今回は、陸上自衛隊のウールオーバーコートを分析します。
警察予備隊(保安隊、自衛隊の前身)時代の装備品ですね。
古いデザインですが、ある国のコートを参考にしているようです。
中古品で残念ポイントもありますが、程度は良好ですよ!
目次
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1 陸上自衛隊ウールオーバーコート(警察予備隊期)とは?
現代でこそ発熱する化繊や、薄くても保温力のあるダウンの普及により、「冬」は脅威として考えられることが少なくなりましたね。
(むしろファッションの季節とも言えますね。)
しかし、その昔「冬」は命に関わる脅威でした。
そして冬に対抗する防寒着といえば、分厚くて重く、動きにくいウールや綿入りのオーバーコートが主たるものでした。
これは国を守る軍隊でも同様でした。
(それしかなく、それが標準だったのですね。)
今回のモデルは、そんな古いコンセプトを基に製造された警察予備隊期のオーバーコートになります。
一見制服装備のように見えますが、実は純然たる野戦装備なんですよね。
レトロなデザインですが、逆に現在では新鮮に思えますよ!
さてさて、それはどんなオーバーコートなのでしょうか?
今回は、自衛隊マニアのみならずファッションリーダーのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
一部に紫外線や経年変化に伴う生地の変色があります。
ロングな丈がレトロですね。
背面
前面裏側
ライニングは、概ね上半身のみです。
背面裏側
襟周りレイアウト
襟に隠れていましたが、前合わせ最頂部にもボタンがあります。
チン・ストララップはなく、襟は立てた状態では維持できません。
前合わせはボタンのみですが、ボタンはダブルになっています。
サイズタグ
エポレットは幅広・テーパー付きのラウンド型です。
腰ポケット
内側にはスリットがあって、コートの下に着ている衣類のポケットも使用できます。
袖
ほぼストレートの単純な筒です。
背面のウエストサイズ調整ベルト
裏側にコットンの補強生地付き
前身頃裏側左にある内ポケット。
容量は小さいです。
(懐中時計入れ?)
エポレットのボタン(小)
以降、ボタンは全てプラスティック製
前身頃のメインボタン(大)
日章旗に鳩のモールドが施されています。
前合わせのダブル用ボタン(大)
内側のボタンなのでモールドはありません。
背面裾のスリット開閉用ボタン(小)
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3 その特徴とは?
生地は(かなり茶色味が強い)ODに染められた厚手のウールで、風を通さず、保温力もありますが、とても重量があります。
(いろんな意味で時代を感じる生地ですね。)
デザイン(生地も)は、アメリカ軍が第二次大戦前から支給していた、ウールオーバーコートにとてもよく似ています。
(おそらく参考にしたのでは?実際にアメリカ軍のオーバーコートを使用していたじきがあったのかも。)
第二次大戦中のアメリカ陸軍ウールオーバーコート
構成は、エポレット付き、腰ポケット×2、内ポケットで、前合わせはダブルになっていますよ。
背中のサイズ調整ベルトは、よくある前方に回して使用するのではなく、背中のみで調整するタイプです。
今回のモデルは、一部解れやボタンの割れ、欠品はあるものの、縫製は正確です。
(この生地の厚さを考えると、高い技術で仕立てられていますね。)
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1950年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
表記サイズ 2
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約108cm
肩幅 約50cm
身幅 約58cm
袖丈 約59cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手場所 山口の骨董市
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
いやー重いコートです。
(撮影が大変でした!)
でも実際に着用してみると、当然ながら重さは然程気にならなくなりますね。
逆に、この丈の長さが駆け回る戦場では少々邪魔だったようです。
(背面にも長いスリットがありますが…それを踏まえてもです。)
アメリカ軍などでは、支給されたものの戦闘ではあまり使用されることがなく、制服の上に着用されたりしていたとか。
とてもわかる気がしました。
ただし、この分厚いウールは、完全に風を防いでくれますし、保温力もかなりのものです。
丈が長い…ということは、足首まで風から守ってくれるので、意外に暖かいですね。
(スタジアムパーカー参照)
着用してのサバイバルゲームはともかく、黎明期の陸上自衛隊を再現するヒストリカルゲームでは、注目の的になること請け合いです。
またレトロな雰囲気を利用してファッションに使用してみるのはどうでしょうか?
(素材としては面白いと思うのですが?)
当然数は少ないです。
私も有名な骨董市で、偶然見つけたものを安く購入できました。
探しているあなたは、各老舗SHOPを当たるとともに、古着屋や骨董店も覗いてみましょう。(旧日本軍装備として販売されている場合がありますよ!)
本日(2021.3.30)現在、奇跡的にオークションに出品されていますよ!
しかもサイズ1(号)で当時の階級章(士長)付きです。
(ただし少々お高いです。)
ウォッチリストに登録して様子をみましょう!
今回は、警察予備隊時代の希少な陸上自衛隊ウールオーバーコートを分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20221129更新)
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参考:初期の各自衛隊装備品に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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