今回は、1980年代のアメリカ軍40mmグレネード運搬用ベストを分析します。
古くはベトナム戦争中から採用されているモデルですね。
今回のモデルは、ある部分のデザインが変更された後期型になります。
中古品で使用感がありますが、程度は良好ですよ!
目次
スポンサーリンク
スポンサーリンク
1 アメリカ軍40mmグレネード運搬用ベスト(24発・後期型)とは?
あまり知られていませんが、かつて旧日本陸軍には画期的かつ効果的な兵器が装備されていました。
「擲弾筒」と呼ばれたもので、今風に言うと「グレネードランチャー(擲弾発射機)」ですね。
迫撃砲に似ていますが、砲弾を装填(セット)した後、任意のタイミングで発射できるのが特徴でした。
手榴弾よりも威力があり、かつ遠くまで飛ばせることができたため、戦場では頼れる兵器だったようですよ。
擲弾筒については以下をご覧ください。⬇︎
アメリカ軍の沖縄戦記録では、日本軍の効果的な擲弾筒の使用で、アメリカ軍機関陣地の殆どが潰されたとか。
(これは凄いですね。)
その効果を兵士の血で経験したアメリカ軍は、戦後すぐに軽迫撃砲やグレネードランチャーの開発に勤しみます。
そうして紆余曲折の末に開発された兵器の一つに「M79グレネードランチャー」がありました。
これは口径40mm、中折れ装填式、単発、肩付け発射で、ベトナム戦争で多用されましたね。
(映画「ターミネーター2」では「ポン!」という発射音とともに大活躍していましたね。)
M79グレネードランチャーに関しては、以下をご覧ください。⬇︎
でも問題もいくつかありました。
その一つが40mmグレネード弾の輸送方法です。
数種類の弾薬があったため、一つのバッグやケースに入れておくと、必要な弾薬を取り出すのに時間が掛かりました。
かといって、兵士のポケットに分けて入れておくのも嵩張りますし、数が持ち歩けないうえ兵士にとって必要なものが携行できない…そんなジレンマに陥っていましたね。
そんな状況を改善した装備が、グレネード運搬用のベストです。
(一説には、アメリカ陸軍の軍曹さんが発案したとか?必要は発明の母?)
ベストに小さなポケットを多数取り付けて、数多くのグレネード弾を持ち運べるようにしました。
当初18発用を開発、後にポケットを増設した24発用が開発されました。
今回のモデルはその24発用で、背面メッシュの織り方とポケットの形状から初期型と後期型に分かれていますよ。
さてさて、それはどんなグレネードベストなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍装備マニアのみならず、小物を多く持ち歩く趣味のあなたと一緒に確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
背面
前面裏側
背面裏側
前合わせはマジックテープとダットファスナーです。
背面裾にはストラップとバックルで身幅を調整できます。
アメリカ軍ステンシル
グレネード(榴弾)用ポケット
ダットファスナーで開閉。
三段式で、上段2発、中段4発、下段6発で、左右で合計24発携行可能。
ポケットはループで、底はありません。
両胸上段左右のポケット(左右で4発分)は、他のポケットに比べて長いですね。
ここには専用の信号弾を格納します。
(後期型の特徴ですね。)
タグ
すり減っていて詳細がわかりませんが、1983年度契約品です。
製造は、あなたもご存知の超有名メーカー製ですね。
背面ストラップの金属製バックル
初期型ALICEパックのバックルに似ていますね。
着用例(初期型)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
3 その特徴とは?
ベスト本体は、OG(オリーブグリーン)のナイロン製(一部メッシュになっています。)で、1980年代のアリスパックに使用されているものと同じです。
(ベトナム戦争期のライトウエイトラックサックやアービンパックとも似ていますね。)
ただし今回のモデルは、ややカーキの強いカラーになっています。
デザインは、ベスト本体は前面肩口から背面がメッシュ、前面(ポケット部分)は通常の生地で強度を保っていますね。
グレネード専用のポケットは左右で大きく3段に分かれていて、合計24発が個々に格納できるようになっています。
そのうち左右胸の上段4発分のポケットは、他のポケットより長くなっていて、ここには専用の信号弾を格納できるようになっています。
(ここが後期型の特徴ですね。)
また各ポケットは貫通していて、底はありません。
初期型グレネードベストと弾薬
(弾数は参考。上段のポケット長と格納する方向に注意!)
背面下部にはストラップがあって、身幅を調整できますよ。
全体的な縫製は、複雑なデザインながら正確かつ丁寧で、強度もあります。
確かに、一発が重いグレネード弾を多数持ち運ぶためには、いい加減な仕立てはできませんね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1983年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ナイロン
表記サイズ M
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
肩幅 約48cm
身幅 約52cm
着丈 約64cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 1(容易)
スポンサーリンク
アメリカ軍 US M79 M203 40mm グレネードランチャー キャリア ベスト ベトナム戦争 Sサイズ 70年代
スポンサーリンク
5 まとめ
華麗なまでに単一用途に特化したベストですね。
使いこなすことができれば、かなりの戦力アップになったのかも。
このベストを使用しても24発しか携行できないことに不満を持っていた兵士もいたようですね。
ベトナム戦争の記録では、クレイモア(指向性対人地雷)の空袋を使用して予備弾薬を持ち運んだという話もありました。
戦闘では、やはり弾数が大事ですよね。
それはともかく、あまりに特化したデザインであるため、実用的には40mmグレネードを持ち運ぶ以外には使用できないように見えます。
でも、多数ポケットを利用・改造して狩猟時の弾丸入れや、野鳥観測時のフィルム入れ、釣りの道具入れ…に使用してみてはいかがでしょうか?
(若干無理がありますね。😅)
またファッションに使用するのも面白いかもしれません。
(もっと無理がありますね。😓)
でもやはりリエナクトで当時のアメリカ軍を再現するのが一番かもしれません。
幸いにも、このベストは大手通販サイトでも取り扱われていて、入手は容易です。
しかも安価なのもポイントですね。
現在では、精密なM79やM203グレネードランチャーのエアガンが販売されているので、ベトナム戦争以降のアメリカ軍再現するには格好のアイテムです。
アメリカ軍装備マニアのあなたは、ぜひウッドランドBDUと合わせてみてください!
私はグレネードポケットの全てが同じサイズの初期型を探してみたいと思います。
今回はアメリカ軍の40mmグレネード弾専用運搬ベストの後期型を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20231120更新)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
参考:今回のモデルと同時期(1980年代)のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
スポンサーリンク
アメリカ軍 実物 放出品 40mm グレネード キャリング ベスト OG (表記S 胸囲38インチ以下)
VEST AMMUNITION CARRYING 40MM グレネードベスト 米軍払い下げ品 BRY-035c (M)
い
ダミー グレネード モスカート 模型 M433HE1 40mm 4本入り M203 40mm カート ガスグレネード シルバー BD7987
キングアームズ M79 グレネードランチャー KA-CART-04
G&P スカルフロッグタイプ M203グレネードランチャーL
スポンサーリンク