今回は、1990年代のアメリカ軍パイロット用サバイバルナイフを分析します。
元は海軍が開発したモデルですが、後にアメリカ全軍でも使用されるようになりましたね。
今回のモデルは、比較的新しい時代のものになります。
少々汚れていますが、デッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ軍パイロット・サバイバルナイフ(8662E・オンタリオ社製)とは?
第二次大戦中の1940年代、アメリカ海軍はパイロットにサバイバルナイフを支給していました。
これは、6インチナイフブレードとノコギリブレードの付いた、大きくて重いものでした。
文字通り、不時着時などにおける生存性を確保するための優秀なナイフでしたね。
ただしその重量から持って歩くには少々不都合があり、1950年代には大幅に改良したモデルが採用されましたよ。
それがアメリカマーブル社製の6インチモデル(最初期型)でした。
(カミラス社も生産)
しかしベトナム戦争中には、さらにブレードを短く(5インチ)した後期型モデルが採用されました。
(この改造については賛否両論だったようですね。)
今回のモデルは、その後期型なのですがシース(鞘)に金属性のプレートが追加されたベトナム戦争後のモデルになります。(諸説あり。)
とても携帯性が良くて、しかも安全にも優れているのが魅力ですね。
さてさて、それはどんなサバイバルナイフなのでしょうか?
今回は、ミリタリーナイフマニアのみならず、キャンプで使用する手軽なナイフをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体形
(シースへの格納状態)
右側面とシース表側
左側面とシース裏側
上面
下面
ポンメル
社名と契約年月(1994年度契約品です。)
ブレードは峰にセレーション(ソーバックとも言います。)あり。
表面仕上げは、ざらざらのパーカライジング加工。
(ここまで反射防止を図るって…。)
まるでヤスリのようです。
(抜き差しする度にシースを削っていますよ。😓)
クロスガードには2個の穴があります。
これは、ナイフを棒などに取り付ける場合のサポートですね。
クロスガードの汚れは、購入当初からありました。
ハンドルは皮革の積層ですが、中央部分が盛り上がっていて、とても握りやすいです。
皮革製というのも、汗を吸収するので良いですね。
クロスガードとポンメルの間にも金属製のスペーサーがあることに注意。
ポンメルはカシメた後に削られていますね。
シース上部
ハンドル固定用のストラップは ダットファスナーで開閉
二本のスリットがあって、ベルトを通すことができます。
(スリット両端は丸い切り欠きがあって、応力を分散させていますね。)
シース下部には砥石ポケットが。
ダットファスナーで開閉
ポイント付近には、金属製のカバー付き。
シースは糸で縫い合わされていますが、金属製カバーはリベット留めですね。
裏側には広い面積でブレード面をカバー。
先端に2個の穴があって、コード(紐)を通すことができます。
(ストラップ付近にも2個の穴がありました。)
データシール
1994年度契約品です。
左:旧モデル(カミラス社製・中古)との比較
シース下部の形状や金属プレートの有無が違っていますね。
(旧モデルのシース上端は、使用に伴い丸まっています。)
(追記20210305)
今回のモデルとは違うタイプのシース
(砥石ポケットが省略されています。)
サバイバルキット(射出座席のシート底面などに格納されています。)での容量を稼ぐための措置がなされています。
(稀にパイロットもサバイバルベストなどに縫い付けている場合もありますよ。)
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3 その特徴とは?
ブレードは炭素鋼(スチール)で、表面をサンドブラストで処理したのちに、パーカライジング(防錆)処理されています。
近年のモデル(このメーカー品だけかもしれませんが…。)は、表面処理が粗く、板ヤスリみたいですね。
ナロータング(ナイフブレードの一部がポンメルまで通じている構造)でとても頑丈です。
ブレードはアメリカンブーイ型のフラットタイプですね。
ブレードの背(峰)には、鋸刄(セレーションやソーバックとも言われています。)があります。
ハンドルは、レザーワッシャーの積層で、6本の溝があるのが特徴ですね。
クロスガード(鍔)は、長方形で、紐を通す穴が2個開いていますよ。
これは、紐で棒などに取り付けるためのものですね。
(うまく取り付けると、槍として使えます。)
シース(鞘)はレザーですが、先端から背面のブレード部分までは金属のカバーで覆われていますよ。
ナイフをシースに格納した状態で斜めに強い力が加わると、場合によってはナイフのポイント(切先)がシースを突き破って露出する場合があります。
それを物理的に防いでいるのですね。
また、シースにはベルトなどに通す2本のスリットと、コードを通す合計4個の穴もあります。
あと、パイロットサバイバルナイフの特徴として、前面のポケットに砥石が装備されていますね。
(砥石ポケットのないモデルも存在します。)
全体的な仕上げは、カスタムナイフのように美しくありませんが、見た目より実用重視、量産優先の造りですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1994年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 炭素鋼
皮革
各部のサイズ(平置)
ナイフ
全長 約243cm
全幅 約57cm
厚さ 約11cm
ブレード長 約125cm
ブレード厚 約5cm
ハンドル長 約113cm
ハンドル太さ 約29cm
シース
全長 約250cm
全幅 約80cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 2(やや困難)
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ONTARIOオンタリオ6150499Air Force Survivalエアフォースサバイバルシースナイフ
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5 まとめ
映画「ランボー」シリーズに出てくる大型のサバイバルナイフに比べると、迫力はありませんが、逆に使い易いサイズですね。
ブレードが6インチから5インチに変更された時には、その対人格闘能力が疑問視されました。
でも純粋に屋外で、キャンプなどに使用する分には、このくらいのサイズが細かい作業に向いているのかもしれません。
また金属プレートのおかげで、ナイフを安全に携帯できるのも魅力ですね。
ただ本格的に使用するには、さらなる研ぎ直しや片刃化などが必要ですが、それも楽しい作業かもしれませんね。
このナイフはその名称にかかわらず、多くの将兵に支給され使用されました。
(陸軍や海兵隊では、サスペンダーに逆さに取り付けている例もありますね。)
このナイフの優秀性を如実に示す事例ですね。
使えるナイフと言えるのでは?
まさにキャンプ、登山などには最適なナイフと言えます。
また、市販の平均的な品質のアウトドアナイフより、安価なのも助かりますね。
オンタリオ社の製品(おそらく復刻品)なら、現在でも大手通販サイトでも入手可能です。
あと国産のモデル品もありますよ。
有名な関の「K社」から販売されていて、こちらはブレードやハンドルの仕上げも幾分良いようです。
(ブレードが艶あり、ハンドルがブレードよりやや長い、シースに金属のカバーが無い…ので識別は容易ですよ。)
知ってか知らずか「アメリカ軍サバイバルナイフ」として取引されている場合もありますね。
(実際にアメリカ軍パイロットによって使用されたという説もあります。)
外観はそっくりなので要注意ですね。
(下に国産モデル品に関するツイートを載せています。)
ちゃんと識別して購入しましょう!
なお、使用する予定もないのにナイフを携行したり、シチュエーションに合わない場所(車のダッシュボードコンテナとか)へ保管していると、場合によっては警察に逮捕されることがあります。
また、キャンプでも警察官の所持品検査等を受ける場合もあり、ナイフが発見されると事情聴取などを受ける場合があります。
ナイフの携帯と保管には、十分注意してください。
今回は、使えるアメリカ軍のパイロットサバイバルナイフを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230101更新)
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参考:他のミリタリーナイフに関する記事はこちらです。⬇︎
アメリカ軍パイロットサバイバル装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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Twitterで見つけました!
国産(日本製)のパイロット・サバイバルナイフのモデル品です。
#garage https://t.co/BaWCU3Df4Yガレージオガワドットコム、ベトナム戦争🇻🇳で、アメリカ軍🇺🇸のパイロット用サバイバルナイフで
— garage ogawa.comガレージ オガワ ドット コム (@GarageOgawa) 2019年3月31日
当時官給品が間に合わず、日本製のこのガミラスデザインタイプをパイロットが使い、大人気だった物で、そのデット品です。 pic.twitter.com/BmgXcven9t
やはり、仕上げは国産のモデル品の方が丁寧ですね。
皆さんはどちらを選びますか?
読んでいただき、ありがとうございました。
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