今回は、1980年代の航空自衛隊パイロットヘルメットを分析します。
以前分析した海上自衛隊パイロットヘルメット(FHG-3系)のひとつ前のモデルですね。
航空自衛隊では、F-1、F-4、F-15など、多くの戦闘機や練習機のパイロットが使用していました。
再生した中古品で汚れや傷がありますが、程度は良好ですよ!
目次
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1 航空自衛隊パイロット用ヘルメット(FHG-2)とは?
かつて航空自衛隊の初等練習機が「T-3」だった頃、私は山口県防府市にある第12飛行教育団で勤務していました。
ここは航空自衛隊のパイロット適性検査(通称EX:高校生や大学生に対しパイロットとしての適性を見極める検査)や最も初期の操縦訓練を行う部隊で、多くの教官パイロットがいましたね。
面白いことに、当時のパイロット用ヘルメットとしては、バイザーが剥き出しの「JP-3」やサスペンションが「鉄帽」タイプの「FHG-1」が混在していましたよ。
これらのヘルメットは、アメリカ軍のモデルを参考に日本風にアレンジした国産品でしたが、いずれも少々重いのが欠点でした。
今回のモデルは、そんな重く古臭いパイロットヘルメットを劇的に改良したモデルになります。
キャノピー(天蓋)内へのヘルメット写り込みを防ぐため、成形色(または塗色)がグレイ(インテリアグレイ?)になったのはこのモデルからでしたね。
(それまでは、基本ホワイトでした!)
大幅な軽量化と、装着時の安定化が図られているようですよ。
さてさて、それはどんなパイロット用ヘルメットなのでしょうか?
今回は、航空自衛隊装備マニアのみならず、各国軍パイロット装備コレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体形
(以降バイザー使用中も掲載)
前面
左側面
右側面
後面
本体のグレイは、官給品ではなく市販のタミヤカラー「ジャーマングレイ」(缶スプレー)です。
オリジナルよりもやや濃い色調で半艶ありですね。
上面
下面
バイザー調整用スクリューとナット
4枚羽の強化プラスティック製。
キャノピー(天蓋)内側に傷が付くと不評でした。
本来はもう一枚マイナスドライバーで開くプレートがあります。
(最初から紛失。)
バイザー固定用ビスは伝統の二本!
酸素マスク用バヨネット取り付け部
高空での作戦用ですね。
(海上自衛隊ヘルメットにはありませんでしたね。)
無線レシーバー用コード(二本)コネクター&ホルダー
チンストラップ
肌に接する部分には柔らかいパット付き
開閉を制御するダットファスナー
閉まる方向が限定されています。
ネックストラップ
FHG-2の特徴ですね。
無線レシーバー用パット
マジックテープで取り付け。
残年ながらレシーバーは欠品。
左側のみ「L」のタグ。
レシーバー取り付け部
ヘルメット表面のパーツはこうやって取り付けられています。
今回のモデルは奇跡的にレシーバー用配線が生き残っていました!
メーカータグ
ライナー(クッション材)
発泡スチロール系
独特の形状!
ポリエステルのカバー付き
実際に使用されていたものなので汚れが…。
緑のテープは、カバーの一時固定用
ライナーにはフェルトペンで番号を記入
納入年月日を示すシールも!
底部のスタンプ
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3 その特徴とは?
シェル(外殻)は、FRP(グラスファイバー)製で、薄いですが頑丈です。
当初はライトグレイで下塗り後、インテリアグレイに塗装されていました。
一方、ライナー(内帽)は、発泡スチロールにポリエステルのカバー(布)をかぶせたもので、ピッタリとシェルの内側に装着することができます。
ライナーの耳の部分には丸い切り欠きがあって、ここにレシーバー用のイヤーパッドを装着します。
(レシーバーは欠品でした。😅)
バイザーはスモークのシングルのみで、海上自衛隊用のようにクリヤーも合わせたダブルバイザーではありません。
バイザーカバー頂部のナットで調整しますが、このモデルは初期の4枚羽根式のナットが付属していました。
特筆すべきは、酸素マスクのバヨネット(金具)を取り付けるためのレシーバーが残っているところですね。
当初はアメリカ軍が使用していたレシーバーとよく似たタイプでしたが、今回のモデルはより簡素な国産オリジナル仕様に変更されていました。
また、ネックストラップの存在もこのモデルの特徴ですね。
(のちに廃止されました。)
全体的な造りは、とても丁寧で、国産ヘルメットメーカーの高い技術を垣間見ることができます。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1988年
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 グラス
ファイバー
強化プラス
ティック
ポリエステル
発泡スチロール
表記サイズ 中
(日本人のM〜L)
各部のサイズ 全高 約26cm
全幅 約26cm
奥行き 約22cm
重量 約1.1kg
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 神奈川のイベント
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
今回のモデルは、さるミリタリーイベントで入手しました。
ボロボロで凹みや穴があり、塗装も剥がれたひどい状態で売られていましたが、やはり売れ残っていましたね。
そこで閉店間際の投げ売り時に安く購入しました。
以降、コツコツと再生して現在に至っていますが、オリジナルのインテリアグレイが入手できず、個人的趣味で大戦中のドイツ軍戦車色(パンツァーグラウ:ジャーマングレイ)にしています。
そのためシェルのカラーは参考になりませんのでご注意ください。
(あまり違和感もないとは思われますが…😅)
旧モデルのパイロットヘルメットが、2キロ近くあったのに対し、今回のモデルは1キロちょっとということで、大幅な軽量化が達成されていますね。
先の教官パイロットのお話では、ヘルメットの重さは疲労に直結しているのだとか?
バイクや車と違って、立体的な動きを動きをする航空機、とりわけ戦闘機や練習機パイロットにとっては助かる装備だったのかもしれませんね。
さて今回のモデルですが、元々少数精鋭を誇る航空自衛隊パイロット用装備のため、絶対数が少なく入手困難品です。
ましてや少し前のモデルなので、入手困難に拍車がかかっているようですよ。
それでも、今回のも記事を参考に識別点を意識して探してみれば、思わぬ所で見つかるかもしれません。
探しているあなたは、あきらめずショップやイベントを廻ってみましょう!
また、時折オークションに出品される場合もあります。
今から資金を貯めて、購入に備えておきましょう!
私は、さらに古いヘルメットの入手を狙ってみようと思います。
今回は、少し前の航空自衛隊のパイロット用ヘルメット(FHG-2)を分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20240116更新)
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参考:航空自衛隊パイロットが使用するヘルメットバッグに関する記事はこちらです。⬇︎
海上自衛隊のパイロット用ヘルメットに関する記事はこちらです。⬇︎
他国のパイロット用ヘルメットに関する記事はこちらです!
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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