今回は、1960年代のドイツ陸軍ウールフィールドトラウザーズを分析します。
旧西ドイツ軍時代の製品で、ウールのジャケットとペアで使用するものですね。
でも、このデザインはどこかで見たことがあります。🤔
中古ですが、時代を考えると極上品ですよ!
目次
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1 ドイツ陸軍ウールフィールドトラウザーズ(西ドイツ軍時代)とは?
第二次大戦で敗れたドイツ軍。
戦後間も無くは、アメリカ軍製の兵器を装備していましたね。
個人装備も、外観はアメリカナイズされたものに変更されました。
同じく敗戦国の日本が、自衛隊個人装備の殆どをアメリカ軍式に変更してしまったのに対し、ドイツ軍は基本的にドイツオリジナルの材質やデザインを採用していましたね。
(ただし迷彩服は早々に廃止していましたが…。)
でも、中にはアメリカ軍のデザインを採用したアイテムもあったようです。
今回のモデルは、そんなアメリカの影響を受けた(と思われる)ドイツ陸軍のウール製フィールドトラウザーズになります。
同じ材質のジャケットが有名ですが、トラウザーズは数が少なく、あまり知られていませんね。
でも造りは「いかにもドイツ製」という素晴らしいものでしたよ!
さてさて、それはどんなウールフィールドトラウザーズなのでしょうか?
今回は、戦後のドイツ軍装備マニアのみならず、ファッションリーダーのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
背面
背面中央にベルトループはありません。
これならサイズ調整の可能ですね。
よく考えられています。
前面裏側
背面裏側
サイズ変更が可能なように、中央の生地に余裕があります。
ベルトループといい、この生地といい、用意周到です。
前合わせはボタンのみです。
ウエストはメインのボタンとストラップで閉めますが、購入時からボタンが一組(合計4個のうち2個)が紛失していました。😓
タグ
1961年度契約品です。
「用途廃止」のスタンプが!
ボタンはこの時期のみに使用されていたもの。
ブラウンのプラスティック製
右側面レイアウト
ウエストのサイズ調整タブ
3個のボタンで調整
腰スラントポケット
ボタンで開閉
ヒップポケット
左右にあります。
こちらもボタンで開閉
膝カーゴポケット
ポケットフラップ前側は縫い付けられています。
2段のプリーツ付き。
ボタンで開閉
真ん中のプリーツには細長いパッチポケットがありました!
(右膝ポケットのみ)
用途はナイフ入れでしょうか?
膝の補強生地
ここは二枚合わせです。
膝ポケット付近から膝下まで縫い付けられていますよ。
裾
内側にダットファスナーがあって、裾を絞れます…が、なんか変ですね。
(使用しない方が良いかも。)
裾にはコットンHBTの補強生地が!
ウエスト内側にもサイズ調整タブ(サスペンダー用タブ?)がありました。
ボタンで開閉
ご丁寧にウエスト内側にも「用途廃止」スタンプが!
股間の補強生地 表と裏
裏側左右には、何かの紙(型紙?)も一緒に縫い付けられていました。
おまけ
同時期のトラウザーズですが、僅かに色調の違うモデルを見つけました!
前面
背面
タグ
1965年度契約品です。
こんなスタンプもありました。
単体で見ると違いがわかりませんが、ウールの色調が違っていますね。
左:おまけのモデル
右:今回分析したモデル
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3 その特徴とは?
ウール生地はフェルト製でドイツのお得意生地ですね。
よく見ると、カーキ、ブラウン、ライトグリーンの繊維で構成されていて、近くで見ると複雑なカラーですが、遠目にはカーキーブラウンに見えます。
(ややグリーン系の強い生地もあります。おまけ参照!)
デザインは、一見アメリカ軍のM51&M65フィールドトラウザーズに似ていますね。
(参考にしたのでしょうか?)
デザイン比較
今回のモデル前面
アメリカ軍M65フィールドトラウザーズ前面
今回のモデル右側面
アメリカ軍M65フィールドトラウザーズ右側面
構成は、腰スラントポケット×2、ヒップポケット×2、膝ポケット×2です。
大まかな構成は、今回の例にしたM65フィールドトラウザーズにそっくりですね。
(特に膝ポケット)
ウエストのサイズ調整タブ、各ポケットのフラップ、そして前合わせは全てボタン留めというのがドイツ的考え方ですね。
面白いのは、右膝ポケットの中央プリーツに細長いパッチポケット(貼り付けポケット)が装備されているところです。
また、ウエスト内側にもサイズ調整タブ(?)がありますよ。
今ひとつ不明なデザインもありますが、ドイツ軍なので何か重要な用途があるのでしょうね。
全体的な縫製は、とても正確かつ丁寧で、強度も十分です。
ドイツ軍ウール生地は、よく虫食い跡が多く残っている場合が多いのですが、今回のモデルはごく僅かに止まっている良好な状態でした。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1961年
製造場所 ドイツ
契約会社 ドイツ
製造会社 〃
材 質 ウール
コットン
表記サイズ 174/86–78
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ウエスト 約45cm
着丈 約105cm
股上 約32cm
股下 約77cm
裾幅 約24cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の骨董市
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
なかなか重厚なトラウザーズですね。
緯度的には北海道より北に位置するドイツでは、こんなウール製装備がより気候にマッチしているのかもしれません。
大戦中の伝統的なドイツ軍ウールトラウザーズを見ると、膝カーゴポケット付きは見掛けませんね。
今回のモデルは、やはりアメリカ軍のデザインを参考にしていると思われます。
(でも細部はちゃんとドイツ軍仕様なのが良いですね。)
このトラウザーズは見た目もカッコよくて防寒性能も高いです。
サバイバルゲームなど激しい場面で使用するよりは、ファッションアイテムとして使用したいですね。
(着用するのが嬉しいトラウザーズですよ!)
市中では、まず着用している人はいませんし、各ファッションブランドによるサンプリングもされていないようです。
…とするなら、個性発揮に一役かってくれそうですね。
残念ながら、この当時のドイツ軍ウール装備は、いよいよ品薄になってきました。
ジャケットはまだ大手数版サイトでも見掛けますが、トラウザーズはオークションですら殆ど見かけません。
ただ、ジャケットなどにある国籍マークがなく、タグ表記もドイツ語なので「正体不明のトラウザーズ」として、古着屋で販売されているかもしれません。
探しているあなたは、「よもやこんな所にはないだろう!」と思われるお店も探してみましょう!
今回は、西ドイツ軍時代の重厚なウール製フィールドトラウザーズを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
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参考:今回のモデルと同時期のドイツ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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