今回は、1960年代のアメリカ空軍パイロットスーツを分析します。
この時代のアメリカ空軍パイロットスーツと言えば「K-2B」が有名ですが、実はそれと同じデザインながら全く違う生地を用いたモデルが存在しました。
面白いことにK-2Bのバリエーションらしいのですが型式番号は付与されていません。
何故でしょう?
それはともかく、今回のアイテムは奇跡的に極上品ですよ!
目次
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1 アメリカ空軍OG107パイロットスーツ(6265E・コットンポプリン)とは?
1950年代に開発されて以降、西側のみならず一部の社会主義国のパイロットスーツにも参考にされたK–2B。
やはり当時のコットンフライトジャケットの傑作でした。
(航空自衛隊パイロットスーツの原型でもありますね。)
ただし、ベトナム戦争が激化し始めると、その生地のカラー(色調)が問題になります。
「セージグリーン」と呼ばれる殆どグレイに近い色調は、敵地でパイロットが脱出した場合迷彩効果が低いという意見があったのです。
(実際はそうでもなかったと言う説もあります。)
そこで歩兵などに支給していたトロピカルコンバットユニフォーム(通称ジャングルファーティーグ)でも使用された「コットンポプリン」を用いたモデルが試験的に製造されました。
それが今回のモデルです。
試験的…とは言いながら、ちゃんとスペックも準備され、一定数製造されましたね。
でも、とうとう最後まで型式番号(K–2BとかMA–1とか)を付与されることはありませんでした。
やはり一時的な装備だったようですね。
(以降もこのカラーのパイロットスーツは製造されずにいます。)
さてさて、それはどんなパイロットスーツなのでしょうか?
今回は、アメリカ空軍マニアのみならず、ベトナム戦争マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体前面
生地の色が替わるだけで印象が大きく違ってきますね。
前面上半身
前面下半身
全体背面
背面上半身
背面下半身
前面上半身裏側
前面下半身裏側
背面上半身裏側
背面下半身裏側
襟周りレイアウト
タグ
1967年度契約品です。
下の参考品のタグとSPECは同じですが、記載内容が少し違っていますね。
肩には補強生地が。
胸ポケット
ウエストのサイズ調整タブ
右膝ポケット
足首のジッパー
マチ付きでジッパーで開閉
ふくらはぎポケット
ジッパーで開閉
左内股のナイフポケット
左膝ポケット
垂直のジッパーで開閉
袖ポケット
袖
最初からやや曲がって縫製されています。
袖口はダットファスナーで開閉
腰のスリット
ジッパーで開閉
参考:同モデルの中古品
全体前面
かなりの使用感があります。
前面上半身
今回のモデルと製造会社が違うので、ジッパーの生地などに違いがあります。
前面下半身
デザインは今回のモデルと同じです。
タグ
こちらはちゃんと「USAF(アメリカ空軍)」と記載されていますね。
1967年度契約品です。
超有名なメーカー製でした。
襟周りレイアウト
実際に使用されていたので、パッチ(ワッペン)を剥がした跡がありますね。
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3 その特徴とは?
生地は、上述のとおりOG(オリーブグリーン)のコットンポプリンです。
でも気のせいでしょうか?歩兵用のジャングルファーティーグの生地より少々厚い気がしますね。
(何故かリップストップ生地のパイロットスーツは製造されませんでした。)
セージグリーンとの生地の色調比較
今回のモデル
セージグリーンのK–2B
なお、「OG-107」というのは、いわゆる色調番号なので、パイロットスーツの型式番号ではありません。
デザインは、K-2Bと同じですね。
構成は、丸襟、エポレットなし、胸ポケット×2、腰スリット×2、膝ポケット×3(ナイフポケットを含む)、ふくらはぎポケット×2、袖ポケットです。
ウエストや袖口はダットファスナーでサイズを調整できますよ。
縫製は正確で強度も十分です。
今回のモデルはM–Sなので、M–Rよりやや丈が短く、幅が広いようです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1967年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ M–S
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約163cm
肩幅 約47cm
身幅 約60cm
袖丈 約65cm
ウエスト 約51cm
股下 約78cm
裾幅 約19cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
セージグリーンのK–2Bもかっこいいですが、OGのモデルは凄み…というか迫力がありますね。
日本人グリーンベレー隊員であったM氏によると、特殊部隊の兵士はパイロットスーツが欲しかったとか?
もしかしたら、地上でも違和感なく使用できる、今回のOGのモデルのことだったのかもしれませんね。
なかなか素敵なパイロットスーツですが、実は同時期のK–2Bよりも圧倒的に数が少ないです。
もしかしたら、特殊な任務に就くパイロット用だったのかもしれませんね。
というのも、今回のモデルのタグには「USAF」の表記がありませんでした。
(参考品のタグには記載あり。)
4軍(陸、海、空、海兵隊)共通の装備に変わったのか?
それとも隠密的な作戦用だったのか?
詳細は不明ですが、興味の尽きないところですね。
…だからでしょうか、絶対数が極端に少ないです。
ましてや程度の良いものは、殆ど残っていませんね。
(今回の参考品も、払い下げられたあと、日曜大工に使用されていたようです。)
また見つけても高価な場合が多いようです。
それでも、時折各店舗やネットSHOPでも極上品やデッドストックが適正価格で入荷する場合があります。
探しているあなたは、各所に網をはって情報を収集しつつ、資金を貯めて購入してみましょう。
今回は、貴重なアメリカ空軍の珍しいパイロットスーツを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231017更新)
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参考:他のアメリカ空軍パイロットスーツ(モデル品を含む)に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルと同じ生地で製造された衣類はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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