
今回は、1980年代の旧ソ連空軍ZSH-3パイロットヘルメットを分析します。
冷戦華やかりし頃の装備品ですね。
大戦中のパイロットヘルメットから独自の進化を遂げたデザインが特徴です。
実際にパイロットが使用してい中古品で、かなりの使用感がありますが時代を考えると程度は良好ですよ!
目次
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1 旧ソ連空軍ZSH-3パイロットヘルメット+KM-32酸素マスクとは?

第二次大戦後に軍用機のジェットエンジン搭載による高速化にともない、パイロットの主流装備となったハードヘルメット。
その構造に着目すると、大きく2つの系統に分類することができます。
一つはヘルメットのハードシェルに直接サスペンションを取り付けるアメリカ軍型。
(これはアメリカンフットボール用ヘルメットの応用という説があります。…そういえば大戦中の歩兵用M1ヘルメットも似たような構造でしたね。)
そしてもう一つが、従来のレザーのヘルメットの上に、別開発のハードシェルを追加しているモデルです。
主に旧ソ連軍装備のワルシャワ条約機構軍の空軍装備に多くみられました。
今回のモデルは、旧ソ連空軍が開発・支給した後者のモデルになります。
そのデザインから、レザーヘルメットは大戦中のドイツ空軍のデザインを参考にしているようですよ。
(今回は、酸素マスクも付属しています。)
さてさて、それはどんなパイロットヘルメットなのでしょうか?
今回は、旧ソ連軍パイロット装備マニアのみならず、世界のパイロットヘルメットコレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
レザー(インナー)ヘルメット
全体形


前面

左側面

右側面

後面

上面
頂部には分厚いパッドがあります。

パッドはアーチ状ですね。

前頭部のフックは酸素マスクのループを吊るためのもの。
アルミ製。
もちろん上下位置調整可能です。


左右レシーバーカバー部
イヤーパッドについているアルミ製のフックは酸素マスク用。


左のフック拡大
とても凝った造りですね。
上:酸素マスク用
下:チンストラップ用(ステンレス製)

右のフック拡大
こちらは酸素マスク用のみ。

左右背面
後頭部下部からレシーバー用のコードが出ています。


表側背面下部から出ているコード
おそらくヘッドホーン用。


前面左右と背面中央にはダットファスナーで開閉するストラップあり。
これはレザーヘルメット単体で使用する場合のゴーグル押さえですね。




ストラップのダットファスナーは凹部が花弁タイプ。

一方凸部はニップルタイプ。

チンストラップ

両端の金具は、シェルの側面に装着させるためのもの。

中央のファスナー凸部
アルミ削り出しで。

レザーヘルメット内部
左右には鹿革のイヤーパッドあり。
とても柔らかいですよ。
内側にはチンストラップ裏側も含めて、ブルーのウール起毛生地製ライニングがあります。

前頭部とうなじには鹿革で補強。
(汗とりも兼ねているようです。)

イヤーパッド拡大

いやーパッドの中にはまだレシーバーが残っていました。
もしかして作り付けでしょうか?

レザーヘルメットのタグ
1989年度契約品です。

ヘルメットハードシェル
前面
バイザーは剥き出しです、やや厚みがあります。

左側面
どちらかというとハーフカップヘルメットに近いですね。

右側面

背面

上面
ハードシェルは金属製(おそらくスチール?)なので、使用にともなう凹みがあります。

前頭部には3個の小判型空気孔あり。

底面
ほぼ裏側全面にブルーグレイの起毛した生地に包まれたライニング(パッド)があります。
長方形の凹みは、レザーヘルメットのヘッドパッドが入るところですね。

この型のヘルメットは、側面にラッチがあって開けることができます。
ここが可動するので、レザーヘルメット装着時でも被りやすいですね。

シェルのタグ

シェルのエッジ内側後部にはパイロットが何かを書き込んでいました。
名前でしょうか?

シェル外側後部にも文字が書き込まれていました。

バイザー左側にはバイザーの開閉を制御するレバーがあります。
(◯部にあります。ひどく錆びていますが可動しますよ。)

レバーは常にロック状態。
バイザーを動かす場合にレバーを握ってロックを解除します。

一方右側にはバイザーを制御するギミックはありません。

右側頭部には、なぜか英語表記のシールが。

バイザーは3段階に調整できます。
最上段の状態
※バイザーにはブラックで着色してあります。
実際はもっと薄いブラウンのスモークです。

中断まで下げた状態。
この状態では、なんとも中途半端ですね。

最下段まで下げた状態。
ほとんど顔面を覆ってしまうデザイン。
少々不気味ですね。
バイザーは独特の酸素マスクと干渉しないように中央が上方に深く切り込まれているデザイン。


通気孔裏側

インナーレザーヘルメットにシェルを装着した状態
全体形

左側面

右側面

後面
シェルは金属製(おそらくアルミ)で落下による凹みがあります。

おまけ
KM-32酸素マスク
全体形
表側

裏側

マウスカップ部
かなりメカメカしい複雑な酸素マスクですね。

マスクカップ部
左側面

右側面
酸素マスクのホースが右側から出ているのが特徴です。

前面マイクチューブの付け根
ベークライト製のバルクヘッド。

肌(口元)に接触する部分には、柔らかい山羊革があてがわれています。

マスクカップの中にはバルブや隔壁あり。



マスクカップの下にはカーキのストラップと金属製バックル&ファスナーあり。
このファスナーにレザーヘルメットのチンストラップ凸部を収めます。


酸素マスクのチューブ
伸縮性のある生地で覆われています。

チューブ先端はバヨネット式。

酸素用とは別のチューブ
音声用でしょうか?


酸素マスクには型式番号がモールドされていました。
1989年度契約品?

酸素マスクをレザーヘルメットに装着した状態

ホースのロック
左右のワイヤー(ピアノ線)はロック解除用。




前頭部のフックトマスクのループはヘルメットのフックに掛けます。
顔面に金具が通るデザイン。

酸素マスクのグリーンストラップ先端にはアルミ製バックルがあります。
バックルにはブラックのレザー製タブがありますね。
これは力を掛けやすそうです。

フルセットアップ
前面

左側面

右側面

バイザーをフルに下げた状態
平均的な西側ヘルメットよりバイザーの面積が大きいので、一種独特の異様な印象がありますね。


着用例


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3 その特徴とは?
⑴ レザーヘルメット
全体的なデザインは、第二次大戦中のドイツ空軍が使用していたレザーヘルメットを参考にしているようです。
デザイン比較
今回のモデル

大戦中のドイツ空軍パイロット
レザーヘルメットを着用。
(顔面にある酸素マスク用ストラップに注意)

レザーはブラックに染められたおそらくゴートスキン(山羊革)で、柔らかくしなやかです。
裏側のほぼ全面に起毛したブルーのウール生地製ライニングがあって、額、うなじそしてイヤーパッド裏側には柔らかい山羊革のバックスキンが当てられていますよ。
このレザーヘルメットは、単体で使用されることもあるので、各部にダットファスナーで開閉できるストラップがありますね。
(低速レシプロ機なんかの場合は、ゴーグルが飛散防止が目的ですね。)
こう付近にはれしバーなどのコードが出ています。
最も重要な特徴は、額の部分にあるフックですね。
レザーヘルメットと酸素マスクを使用する際に、マスクのループをフックに掛けて、マスクを支えます。
(酸素マスク下部には左右に金属製のループもあり。)
また頭頂部にはアーチ型のパッドがあって、ヘルメット内部のの凹み部分に入ってヘルメット位置保持と衝撃を緩和します。
全体的な造りは、とても丁寧かつ正確で、旧ソ連軍らしくない上質な仕立てです。
⑵ ハードシェル
帽体は、ホワイトに塗装されたおそらくアルミ製で、軽量です。
裏側のほぼ全面に、ライトブルーグレイのパッド入りライニングがあり、ある程度のクッション性を確保していますね。
デザインとしてはハーフカップなのですが、左右にはヒンジで可動するカバーがあります。
(これはハードシェルを被りやすくするためのもの。)
頂部には3個の銭形通気口があって、ヘルメット全体に衝撃を受けた時に、内部の空気を排出させます。
このハードシェルには、専用のスモークバイザーが取り付けられていて、左側にあるレザーを押し込むことで上下させることがでます。
(中間位置での固定が可能です。)
バイザーはやや厚いプラスティック製で、今回のモデルはスモークブラウンですが、スモークグリーンのモデルも存在しますよ。
全体的な造りは、かなり雑ですが強度はそれなりにあるようです。
力が加わる部品にはスチールが使用されていますが、現時点ではほとんどに錆が発生していますね。
⑶ KM-32酸素マスク
本体はブラックの合成ゴム製で、カップの右側から酸素を供給するタイプ。
酸素を送るチューブは蛇腹状で、表面にはダークグリーンの生地でカバー補強。
正面にはベークライト製のバルクヘッド(隔壁)があって、マスクカップ内側には音声を拾うためのマイク(?)などがあります。
肌に接する部分には柔らかい鹿皮が当てられていますよ。
(意外に人間想い?)
マスクはレザーヘルメットに装着でき、ハードシェルには取り付けることができません。
全体的な造りは、レザーヘルメット同様丁寧かつ正確です。
4 製造とサイズのデータです。
製造・契約年度 1990年代
製造場所 旧ソ連
契約会社 旧ソ連
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 55?
(日本人のXS-S)
各部のサイズ(平置)
レザーヘルメット
全長 約21cm
全幅 約20cm
全高 約20cm
重量 約530g
ハードシェル
全長 約28cm
全幅 約27cm
全高 約27cm
重量 約1020g
酸素マスク
全長 約9cm
全幅 約16cm
全高 約12cm
ホース長 約48cm
重量 約490g
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 埼玉の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
私の中の旧ソ連空軍パイロットは、このヘルメットを被っているイメージがあります。
バイザーを下げた時の、独特の不気味な外観がそう印象付けたのでしょう。
(その後に支給された新型ヘルメットよりカッコ良い…と感じるのは、「怖いソ連軍」という一種のトラウマを植え付けられたからでしょうか?)
ところでハードシェルの内側に被るレザーヘルメットですが、大型機のクルーは、場合によっては単体で使用していますね。
少々レトロで前時代的な気もしますが、そこが旧ソ連空軍らしい装備であり、魅力でもあるようです。

今回のモデルは、冷戦時代の旧ソ連空軍を象徴するパイロットヘルメットで、当時は多数製造されたと思われます。
だからでしょうか?
レザーヘルメットは、現在でもミリタリーSHOPやオークションで比較的目にする機会が多いですね。
(ただしサイズは圧倒的に小さいものが多いのが残念!😭)
でもハードシェルと酸素マスクは、ほとんど…いや全くと言って良いくらい見掛けません。
その理由は不明ですが、ハードシェルに関しては頭髪や肌に直接触れないため、部隊内でも使い回しされ消耗して行ったのでは?
また酸素マスクはゴム製品ということで保管期限が決められていて、期限外のものは全て廃棄されたのかもしれませんね。
入手は困難だと思われます。
それでも国内外のオークションでは、単体で出品されている場合もあります。
探しているあなたは、チェックしてみる価値はありそうですね。
私はサイズ60以上のフルセット中古極上品〜デッドストックを探してみたいと思います!
今回は希少な1980年代の旧ソ連空軍ZSH-3ヘルメットとKM-32酸素マスクを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
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参考:他のパイロットヘルメットに関する記事はこちらです。⬇︎
他のヘルメットに関する記事はこちらです。⬇︎
旧ソ連軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
ロシア軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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