今回は、1930年〜40年代のドイツⅢ号戦車、Ⅳ号戦車用履帯(りたい)を分析します。
以前、Ⅱ号戦車(またはⅠ号戦車)用の履帯を分析しました。
今回のモデルは、それを大きくした本格的な重量級戦車用ですね。
中古品ですが、比較的外観がよく残っている上品です!
目次
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1 ドイツ陸軍Ⅲ号・Ⅳ号戦車用履帯(キャタピラ・トラック)とは?
第一次大戦で、戦車の威力を身をもって体感したドイツ軍は、ベルサイユ条約で戦車の開発と所有を禁じられていたにも関わらず、秘密裏に開発を進め、Ⅰ号・Ⅱ号戦車を開発しました。
どちらも性能的には平凡(むしろ非力)で、ドイツ軍的には「お試し」的な存在でしたね。
その後、それらを拡大した本格的な主力戦車の開発に勤しみます。
そうして開発されたのが、Ⅲ号およびⅣ号両戦車でした。
Ⅲ号、Ⅳ号戦車については、以下をご覧ください。
いずれも外観はほぼ直線で構成されていて、量産に重きを置いたデザインが特徴でしたね。
(Ⅲ号戦車、Ⅳ号戦車の大きな違いは転輪数ですね。)
両車とも大戦前半のドイツ軍主力戦車と火力支援戦車でした。
(ドイツご自慢の戦車だったらしく、旧日本軍も輸入するはずでしたよ。)
今回のモデルは、それらの戦車に使用された履帯(キャタピラ、トラックとも呼ばれます。)になります。
とても複雑な構造で驚きました。
細部を見ていくと、並々ならぬ工夫がありましたよ!
さてさて、それはどんな履帯なのでしょうか?
今回は、ドイツ戦車マニアのみならず、戦車道アニメファンのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
全体形
どことなくⅡ号戦車用履帯と似たデザインですね。
(Ⅱ号戦車の履帯を拡大したイメージです。)
表面
左右端に小判型の穴(肉抜き穴)があるのが特徴です。
設置面側は、台形で構成されていて、表面がゴツゴツしています。
(語彙力!)
裏面
左右側面
前面
後面
刻印
設置面の溝
これがあると横滑りをある程度抑えることができる…のでしょうか?
起動輪の刃が掛かる部分の横には小さな穴が開いているのが特徴ですね。
転輪のガイドはムクではなく肉抜きがなされています。
力の加わらない所で軽量化を図っていますね。
履帯ピンが通る溝も一部で肉抜きがなされています。
裏面の転輪が当たる部分は平らになっていますね。
でも地面に接する所は抵抗が増えるようにギザギザなデザイン。
履帯ピンの穴は開いていて、現在でも使用できそうです。
Ⅰ号・Ⅱ号戦車用履帯との大きさ比較
上:今回のモデル
下:Ⅰ号・Ⅱ号戦車用履帯
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3 その特徴とは?
接地面は台形で、起動輪の歯が掛かる2個の穴が左右にあります。
Ⅲ号・Ⅳ号戦車の転輪は、二枚が合わさっていいるのでガイドピンは1本ですね。
(2号戦車用は転輪が一枚だったのでガイドピンが2本でした。)
今回のモデルは、設地面に2本の溝が入っているタイプですね。
材質は鋼鉄で、製造方法は鋳造(型に鉄を流し込んで製造する手法)です。
おそらく一回で抜いていますので、とんでもない技術が用いられているようですよ。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1940年代
製造場所 ドイツ
契約会社 ドイツ
製造会社 〃
材 質 スチール
各部のサイズ(平置)
全幅 約38cm
全長 約16cm
厚さ 約13cm
重 量 約5.7kg
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 東京の専門店
入手難易度 3(困難)
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モノクローム 1/16 III号戦車(3in1)【MCT932】 プラモデル
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5 まとめ
なかなか興味深いデザインですね。
ところで、Ⅲ号戦車については面白い(?)エピソードがあります。
その1
上述のとおり戦車の開発・所有を禁じられたドイツは、苦肉の策で当時のソ連と「ラパッロ条約:独ソ経済・軍事連携条約)を結び、戦車を用いた訓練をソ連領内で行っていました。
そこで自信満々にⅢ号戦車をソ連兵に見せて「これがドイツで一番重い(当時は重さが強力さの表れでした。)戦車だ!」と紹介したところ、ソ連兵の誰もが信じなかったそうです。
なぜなら、当時のソ連軍には、もっと重く強力な戦車が続々開発・量産されていたからなんですね。
訝しく思ったドイツ兵がその理由を知ったのは、独ソ戦が始まって間もなくのことでした。
その2
ソ連への侵攻を画策していたヒトラーは、侵攻前に当時のⅢ号戦車について、攻撃力の不足を懸念していました。
そこで「戦車砲を今より長砲身の50mm砲に換装するべきだ」と意見しました。
肝心の戦車開発担当者は、数々のできない理由を挙げて渋った結果、短砲身のまま独ソ戦に突入してしまいました。
その結果、強力なソ連戦車を相手にⅢ号戦車では全く歯が立たなかったことが判明。
大急ぎで戦車砲を長砲身に換装したのでした。
面白いですね!
(一般の会社でも類似エピソードがありそうです。戦車でなくても…。)
それはともかく、大戦中のドイツ戦車は世界中で大人気ですね。
そのため履帯といえども、その入手は困難です…と書こうとしたら、なんと現在大手通販サイトで取り扱っていました!
しかも1930年代の初期型履帯です!
(欲しい!)
また、時々オークションでも見かけますよ。
でも、少し気になることもあります。
…というのも、現在欧米ではドイツ戦車の復元・復刻ブームで、なんと部品を一から新しく造ったりしていますね。
今後はそんな復元部品が出回るかもしれません。
探しているあなたは注意しましょう!
あと購入には、ある程度の資金が必要です。
また重量物なので、取り扱いには十分注意しましょう!
(足の指に落としたら骨折してもおかしくない重さです!)
今回は、貴重な大戦中のドイツⅢ号・Ⅳ号戦車用履帯(キャタピラ)を分析しました。
いやードイツ戦車って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回のドイツ戦車履帯に関する記事をお楽しみに!
(20240820更新)
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参考:他の戦車装備品に関する記事はこちらです。⬇︎
第二次大戦における各国軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
ドイツ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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