今回は、1940年代のアメリカ軍のユーティリティナイフを分析します。
一見、当時のアメリカ海軍や海兵隊に支給されたナイフに似ていますが、全くの別物です。
日本では、とても珍しい一品ですね。
使用感や腐食などもありますが、時代を考えると程度は良い方ですよ!
目次
- 1 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)とは?
- 2 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)の全体及び細部写真
- 3 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)の特徴とは?
- 4 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)の製造とサイズのデータ
- 5 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)まとめ
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1 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)とは?
日本を利用し、まんまと真珠湾を攻撃させたアメリカ。
それまでの戦争不参加という国内世論から、戦争参加へと大きく舵をきることに成功しましたね。
…まるでそれがわかっていたかのように、当初から多量の兵器・装備を急ピッチで量産していきました。
勿論、人員も大量動員しましたね。
でも、いざ実戦となると個人装備面で大きな問題がいくつか発生しました。
その一つが個人用のナイフの絶対的不足です。
これは刃物産業が発達し、優秀なナイフや軍刀が量産されている日本やドイツに対し、大きな遅れをとっていたことを意味します。
ましてや日本軍は、銃剣道(銃剣術)を導入し、対人格闘戦を重視していたことから、問題は深刻でした。
これに対してアメリカは、各ナイフメーカーにナイフの量産を促すとともに、家庭に眠っている南北戦争時代(!)のナイフやサーベルまで供出させたりしました。
(サーベルは3等分して3本のナイフを作ったとか。かなり慌てていたようですね。)
今回のモデルは、そんなアメリカ政府の方針に沿って、当時のアメリカを代表する大手刃物メーカーが製造したナイフになります。
ブゥーイと呼ばれる南北戦争から続く、独特のブレード形状と美しい仕上げが魅力ですね。
さてさて、それはどんなユーティリティーナイフなのでしょうか?
今回は、第二次大戦アメリカ軍装備マニアのみならず、ミリタリーナイフコレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)の全体及び細部写真
右側面とシース表側
左側面とシース裏側
ブレード峰側
ブレード刃側
美しいブルーイング
できればサビを落として、再度ブルーイングしたいですね。
ハンドル
よくあるナイフのように溝がありません。
クロスガード付近は、レザーが平たく削られていますね。
ハンドルは、一見普通のレザーワッシャーの積層に見えますが…
…上下には金属のフレーム見えます。
特殊な形のレザーを積層していますね。
ポンメル
2個のカシメ跡に注意
刻印はシリアル番号?
クロスガードはシンプルな形
ブレード付け根右側の刻印
よく見ると、クロスガードとレザーの間にはプラスティックのスペーサー(グリーンとレッド?)がありますね。
これは、ポンメル付近にもあります。
ジース下部
リベットとステッチ
シース上部
独特の形ですね。
ループはダットファスナーで開閉
アメリカ海軍MARK2ナイフ(下)との比較
ハンドルの長さは変わりませんが、ブレードはやや長いですね。
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3 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)の特徴とは?
ブレードは、カーボンスティール(炭素鋼)です。
表面が磨かれて美しいブルーイングがされていますね。
外観は同時期のアメリカ海軍Mk2ナイフや海兵隊KA–BARナイフと似ているブゥーイ型ですが、やや長く厚いです。
ハンドルは、フルタングなのですが、上下2本のフレームがあり、その間を下図のようなレザーが積層されています。
このウエスタン社の一部のモデルに使用されている、独特のレザーハンドルは、レザーが乾燥して割れしまっても、なんとかナイフとしての機能が使えるようにとの配慮からデザインされました。
でも、メインテナンス(ハンドルレザーの交換など)には独特のレザーが必要だったので、次第に採用されなくなっていきましたね。
シースは、かなり余裕のある造りで、ダブルステッチとリベットで留め。
ハンドルを固定するループとベルトを通すスリットがついているのは、標準的なアメリカ軍官給品の仕様ですね。
アメリカ海軍MARK2ナイフ及び海兵隊KA–BARナイフとの識別点は
・ブレードが長く艶がある
・ハンドルに溝がない
・ポイント(切先)付近のデザイン
・シースのステッチ
になります。
4 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)の製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 1940年代
・製造場所 アメリカ
・契約会社 アメリカ
・製造会社 〃
・材 質 カーボンスティール
レザー
・各部のサイズ ナイフ
全長 約328ミリ
全幅 約60ミリ
ブレード長 約202ミリ
ブレード厚 約4ミリ
ハンドル長 約125ミリ
ハンドル太さ 約32ミリ
シース
全長 約370ミリ
全幅 約65ミリ
・状 態 中古良品
・官民区分 官給品
・入手場所 ヤフオク
・入手難易度 4(極めて困難)
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5 アメリカ軍ユーティリティーナイフ(ウエスタン社製)まとめ
やや大きくて長く重いナイフなので、日本人の私には少々持て余してしまう感じですね。
(正直もっと短くても良いのでは?…なんて思いました。)
とはいえ重厚な造り・美しいブレード・周到なシースは、とても魅力的でさすが有名メーカー製ですね。
でも明らかにコストのかかる造りのようです。
だからでしょうか?
当時の各種官給品ナイフに比べて、圧倒的に数が少ないです。
(私は偶然オークションで発見し、運よく安価で落札できました。)
このナイフを見かけることはまずないですが、発見(遭遇?)したらすぐ購入できるように、形状や識別点を記憶し、資金を貯めておきましょう。
幸いにも、日本での人気は、まだあまりありません。
(存在を知らなマニアもいますよ!)
あなたにも購入できるチャンスはあると思います!
購入したら実用に使用するのも良いかもしれませんが、将来のために大切に保管しておくほうが良いようです。
そうそう、今回のナイフは、伝説のミリタリー雑誌「PXマガジン1989年No.20」の56ページに写真が載っています。
お持ちのあなたは、ぜひ確認してみてください!
なお、使用する予定もないのにナイフを携行したり、シチュエーションに合わない場所(車のダッシュボードコンテナとか)へ保管していると、場合によっては警察に逮捕されることがあります。
また、キャンプでも警察官の所持品検査等を受けて、ナイフが発見されると長時間にわたる事情聴取などを受ける場合があります。
ナイフの携帯と保管には、十分注意してくださいね!
今回は、アメリカ軍が大戦中に支給した珍しいナイフを分析しました。
次回は、アメリカ軍のフライトジャケットを分析します。
お楽しみに!
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参考:他のミリタリーナイフはこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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