したという設定のようです。
映画を見ると、やや疑問点もありますが、立派に主役を支えていましたね。
さて、そのM65フィールドジャケット(2nd)ですが、折角1stで廃止したある物が復活していました。
でも最新のACU(アメリカ陸軍グレイ系デジタル迷彩)では再び廃止されましたね。
さてさて、2ndモデルは、1stモデルからどう変化したのでしょうか?
今回はM65フィールドジャケットファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
一番大きな変化は、肩のエポレット
背面
前面裏側
ライニングはコットンポプリンです。
背面裏側
何故か背中のタグがオフセットされていますね。
前合わせはジッパーと ダットファスナーです。
タグ①
1968年度契約品です。
これを基準とするなら、1stモデルは2〜3年程しか製造されなかったのでしょうか?
タグ②
エポレット
テーパーなしのクサビ型です。
2ndではM51フィールドジャケット以来ですね。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
腰ポケット
こちらもダットファスナーで開閉
袖は立体裁断で、やや曲がって縫製されています。
袖口はマチ付きで、マジックテープで開閉
背中のアクションプリーツ
メインジッパー
かなりの使用感ですね。
表面のメッキが剥がれています。
歯のアルミ合金は、条件が悪ければ腐食で膨張し、ジッパーが作動しないこともありましたね。
襟裏のジッパー「RAPID」
ウエストのドローコード
内側のボタンはライナー用です。
チンストラップは、生地とは別のテープが縫い付けられています。
メーカーによっては、シェルの生地でチンストラップを作って縫い付けているところもあり。
襟裏から引き出せる簡易フードは標準装備です。
簡易フードのドローコード
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3 その特徴とは?
最も顕著な特徴は、エポレットが復活していることです。
エポレットとは別名「ショルダーループ」ともいって、ボタンやダットファスナー、近年ではマジックテープで留めるタブの事です。
(自衛隊ではエポレットの事をよく「肩章」と呼んでいますが、肩に付ける記章が「肩章」であり、本来の名称ではありません。)
これは階級章を付けたり、肩に掛けた装備品がずれ落ちないようにするのが目的です。
(私が新入隊員の頃は、サスペンダーはエポレットの下に装着しろと教わりました。X型サスペンダーは肩からずれ落ちることがありましたね。)
第二次大戦以降の戦闘装備は、ピストルベルト(弾帯)にマガジンパウチ(弾納)、イントレンチングツール(携帯ショベル)、バイヨネット(銃剣)などを装着して、それをサスペンダーで吊るというのが基本スタイルでした。
しかし、現代ではジャケットの上に着用するベスト型のボディーアーマーやウェブベストが発達してきているため、各国ともエポレットを廃止する方向にありますね。
生地はOGのコットンとナイロン混紡のサテンです。
ライニングはOGのコットンポプリンで、1stと変わりません。
(メーカーや時期によってはグレイのポプリンモデルもあり。)
デザインは、胸ポケット×2、腰ポケット×2で、M43フィールドジャケットから継承されていますね。
腰ポケットの内側生地は、1stに引き続き生成りです。(裾がめくれると目立ちます。)
全体的な縫製は、やや雑で不正確ですが、強度は抜群です。
1st、2ndは、各ジッパーがアルミ合金製ですが、保管状況によっては腐食して作動不良になる場合があるので要注意です!
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1968年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ナイロン
表記サイズ M–R
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約79cm
肩幅 約53cm
身幅 約60cm
袖丈 約61cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 徳島県の専門店
入手難易度 2(やや困難)
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5 まとめ
1stモデルで廃止されていたエポレットが何故復活したのか?
詳細は不明ですが、各国とも頭の固い古参兵や高級士官などが居ますので、何処かからクレームが付いたのかもしれませんね。
とは言え、その後しばらくこのデザインが踏襲されていったのは、やはり必要性があったためでしょうか?
面白いですね。
実用面では賛否が分かれるところですが、ファッション面では…エポレット付きがカッコ良い気がします。
機能的で防寒能力の高いところは、些かも変わっていません。
先の映画タクシードライバーですが、トラビスは右腕に小さなピストルをワンアクションで飛び出せるような仕掛けを作って、素肌にM65を着用していました。
しかし、トラビス役のロバート・デ・ニーロに適正なサイズ(おそらくS–L又はM–L)を着用した場合、あの仕掛けは無理だと思います。
M65フィールドジャケット(それもロング丈)には、それほど袖に余裕が無いように思うのですが?
映画では、この部分のみサイズの大きい袖をつけていたのでは?…なんて思いました。
(根拠なし。)
さて今回のモデルですが、ジッパーがブラスやプラスティックに変更された後のモデルより、平均高価で取引されています。
やはり希少性が原因だと思うのですが、アルミジッパーは脆弱で実用には適さないようです。
実用目的の方は、後のモデルを購入するのが良いですね。
(特にYKKジッパーを使用した4thモデル以降がおすすめです。)
ただし、将来を考えているマニアの方は、ぜひ1st、2ndのデッドストック入手を考えてみてください。
購入する場合は、ジッパーの稼働状況や腐食状況をよく確認しましょう。
(襟のジッパーも忘れずに確認!)
今回は、アメリカ軍M65フィールドジャケットの2ndモデルを分析しました。
いやー軍装品って、本当に面白いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231110更新)
参考:M65フィールドジャケット(OG単色)に関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.comwww.military-spec-an.com
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読んでいただき、ありがとうございました。
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