今回は、1990年代の中国人民解放軍陸軍砂漠用迷彩ユニフォームを分析します。
迷彩生地は、アメリカ軍が1980年代に開発した砂漠用迷彩をフルコピーしているようですね。
でもデザインはオリジナルのようです。
今回のモデルもデッドストックですよ!
目次
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1 中国人民解放軍陸軍砂漠用迷彩服(アメリカ軍チョコチップクッキーコピー)とは?
「天安門事件」「64」「プーさん」で有名な人民解放軍ですが、1990年くらいまでは「劣化したソ連軍」と揶揄されるくらい、酷い兵器や装備の状況でした。
でも、これには理由がありました。
かつて中国の偉い軍人さんが「戦場を人民軍兵士で埋め尽くす」と誇らしげに語っていましたね。
当時の人民解放軍は兵器の質を軽視し、なんと人海戦術で勝利を得る事が王道と考えていたようです。
(いかにも人口が多く、人命軽視の中国共産党らしい考え方ですね。)
ところが、その考えを根底から揺るがす、大きな事件が起こります。
1991年から始まった湾岸戦争です。
ここで人民解放軍が目の当たりにしたのは、イラク軍のT72戦車を3000m先から撃破するアメリカ軍戦車だったり、狙った目標の真ん中に命中する空対地ミサイルなど、多国籍軍(連合軍)の装備している高性能の兵器の数々でした。
また人命優先で、徹底的な空爆の後に地上部隊を進撃させるというアメリカ的な戦い方でもありました。
一方、当時の人民解放軍が使用していた主力戦車や戦闘機は1960年代開発という古いものだったのですね。
(湾岸戦争2年前の天安門事件に投入された主力戦車はT54(59式)でした。)
まさに自分たちの考えや装備が、現代戦では全く役に立たないことを認めざるを得ませんでした。
個人装備も同様です。
多国籍軍は、砂漠の地形に溶け込む(そうでないモデルもありましたが…)迷彩服を全兵士が着用していました。
当時の人民解放軍は迷彩服は限定支給、砂漠用迷彩などはなくグリーン単色の人民服が主体でしたね。
まさにミリタリー的なカルチャーショックだった事でしょう。
人民解放軍は、湾岸戦争後大急ぎで兵器や装備の近代化を図ります。
そうして開発されたのが、94式(形式番号については諸説あり。)から始まる新しい迷彩服でした。
今回のモデルも、その一環で開発されたものですね。
さてさて、それはどんな迷彩ユニフォームなのでしょうか?
今回も、人民解放軍装備マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
ジャケット
前面
1990年代のデザインです。
どことなく人民服のイメージが残っていますね。
背面
前面裏側
内ポケットはありません。
背面裏側
生地は厚めなのですが、迷彩が裏側にも透けています。
前合わせはジッパーとダットファスナー
ジャケットのスタンプ
これを信じるなら1998年度契約品ですね。
エポレット
テーパーなしのクサビ型で短いタイプ
エポレットのボタンは、無刻印です。
胸ポケット
ジッパーで開閉
腰ポケット
二枚のマジックテープで開閉
マジックテープはグリーンです。
ポケットの上にもジッパーで開閉するポケットあり。
中はグリーンの目の細かいネットのような生地
ジッパーの刻印「TAHUYIWV」
ダットファスナーの刻印
よく見かけるタイプ
右袖ポケット
ダットファスナーで開閉
左袖の二本のループ
ペン用でしょうか?
人民解放軍衣類の伝統(?)ですね。
袖
シンプルな筒の先端に忘れてたように袖口を取り付けたイメージ
袖口はダットファスナーで開閉
裾左右にはゴムを内蔵
胸ポケットの裏側もメッシュ生地
トラウザース
前面
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはボタンのみ
トラウザースのスタンプ
右側面
Rのついたスラントポケットと膝のポケット
生地色は製造誤差でしょうか?
臀部のポケットは、二枚のマジックテープで開閉
裾
ボタンとタブで絞れます。
こうして見ると、色調の違う生地が使用されているようです。
(これも製造誤差でしょうか?)
1/3周くらいを絞れます。
生地の端末は処理がなされていません。
これでは、使用中に解れてくるのでは?
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3 その特徴とは?
迷彩は、ホワイトの生地に、濃淡二色のタンとブラウンで雲型を描き、ベージュとブラックで小石のハイライトとシャドウ(影)を描いています。
パターンを細かく比べた訳ではありませんが、アメリカ軍が1980年代に開発した砂漠用迷彩(通称チョコチップクッキー)にそっくりです。
いえ、フルコピーと言っても過言ではないでしょう。
劣化コピーは中国の専売特許ですが、今回の迷彩生地はとてもよく再現(?)できています。
(そんなにショックだったのでしょうか?)
変に色調やパターンを変えず、コピーに徹しているのが良いですね。
生地はやや厚いツイルですが軽量で、おそらくコットンとポリエステルの混紡ではないかと推測します。
今回のモデルは、トラウザースで、やや色調の違う生地が使用されていました。
デザインは、94式迷彩服と同じでエポレット付き、ジャケットが胸ポケット×2、腰ポケット×4、袖ポケットでやや丈の長いコートタイプ。
トラウザースは、左右の腰にスラントポケット、臀部にポケット×2で、裾には絞りを調整するタブとボタンがあります。
1980年代の製品と比べると、縫製は正確になってはいますが、生地の端末などの処理は、相変わらず何も処理されていませんね。
耐久性に問題があるように思えますが、解れるより早く交換するのかもしれませんね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1990年代
製造場所 中共
契約会社 中共
製造会社 〃
材 質 コットン
(ポリエステル?)
表記サイズ 5
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ジャケット
着丈 約73cm
肩幅 約50cm
身幅 約61cm
袖丈 約60cm
トラウザース
着丈 約107cm
ウエスト 約44cm
股上 約36cm
股下 約75cm
裾幅 約22cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
この迷彩服は、実際に着用して砂漠らしい場所で訓練している写真を見たことがあります。
(中国にも砂漠がありましたね。)
あまり風景にはマッチしていませんでしたが、それでもかつての人民解放軍とは違った印象でした。
さすがに砂漠用迷彩ですし、小石の多い砂漠のパターンなので、日本では使用できる時期や場所が限定されそうです。
でも、敢えてサバイバルゲームで使用するのも面白いかもしれませんね。
野生動物にこの迷彩がどう見えるのかは不明ですが、場合によっては野鳥観測や狩猟にも使えるかもしれませんよ。
ところで、今回のモデルに使用されている迷彩生地はアメリカ軍のコピーでした。
(湾岸戦争以降、砂漠の多くの国ではブームになった迷彩ですね。虎の威を借る狐…という感じでしょうか?)
でも「コピーする」というのは、ある意味工業的進化への第一歩のような気がしますね。
こんな感じで人民解放軍は、湾岸戦争以降、多くの国の兵器を次々にコピーして運用しています。
その結果、独自のステルス戦闘機や空母を保有するなど、兵器や装備は、陸、海、空軍とも質・量ともアメリカ軍やロシア軍に迫っていますね。
湾岸戦争のショックは、人民解放軍を根本的に変えてしまったようです。
恐ろしいですね。
外国の専門家による分析ですと、すでに中国海軍は海上自衛隊を、質と量で凌駕しているとか?
もしそうだとしたら、日本は今までよりも、もっと迅速に、もっと深刻に防衛を考えなければいけないですね。
とても恐ろしい人民解放軍ですが、今回のモデルで生地の端末処理ができていなかったようにミスもあるようです。
(中国の道路陥没、工場爆破、高速鉄道の事故など、あり得ない事例も多いですね。)
もしかしたら彼らの最新兵器や装備には、どこか致命的なウィークポイントがあるのでは?
…なんて思ってしまいました。
彼らを恐れず、そして勿論侮らず、冷静に対処していきたいですね。
今回は、中国人民解放軍が慌てて製造した砂漠用迷彩ユニフォームを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230528更新)
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参考:中国人民解放軍が迷彩パターンをコピーしたアメリカの砂漠用迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
www.military-spec-an.comその他の中国人民解放軍の装備はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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