(この記事は、2019年8月に掲載したものに加筆・修正を加えた物です。)
今回は、1940年代のドイツ空軍降下猟兵(空挺)用迷彩スモックを分析します。
勿論モデル品です!(開き直り!)
でも当時の官給品に最も近い迷彩パターンなんですよね。
中古品ですが程度は極上ですよ!
目次
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1 ドイツ空軍降下猟兵(空挺)迷彩スモック(オリジナルパターン・モデル品)とは?
古今東西の軍隊で、空挺部隊といえば陸軍と相場が決まっています。
しかし、唯一の例外と言っていいのが大戦中のドイツ軍でしたね。
なんと空挺部隊は、空軍所属でした。
名称は「降下猟兵」!
なんかカッコいいですね。
(あくまでイェーガーなんですね。)
所属も独特でしたが、武器や装備も独特なものを採用していましたよ。
降下中の射撃に適した形状の小銃、砲口にかけて内径が先細りした大砲などなど、とてもユニークでした。
個人装備も、その後世界各国がコピーした空挺スモックは、あまりにも有名ですよね。
今回のモデルは、初期の単色スモックに替えて採用された、空軍迷彩のスモックを忠実に再現したモデル品です。
過去に製造された、多くの降下猟兵用迷彩スモックよりも正確に再現された迷彩パターンが魅力ですね。
さてさて、それはどんな空挺スモックなのでしょうか?
今回は、ドイツ軍装備マニアのみならず、日本でも使える効果的な迷彩服をお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
一見、着丈の長いコートタイプに見えますが…
背面
迷彩は全体的にグリーンのイメージがあることから、当時ドイツ空挺部隊は「緑の悪魔」と呼ばれていました。
陸軍のスプリンター迷彩と配色は似ていますが、パターンは全くの別物です。
前面裏側
背面裏側
腰の白い紐はドローコードです。
前合わせはボタンのみです。
スムーズな着脱が難しいかもしれませんね。
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モデル品の証です。
(当時の官給品は独特のスタンプでサイズ表記されていました。)
鎖骨付近のポケット
ジッパーで開閉
意外に容量があります。
腰ポケット
こちらもジッパーで開閉
袖口
ダットファスナーで開閉・調整
内側にもう一つ袖があります。
本当はシルクなのでしょうか?
(モデル品は内袖をナイロンで再現。)
右腰のホルスターと細長いポケット ホルスターはボタンで開閉
裾には、いくつかダットファスナーがあって、ズボンのように分けて留めることができます。
裾のバタつき防止ですね。
左裾にループが縫い付けられています。用途は?
脇の通気スリット 表側と裏側
内袖もダットファスナーで開閉・調整
ウエストのドローコードは左右にあって、それぞれ結んで調整します。
右腰ホルスターの裏地
股の補強布も再現
下半身の構成
腰ポケットの裏地
胸ポケットの裏地は肩まであります。
当時の官給品と同じように再現してある製造所とサイズのスタンプ?
脇にはプリーツがあってダットファスナー付きのタブで開閉します。
中に装着する装備が多い場合は開けて使用するのでしょうか?
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3 その特徴とは?
迷彩は、陸軍のツェルトバーン(テント)やスモックに使用されていた、スプリンター迷彩(春夏面)に似ています。
しかし、よくよく見るとパターンは別物なのがわかりますね。
迷彩比較
今回のモデル
陸軍ツェルトバーン(テント)用生地を用いたモデル
迷彩の色調はともかく、パターンは全く違っていますね。
迷彩はライトグレイグリーン(明灰緑色?)をベースにダークブラウンとグリーンでスプリンター(破片)迷彩を描いています。その上に、ダークグリーンでレインドロップ(破線)を加えていますよ。
生地は通常のコットンツイルで、デニソンスモックのように分厚い防風織りではありません。
デザインは、着丈が長いコートタイプですが、裾はダットファスナーでズボン状になります。
これはパラシュート降下時の裾バタ付き防止措置ですね。
(デニソンスモックでは、独立したテイルピースを使用していました。)
ポケットは4ポケットですが、胸(位置は鎖骨付近)ポケットの位置や角度が独特です。
(当時のパラシュートハーネスを装着してもポケットを使用できるようにとの配慮がなされています。)
また各ポケットはジッパーで開閉しますが、ポケットフラップ左右端が縫い付けてあって、開閉し難いですね。
背面にはホルスター(拳銃入れ。通常、信号銃です。)が標準装備です。
袖は二重で、外気を遮断する工夫がなされていますよ。
ここまで周到な準備をしていながら、前合わせはボタンのみです。
これでは、前面から風が侵入するのではないでしょうか?
(スモックの下に、フリーガーブルゼ(空軍兵用の青いウールの戦闘服)を着用するので無問題?)
全体的な縫製は、モデル品にしては正確、丁寧で、まるで国産品のようです。
4 製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 2000年頃
・製造場所 不明
・契約会社 不明
・製造会社 〃
・材 質 コットン
・表記サイズ S
(日本人のL〜XL)
・各部のサイズ(平置)
着丈 約101センチ
肩幅 約51センチ
身幅 約63センチ
袖丈 約65センチ
・状 態 中古極上品
・官民区分 民生品
・入手場所 東京の専門店
・入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回のモデルを記事にしている過程で、ブルガリア軍のスプリンター迷彩は、このスモックが原型なのでは?
…なんて思ってしまいました。
ブルガリア軍スプリンター迷彩服の生地はこちらです。⬇︎
やはり関連がありそうですね。
その昔、日本や海外のモデル品は、陸軍のツェルトバーン(当時物!)を数枚使用して1着のスモックを作成していました。
そして「実物降下猟兵用スモック」と称して平然と販売されていましたね。
高くて買えませんでしたが、後に迷彩パターンが全く違うということがわかって、買わなくて…買えなくてよかったと胸をなでおろした記憶があります。
近年のモデル品は、ちゃんと迷彩パターンを空軍用にしていてレベルが高いですね。
再現性の高いモデルですので、必要なワッペンとかを装備を入手すれば、即ヒストリカルゲームに使えそうです。
勿論、サバイバルゲーム 、狩猟、野鳥観測、ファッションに使用できそうですね。
迷彩の色調も日本に合っているようです。
しかしサバイバルゲームやファッションでは、その着丈やデザインが問題になるかも知れませんね。
コートタイプですが、フリーガーブルゼを着用しない我々にとって、冬は少々寒い装備かも知れません。
やはりスモックなのですね。
残念ながら、最近この忠実なスモックは見かけなくなりました。
でも、不定期的にどこかで生産されていたり、輸入品が出回ることもあります。
次の販売を気長に待ちましょう!
今回は、かつてのドイツ空軍降下猟兵(空挺)部隊が使用したスモックのモデル品を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね。
それではまた、次回をお楽しみに!
(20220106更新)
追記
今回のスモックは、やはりブルガリア軍でも使用されていました。
大戦期のブルガリアの空挺部隊、スプリンターパターンに近い迷彩使ってて驚いてる pic.twitter.com/L7fTaSqzwd
— 気まぐれエーベル (@abel19441025) 2020年5月11日
やはりブルガリア軍スプリンター迷彩は、この迷彩スモックが原型だったのですね!
面白いです。
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参考:ドイツ陸軍ツェルトバーンの迷彩パターンの空挺スモックはこちらです。⬇︎
(ただし、実際にツェルトバーンを分解して作られたモデルではありません。)
戦後のドイツ軍類似迷彩服の記事はこちらです。 ⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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