今回は、1960年代のアメリカ空軍防寒パーカーCWU-8Pを分析します。
空軍の地上兵用（グランドクルー：整備兵など）の防寒装備ですね。
初期型で、とてもリッチかつ合理的なデザインが特徴です。
中古ですが、殆ど使用感のない極上品ですよ！
目次
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１ アメリカ空軍グランドクルー用防寒パーカーCWU-8P（初期型・リアルファーモデル）とは？
以前同じくアメリカ空軍の整備兵用の防寒ジャケットCWU–7P（38183B）を分析しました。
これは丈が短く、概ねMA-1程度の防寒性能くらいでした。
アメリカ本土の殆どの基地では、なんとか対応できましたが、北方…特にアラスカの基地では明らかに防寒性能不足は否めませんでした。
そこでCWU-7Pと、ほぼ同時期に開発されたのが、今回のモデルです。
同じくアメリカ空軍が採用していたフライトジャケットN-3系のデザインを参考に、より地上の活動に適した材質やデザインを追求した、当時としてはリッチな防寒パーカーでしたね。
でも、とある理由からその系譜は途絶えてしまいました。
さてさて、それはどんな防寒パーカーなのでしょうか？
今回は、アメリカ空軍装備マニアのみならず、N-3系防寒パーカーとは違うモデルをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう！
２ 全体及び細部写真です！
前面
一見N-3Bそのものですね。
でも胸ポケットの形状に注意。
背面
前面裏側
ウエストのドローコードはありません。
背面裏側
ほぼ裏側全面にコットンポプリンのライニングと、ポリエステルのインターライニングがあります。
フードはジッパーを上まで上げると、辛うじて顔だけ出せるデザイン。
暴風雪時でも大丈夫そうですね。
前合わせはジッパー、ボタン、ダットファスナーです。
最下部にもダットファスナーがあることに注意。
タグ
契約年度は記されていませんが、1960年代です。
有名メーカー製ですね。
フードのドローコード
胸ポケット
ボタンで開閉
ポケットの内側記事は、シェルやライニングと同じです。
腰ポケット
こちらも胸ポケットと同様です。
ただし腰ポケット口左右には、レザーで補強されています。
これはN-3系でも採用されていましたね。
袖ポケット
ペン用ですね。
袖
テーパー付き
袖口は二重になっていて内袖はニットです。
袖ニット
MA-1などとは少々違う織り方に見えますね。
（CWU-7Pと似ています。）
フードのファー
このモデルもモフモフです💕
フード頂部のサイズ調整ストラップ
金属製バックル付き
フードのファーはマジックテープ付きで取り外すことができます。
これでクリーニングが楽になりますね。
（ファーの手入れも楽です！）
メインのボタン（大）と力（ちから）ボタン
ジッパー
刻印は「CONMAR」
ダットファスナー背面刻印
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３ その特徴とは？
シェルは、セージグリーンに染められたコットン／ナイロンのツイル…なのですが、生地の織り方が、大戦中のアメリカ海軍デッキジャケットのような、いわゆる「ジャングルクロス」に似たものになっています。
そのため防風性能が高いですね。
ただしセージグリーンは、皮脂による変色が甚だしく、洗濯が不十分だと肌に触れていた部分が黄土色になってくるのが特徴ですね。
（幸い今回のモデルでは、顕著な変色はありませんでした。）
裏側のほぼ全面に、コットンポプリンのライニングと、おそらくポリエステル製のインターライニング（中綿）があります。
ただし同時期のN-3B程の防寒能力はありません。
しかし大幅に軽量化されていますよ。
デザインは、フード付き、ラグラン袖、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2、袖ポケットで、配置はN-3系にそっくりですが、細部は全く異なっていますね。
グランドクルー（地上勤務兵）用なので、ポケット内容物の不時落下防止のために、胸ポケットにはポケットフラップが加えられています。
また常時タバコを所持する必要もありませんので、袖ポケットはペンポケットに替えられていますよ。
そしてフードはリアルファー（コヨーテファー）付きですが、なんとこのファーはマジックテープ付きで取り外すことができます。
これでファーのみ、またはジャケットのみ洗濯できるようになりました。
（これは便利です。N-2系及びN-3系のジャケットも、こうして欲しかったですね。）
全体的な縫製は、少々雑で不正確な部分もありますが、強度は十分な「アメリカ軍スタンダード」な仕立てです。
４ 製造とサイズのデータです！
製造・契約年度 1960年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ナイロン
表記サイズ L
（日本人のXL）
各部のサイズ（平置）
着丈 約85cm
肩幅 約60cm
身幅 約70cm
袖丈 約60cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 4（極めて困難）
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５ まとめ
このジャケットを着て、奥（神）様と一緒に、真冬の西穂高岳（岐阜県）に登ったことがありましたが、防寒性能は全く問題がありませんでしたよ。
（奥（神）様は、新品のN-3B（近年の有名メーカーモデル品）でしたが…。😃）
これを支給されたグランドクルーは嬉しかったのでは？…そう思わせるジャケットですね。
今回のモデルは初期型ですが、後期型ではフードのデザインが変更、ファーが省略されて外観がややチープになってしまいました。
（評価は賛否両論ですね。）
おそらくコストの問題かと思われますが、少々残念なモデルチェンジでした。
でも、のちにN-3Bがフライトジャケットからグランドクルー用に格下・支給されたことで、CWU-8Pの存在意義がなくなり、最終的には廃止されましたね。
確かに絶対的な防寒能力においてはN-3Bには及びませんが、逆にその中途半端さが着やすさや取り扱いやすさにつながっていると思うのですが…？🤔
それはともかく、全期間を通じて生産数の少ないCWU-8P。
中でも初期型は、輪をかけて少ないのも特徴ですね。
もはや国内外のオークションでは、まず見掛けることがありません。
入手はとても難しいでしょう。
それでも一見N-3Bに見えるけど細部が違う今回のモデルは、巷に溢れかえっているN-3系ジャケットとは一線を画すモデルです。
他者との差別化を図れる格好のファッションアイテムと言えるでしょう。
他人と同じものを着たくない…そう考える、あなたにはぜひ着用してほしいですね。
諦めず探してみましょう！
私は、Mサイズの初期型及び後期型それぞれのデッドストックを探してみたいと思います。
今回は、リッチで希少な整備員用防寒パーカーCWU-8P初期型を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね！
それではまた、次回をお楽しみに！
（20231105更新）
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参考：アメリカ空軍地上兵装備に関する記事はこちらです！
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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