今回は、1970年代のアメリカ陸軍熱帯用パイロットスーツを分析します。
以前分析したモデルをモデルチェンジした後期型ですね。
デザインを空軍や海軍のパイロットスーツに寄せてきているのが特徴です。
シャツは中古品ですが、トラウザーズはデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍熱帯用パイロットスーツ(セパレート・OG-106・後期型)とは?
ベトナム戦争中に開発されたアメリカ陸軍熱帯用パイロットスーツ。
パイロットやエアクルーを機上火災から守る画期的な衣類でした。
ただし一部のデザインが一般兵科用のユーティリティーユニフォームに準じたものであったため、少々取り扱いにくいところがありました。
そのためベトナム戦争中であったにもかかわらず、モデルチェンジが検討されました。
そして戦争末期に支給され始めた「後期型」とされるのが今回のモデルです。
基本的には前期型のデザインを踏襲しながら、各部を回収してより使い易くしているのが特徴です。
さてさて、それはどんな熱帯用パイロットスーツなのでしょうか?
今回はアメリカ軍装備マニアのみならず、パイロット装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
シャツ
前面
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
襟裏にはマジックテープが。
でも、チンストラップがありませんね。
マジックテープを合わせて、襟を立てる事ができるのですが…何か違和感がありますね。
前合わせはジッパーのみ。
裾のデザインと変色(褪色)に注意!
タグ①
タグ②
1975年度契約品です。
胸ポケット
ジッパーで開閉
袖ポケット
ジッパーで開閉
上部にはペン用のスリットがあります。
袖
袖口はマジックテープで開閉・調整
メインジッパー
ポケットジッパー
裾は一般的なカッターシャツのようなデザイン。
トラウザーズ
前面
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはボタンのみ。
タグ①
タグ②
右側面レイアウト
ウエストのサイズ調整ストラップ
ナイロン製で艶消し黒染めのバックル付き。
腰スラッシュポケット
ポケットフラップ付き
マジックテープで開閉
ヒップポケット
こちらもマジックテープで開閉
右膝ポケット
左右にジッパーがあって、それぞれ別のポケットになります。
左膝ポケット
こちらは内側のみにジッパー。
ふくらはぎポケット
ジッパーで開閉
裾はほとんどストレートです。
裾にはBDUのようなドローコード(テープ)あり。
アキレス腱付近で縫い付けられています。
内側の一部は縫製ミスを接着剤(?)で処理していました。
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3 その特徴とは?
生地は、OG-106という色番号が付されたオリーブ色のノーメックス(難燃ナイロン)ツイル製です。
生地は初期型と大きく違っていません。
デザインは、シャツのデザインが大幅に変更されていますね。
構成は、シャツがエポレットなし、胸ポケット×2、袖ポケットですが、胸ポケットが左右とも斜めジッパーで開閉するようになっています。
また裾が一般的なYシャツのようなデザインに変更されています。
(必ずトラウザーズにインする方向でまとめていますね。)
一方トラウザーズは、腰スラッシュポケット×2、ヒップポケット×2、膝ポケット×3、足首ポケット×2で初期型と大きく変わりませんが、各ポケットフラップの開閉がボタンからマジックテープに変更されています。
また裾も初期型ではマジックテープで絞ることができましたが、後期型ではドローコードに変更されていますよ。
全治的な縫製は、少々雑ですが強度は抜群のアメリカ軍スタンダードな仕立てです。
あと、今回のモデルではシャツが中古品なのですが、紫外線による褪色(変色)が進んでいました。
参考に画像をアップしておきます。
紫外線による褪色状況
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1975年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ノーメックス
(難燃ナイロン)
表記サイズ M–R
(シャツ)
M–S
(トラウザーズ)
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
シャツ
着丈 約81cm
肩幅 約45cm
身幅 約60cm
袖丈 約62cm
トラウザーズ
ウエスト 約41cm
着丈 約98cm
股上 約29cm
股下 約73cm
裾幅 約22cm
状 態 中古並品
デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 岐阜の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
ジッパーやマジックテープを多用したことで、初期型に比べてポケットの開閉が短時間でできるようになりました。
シャツでは裾のデザインも見直して、必ずトラウザーズ内に入れるようにしたことから、機内で引っ掛かることも無くなりましたね。
トラウザーズの裾も、ブーツを使用する場合には、より自由度が高いようです。
妥当な改造と言えそうですね。
ただし、ナイロン繊維なので汗を吸わないことから、不快感はそのままのようです。
最終的には後期型も僅かに量産されましたが、ベトナム戦争終結にともない、このセパレートのパイロットスーツはあまり使用されなくなりました。
その後、陸軍の難燃パイロットスーツは、全軍共通のCWU–27Pや、迷彩化に伴う新型のヘリクルーユニフォームが開発されていきました。
そんな中で、今回モデルは用途廃止になったようです。
(だから在庫が全て払い下げられた?)
でも、そのコンセプトの一部は、陸軍のCVC(コンバットビークルクルー:戦闘車両乗組員)用装備へと受け継がれていったのでした。
さて、今回のモデル(後期型)ですが元々生産数が少なかった為に、現在でも品薄です。
(まだデッドストックが入手可能な初期型とは対照的ですね。)
そのため各ショップはおろか、オークションやフリマサイトでも滅多に見掛けません。
(それでも数年に一回くらいは小さいサイズが出品されることがあるようです。🤔)
もし程度の良い個体を見つけて、サイズが合えば、保護してあげることをおすすめします。
(第一級の絶滅危惧種ですよ!)
私は後期型シャツのデッドストックと、専用のバンドを探してみたいと思います。
今回は、各部を変更し洗練されたデザインになったアメリカ陸軍熱帯用パイロットスーツ(後期型)を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20231212更新)
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参考:同じモデルの初期型に関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ陸軍難燃装備に関する記事はこちらです。⬇︎
よく似たデザインのカナダ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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