今回は、1980年代と思われる旧ソ連軍レザーフライトジャケットを分析します。
シープスキン(羊革)を用いたヘビータイプですね。
モデル品は見たことがありましたが、官給品は初めてでした!
細部はかなり傷んでいますが、なんとか着られますよ!
目次
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1 旧ソ連空軍レザーフライトジャケット(シープスキン・寒候期用)とは?
以前、同じく旧ソ連空軍レザーフライトジャケットを分析しました。
これは、アメリカ軍のA-2レザーフライトジャケットに相当する暖候期用またはライトゾーンを担当するモデルでしたね。
(ライナーを付けるともっと低い温度帯でも使用できたようです。)
でも当時の旧ソ連空軍には、もっと防寒性能の高いフライトジャケットもありました。
それが今回のモデルです。
大戦中のアメリカ軍B-3ジャケットや、イギリス軍のアーヴィンジャケットに相当する、ヘビーゾーン(–10℃〜−30℃)対応のモデルですね。
でもそこは旧ソ連軍。
独特のデザインが採用されていますよ。
(暖候期モデルとの共通点が沢山ありました!)
さてさて、それはどんなレザーフライトジャケットなのでしょうか?
今回は旧ソ連軍装備マニアのみならず、レザージャケットコレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
レザーの表面は、アメリア軍系のようにラッカーコーティングはされていません。
背面
3枚のレザーが縫い合わされていますね。
前面裏側
裏のボアは濃いブラウンです。
羊毛というよりはクマさんですね。
抜け毛がとても多いです。😓
背面裏側
襟周りレイアウト
襟ボアは、アメリカ軍のG–1のようなカラーです。
襟裏側には鎮ストラップが!
でもボタンではなく、ホックで留めるのが珍しいですね。
前あわせはジッパーと底部2個のダットファスナーです。
でも上部のジッパーは、緑青で最後まで引き上げることができませんでした。
底部のダットファスナー2個
これが識別点ですね。
でも錆、生地の破損と修理でボロボロです。
(せめて黒糸で修理して欲しかった…。)
ジッパー
プルタブはワイヤー製
胸ポケット
なんとか開けました。
内部の皮革製
腰ポケット
ダットファスナーで開閉
内部はコットン生地
おそらく起毛されていて、ハンドウォーマーも兼ねていたはずです。
胸ポケットのジッパー
刻印は△×3
袖
テーパー付きです。
袖は二重で、内側にはブラウンのニット
腋の下の裁断
腰のサイズ調整ストラップ
2個のリングバックルで開閉
背面上部
各パーツでカラーが違っているのはソ連レザージャケットあるあるですね。
左胸ポケットは、ホルスター(拳銃入れ)を兼ねています。
ソ連軍フライトジャケットの特徴ですね。
(収めるのはマカロフでしょうか?)
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3 その特徴とは?
レザーはシープスキン(羊革)で、羊毛は裏地にそのまま利用しています。
ただし、表面はアメリカやイギリスのシープスキンジャケットのように、ラッカー系の子ウーティングがされていません。
そのため表面は黒く染められていますが、艶消しですね。
裏のボアは、濃いブラウンの羊毛ですが、こんな毛色の羊さんがいるのですね。
(ボアのカラーには、いくつかバリエーションがあるようです。)
デザインは、襟ボア、胸ポケット×2、腰ポケット×2で、裾左右にはサイズ調整タブがあります。
前合わせはジッパーですが、下部に2個のダットファスナーがありますよ。
(これは暖候期用のモデルも同じでしたね。旧ソ連軍フライトジャケットには共通したデザインです。)
やはり左胸ポケット内側生地は、ホスルター(拳銃入れ)も兼ねている三角形ですね。
今回のモデルは、かなり雑な扱いを受けていたようで、破損・修理、抜け毛、ジッパーの動きが悪いなど、多くの不具合がありました。
やはり品質としては、当時の西側製品より、やや劣っている印象ですね。
また残念ながら、本来ポケット生地にプリントされているであろう諸元は、全て消失していました。😓
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 旧ソ連
契約会社 旧ソ連
製造会社 〃
材 質 シープスキン
ウール
コットン
表記サイズ 不明
(日本人のXL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約78cm
肩幅 約50cm
身幅 約63cm
袖丈 約58cm
状 態 中古並品
(破損・修理あり。)
官民区分 官給品
入手場所 埼玉の古着屋
入手難易度 5(まず無理)
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5 まとめ
今回のモデルは、冷戦の全盛期に爆撃機や輸送機のパイロットが着用したという情報があります。
大戦中ならともかく、近代の航空機でシープスキンジャケットを使用するというのは、少々考え辛いですね。
もしかしたら…強力で機数も多かった旧ソ連軍の爆撃機などは、暖房設備が貧弱だったのかもしれません。
(…そういえば尾部銃座を装備していた機体もありましたね。)
だからこんな前時代的フライトジャケットが必要だったのかも。
でもソ連末期には、このジャケットもシープスキンからコットン製に変更されたようですよ。
ところで今回のモデルは、じつは埼玉県の古着屋さんで入手しました。
苦節30年、諦めずに探していると見つかるものなのですね。
(しかもとても安価に入手できましたよ。)
でも、まさか古着屋さんにあるとは…全くの予想外でした。
探しているものは、自分が考える場所より少し外れた場所にあるのかもしれませんね。
もうこのジャケットを目にする機会はないと思います。
それでも今後は、もっと程度の良い個体を探してみたいですね。
(デッドストックが欲しいです。)
あと、かなりアレンジされているモデル品もあります。
こちらも合わせて入手したいです!
今回は、おそらく入手不可能な旧ソ連空軍レザーフライトジャケットを分析しました。
いやー、軍装品って本当に素晴らしいですね!
それではまた次回をお楽しみに!
(20241016更新)
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参考:迷彩生地でできた防寒フライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
他の旧ソ連軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
その他のレザージャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍のフライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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