今回は、1960年代と思われるオーストリア陸軍迷彩生地を使用した特殊なフィールドコートを分析します。
一時代前のクラッシックなデザインが特徴ですね。
写真撮影をしていると、ある疑念が湧いてきました!
中古品程度は良好ですよ!
目次
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1 オーストリア陸軍迷彩フィールドコート(官給品テント生地製・モデル品・ローカルメイド)とは?
いつの時代にも軍隊のあるところ、官給品に似ていますが明らかに違ったデザインの衣類や装備を身に付けている兵士を見ることがあります。
国軍の兵士には、国から官給品の衣類や装備が支給されますが、それが必ずしも戦場でベストとは限らない場合があるのですね。
(あるいは官給品なんて!…と、目の敵にする輩もいますね。😡)
そんな官給品に満足しない兵士は、
- 故郷で市販されている高級品を私費で購入して持参
- 現地で販売されている市販品を購入
- 個人または部隊で現地の業者に新規に発注
- 個人または舞台で官給品を現地業者に持ち込んで改造
したりして装備を整えているようです。
このうち現地で調達・改造されたものは「ローカルメイド(現地生産)品」と呼ばれていることが多いですね。
今回のモデルは、オーストリア軍の官給品テント(おそらく未使用)を改造して製造されたローカルメイドのフィールドコートになります。
でもこれは、オーストリア軍とは全く関係のないものかもしれませんね。
さてさて、それはどんなフィールドコートなのでしょうか?
今回は、オーストリア軍装備マニアのみならず、第二次大戦中のドイツ軍装備の代用品をお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
ヨーロッパでよく見かけるデザインですね。
大戦中のドイツ軍もよく似たデザインのコートを支給していました。
背面
前面裏側
リバーシブルの官給品テント生地で縫製されています。
でもコートはリバーシブル仕様ではありません。
背面裏側
よく見るとパーツで生地の色調が違っていますね。
襟周りレイアウト
前合わせはボタンのみ。
タグやスタンプは一切ありません。
ナイロン製のループ。
腰ポケット
オープンタイプでポケット内も同じ生地製。
上質な仕立てです。
袖
ほぼストレートですね。
袖口はただの筒です。
よく見ると各パーツで生地の色調が違っていました。
裾は表地が裏地に回り込んでいいます。
生地の端末は、きちんと処理されています。
ボタン
ODのプラスティック製のアメリカ軍タイプ。
オーストリア軍用ではありませんね。
表側の迷彩パターン
なんとなく大戦中のドイツ国防軍のパターンに似ています。
…ということは?🤔
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3 その特徴とは?
迷彩(表)は、ライトカーキまたはタンにグレイグリーンとオリーブで雲型を描いています。
各色の境は細かい斑点で輪郭を不明瞭にしつつ、接触させないようにしていますね。
その上に針のような鋭いブラックグリーンの破線を所々隙間を開けながらプリントしてあります。
一見、大戦中のドイツ軍ウォーターパターン(またはタン)迷彩に似ていますね。
(カラー及びパターンは大きく違っていますが…。)
大戦中のドイツ国防軍リバーシブル迷彩スモック
(官給品・ウォーターパターン)
一方裏面の迷彩は、以前分析したオーストリア陸軍迷彩ユニフォームと同じものです。
生地はハードコットンで、薄いですがゴワゴワしていますよ。
前述したようにオーストリア軍官給品テントそのものですね。
デザインは、エポレットなし、腰ポケット×2と、とてもシンプルです。
前合わせは一見ダブルに見えますが、深く重なったシングルですね。
全体的な縫製は、硬いテント生地を使用しているのにもかかわらず、丁寧かつ正確です。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1960年代?
製造場所 不明
契約会社 不明
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ なし
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約96cm
肩幅 約43cm
身幅 約61cm
袖丈 約65cm
状 態 中古極上品
官民区分 民生品?
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 5(まず無理!)
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5 まとめ
今回のモデルについてオーストリア軍で使用例がないか調べてみましたが、見つけることができませんでした。
やはり、まとまった数が製造された官給品もしくはPX品…ではないようです。
では、なぜこのフィールドコートが存在衣しているのでしょうか?
ヒントは表面の迷彩にありそうです。
これは少々特異な見方かもしれませんが、今回のモデルは、あるいは大戦中のドイツ軍のフィールドコートの代用品として製造された物なのかもしれません。
実際、大戦中のドイツ軍は国防軍及び武装親衛隊を問わず、支給されたテントを使用したローカルメイドの衣類を製造して戦場で使用していました。
勿論、それらは官給品ではありませんので、絶対数は少なく目にする機会は、とても少ないですね。
そこで後に、どこかの国のリエナクターまたはメーカーがオーストリア軍払い下げテントを用いて、それらしい代用品を製造したのではないでしょうか?
(これは「苦肉の策だったのかも?🤔)
1980年代でしたでしょうか?
ペイントボール(塗料の入った丸玉)を撃ち合うサバイバルゲームがアメリカで流行した頃、当時のドイツ軍コスチュームの代替品として、オーストリア軍の物が数多く使用されていました。
今回のモデルは、そんなゲーム用だったのかもしれませんね。
さらに捻くれた見方をするなら、「大戦中のドイツ軍ローカルメイド品」として販売する目的で製造された詐欺まがいのモデル品…と考えることもできますね。
思えば、インターネットがなかった時代、外国はとても遠い存在でした。
そのためミリタリー界でも多くの当時物(官給品)が、あるところには大量に存在しましたが、その存在を知ることは稀でしたよ。
結果、人気のあるドイツ軍物は数多くの粗悪なレプリカが当時物として販売されていましたね。
(何しろ、それが官給品かそうでないかという判別は困難でした。)
今回のモデルもその一つなのかもしれませんね。
真相はともかく、今回のモデルは「後にも先にも」これ一着しか見たことがありません。
(勿論、複数製造されているかもしれませんが…😅)
入手はまず無理でしょう。
幸いにもオーストリア軍のテントに関しては、まだかろうじて入手可能なので、探しているあなたは、複数枚入手して仕立てるという方法があります。
(知り合いに服飾に詳しい奥様に確認してもらうと、難易度はさほどでもないので仕立ては可能とのことでした。)
今回の記事を読んで欲しいと思った方は、検討してみてはいかがでしょうか?
今回は、オーストリア軍の迷彩テント生地を用いた、珍しいローカルメイドのフィールドコートを分析しました。
いやー軍装品って、ローカルメイド品も本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20230817更新)
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参考:他のオーストリア軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国のフィールドコートに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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