今回は、1980年代のアメリカ海軍CWU-73P難燃パイロットスーツを分析します。
以前分析したパイロットスーツCWU-27Pとよく似たデザインと材質ですが、カラーが全く違っています。
なぜこれが採用されたのでしょうか?
中古品ですが程度は良好ですよ!
目次
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1 アメリカ海軍CWU-73P難燃パイロットスーツ(フライトスーツ・ブルー)とは?
人類の永い歴史を振り返ると、傑作と呼ばれる製品がある反面少なからず疑問を持たざるを得ない製品が普通に開発され、あまつさえ量産されることがあります。
これは軍隊の装備でも同じで、例えば
- 旧日本陸軍空母
- ドイツ軍超重戦車「マウス」
- フランス軍MAS36小銃
- アメリカ陸軍採用ACU/UCP迷彩ユニフォーム
などがあります。
(勿論、細かく見ていけばもっとありますよ!)
そして、そんな歴史は往々にして繰り返されるのですね。
今回のモデルは、優秀・強力・実戦的と評判の高いアメリカ海軍が、1980年代に突如として開発したパイロットスーツ(フライトスーツ)になります。
そのカラーは、なんと目も覚めるようなブルー。
何故、当時のアメリカ海軍はこのパイロットスーツを開発したのでしょうか?
そもそもどんなパイロットスーツなのでしょうか?
今回は、アメリカ海軍装備マニアのみならず、普段でも違和感なく使用できるカバーオールをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面全体
カラーは空軍のエアフォースブルーよりも明るい色調ですね。
前面上半身
デザインは、ダットファスナーで開閉するエポレット以外はCWU-27Pににています。
前面下半身
背面全体
背面上半身
背面下半身
背面にはアクションプリーツあり。
前面上半身裏側
内ポケットはありません。
前面下半身裏側
ダットファスナー裏側
背面上半身裏側
背面下半身裏側
アクションプリーツの裏側
襟周りレイアウト
前合わせはジッパーのみ。
ジッパーの後にはストームフラップ(ウインドシールド)があります。
タグ
1984年度契約品です。
エポレット
ダットファスナーで開閉。
フロントジッパープルタブ
刻印は「R」
ブラス製のブルーイング。
胸ポケット
左右にあります。
ジッパーで開閉。
胸ポケットのジッパーもフロントと同じですね。
左胸にはネイムタグ用マジックテープあり。
ウエストのサイズ調整ストラップ
マジックテープで開閉・調整。
ジッパーは勿論、上下から開けることができます。
右膝ポケット
水平のジッパーで開閉。
左内股ナイフポケット
ダットファスナーで開閉。
ナイフポケットの金属製ハトメには、ホワイト/ブラックミックスのコードが入っていました。
これはナイフの紛失防止用ですね。
左膝ポケット
縦ジッパーで開閉。
左ふくらはぎポケット
左ふくらはぎポケット
左右同じデザインですね。
ペンポケットなどはありません。
足首ジッパー
マチ付きです。
ジッパーはふくらはぎポケットと共通ですね。
刻印は「SEAVAL」
背面のアクションプリーツ
脇の通気孔
袖側にあって、片側刺繍で4個。
ウエスト背面のストラップガイド
ストラップはゴムを内蔵。
エポレットの下には、補強生地が縫い付けられています。
襟は超音速じのベイルアウト(緊急脱出)を考慮した丸襟ですね。
袖
ほとんどストレート。
袖ポケット
左袖にあります。
ペン脱落防止用の大きなフラップ付。
ポケットはジッパーで開閉
正式名は「シガレットポケット」
袖ポケットのジッパー
こちらはパーカライジングの艶消し仕様。
袖口はマジックテープで開閉・調整。
エポレットのダットファスナー表面
ブルーイングですね。
着用例
(ブルーのスーツとセージグリーンの装具は意外に似合いますね。)
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3 その特徴とは?
生地は薄いナイロン系ノーメックス(難燃繊維)製でカラーは明るいブルーです。
空軍のエアフォースブルーがやや暗いいわゆる「藍色」だったのに対し、今回のモデルは絵の具などの原色に近い色調ですね。
生地の通気性は良いのですが、肌触りがざらっとしてて素肌に着用すると少々違和感がありますね。
(慣れの問題だと思いますが…。)
デザインは、エポレット付、胸ポケット×2、膝ポケット×3、ふくらはぎポケット×2、袖ポケットで、背面にはアクションプリーツがあります。
ほとんどCWU-27Pと同じですが、ダットファスナーで開閉するエポレットが最初から付いているのが特徴ですね。
全体的な縫製は、やや雑で不正確な部分がありますが、強度は抜群のアメリカ軍らしい仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1984年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ノーメックス
表記サイズ 40L
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
肩幅 約50cm
身幅 約55cm
袖丈 約59cm
ウエスト 約48cm
着丈 約163cm
股下 約81cm
裾幅 約18cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
かつて1947年にアメリカ空軍が創設された時、シンボルカラーとしてエアフォースブルーを採用、パイロットスーツのみならずフライトジャケットまでこのカラーを導入しました。
新しい時代の新しい部隊というのを強調したかった…のかどうかはわかりませんが、後に朝鮮戦争が始まると、「エアフォースブルーは実戦に向かないカラー」とされ、実戦装備から外されていきましたね。
(ある意味、正常な考え方といえます。)
そんな前例がありました。
翻って今回のモデルは、そんな他部隊の経験を全く考慮せず、しかもさらに明るい色調のブルーを生地に採用!
(1980年代中期との説あり。)
…でも、その採用経緯に関しては、かなりの軍事評論家でも首を傾げるほど。
(おそらくどこかで誰かが利権を貪ったのでは?)
案の定1990年代の湾岸戦争では、後方部隊も含めて全く使用されていませんでした。
どうやら短期間で廃止されたようですね。
(当然といえば当然なのですが。)
あのアメリカ海軍でも迷走するのですね。
…それはともかく実戦に不向きな今回のモデルですが、我々が一般的に使用する場合は、むしろこのカラーの方が使い勝手が良いかもしれません。
(ファッションにも使用できそうですね。)
安定のノーメックス(難燃繊維)製なので、作業やキャンプに安心して使用できますよ。
また当時のアメリカ海軍パイロットのリエナクトにも良い意味で個性を強調することができそうです。
他者にインパクトを与えたり、映える写真が撮れるかもしれませんね。
残念ながら今回のモデルも、現在では入手困難品の仲間入りしていて、たまに見かけてもサイズが極端に大きいものや小さ過ぎるものが多いですね。
それでも大手通販サイトや国内のオークションでは、少数ながら取り扱われていたり出品されていることもあるようです。
探しているあなたは、考えられる全てのショップやオークションをチェックしてみましょう。
購入時には各部の破損・汚れ、修理そしてサイズをよく確認してくださいね。
私は、デッドストックのサイズ「40S」を探してみたいと思います。
今回はアメリカ海軍迷走の証と言えるCWU-73P難燃パイロットスーツを分析しました。
いやー軍装品って、本当に面白いですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
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参考:各国軍のパイロットスーツに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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