今回は、1980年代の南アフリカ軍特殊部隊迷彩ユ二フォームを分析します。
官給品とモデル品の2種類を準備して比較してみました。
詳細を比べてみて、まさかの事実が判明しましたよ!
官給品はデッドストック、モデル品は中古良品です!
目次
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1 南アフリカ軍特殊部隊迷彩ユニフォーム官給品とモデル品の違いとは?
1980年代に伝説のミリタリー雑誌「PXマガジン」で紹介され、瞬く間に人気になった南アフリカ軍特殊部隊迷彩ユニフォーム。
その雑誌では、乾燥地帯に適した迷彩パターンの戦闘服、東西織り混ぜた武器の採用、挑戦的な写真などなど、南アフリカ特殊部隊の実情が赤裸々(?)に取り上げられて、秀逸な記事でしたね。
ちょうどその頃、愛知県のとあるミリタリーショップが開店、イギリス系がメインであったものの、南アフリカ軍物も取り扱っていました。
そこで私も今回のモデル(官給品)を入手することができたのですが…。
その後、迷彩生地は似ていますが、明らかにデザインが官給品とは違うモデルをポツポツ見掛けるようになりました。
あろうことか「南アフリカ軍特殊部隊専用迷彩服」と嘯いて販売されている場合もありましたよ。
(知らずに販売しているのかどうかは不明でした。でも初心者は買ってしまうかも?🤔)
お店によっては堂々と「ローデシア軍迷彩服(実物)」と称しているところも!
驚きました。
おそらく現代では、そんなインチキで販売しているところはないと思います。
でもネットオークションやフリマなどの個人売買が台頭してきた現在、ショップで購入したものを、そのままなんの疑いも持たずに出品している個人がいるかもしれません。
今後はむしろ、購入する側がより確かな識別眼を持ってチェックする必要性に迫られているのではないでしょうか?
そこで今回は、南アフリカ軍特殊部隊迷彩ユニフォームの官給品とモデル品を比べてみるとともに、簡単に見分けることのできる識別点を見出してみたいと思います。
目標は「この記事を読めば、誰でも南アフリカ軍特殊部隊の迷彩ユニフォームの官給品とそれ以外を識別できる」です。
迷彩服コレクター初心者であるあなたの参考になれば幸いです!😃
2 全体及び細部写真です!
官給品
前面及び背面
モデル品
前面及び背面
(識別のために業者が縫い付けたARMYパッチをそのままにしています。)
ジャケット
全体的なレイアウト
左:官給品 2ポケットのシャツタイプですね。
右:モデル品 4ポケットのアメリカ軍BDUタイプです。
タグ
左:官給品
右:モデル品
タグの形状や表記方法も違っていますね。
肩付近
上:官給品 エポレット有りです。
下:モデル品 エポレット無しですね。
胸ポケット
上:官給品:ボタンが表に出ています。
下:モデル品:隠ボタンです。
腰付近
上:官給品 腰ポケットがありません。
下:モデル品 腰ポケットがあります。
前見頃
上:官給品 ボタンが表出しです。
下:モデル品 隠ボタンです。
袖
官給品
強いテーパーが付いていて、袖口はマジックテープで開閉
モデル品
ほぼストレートで、袖口はボタンで開閉
肘に補強生地あり。
タグ
官給品
南アフリカの表記あり
(複数のメーカーあり。)
モデル品
アメリカ軍BDUに準じた記載方法
(白いタグはジャケット、トラウザーズ共通)
アメリカ製の表記あり。
背面
左:官給品 ウエストには何もありません。
右:モデル品 ウエストにサイズ調整タブがあります。
トラウザーズ
右側面レイアウト
左:官給品 ウエスト部が別部品ですね。
右:モデル品 ウエストが本体と同じ生地です。
ヒップのデザインも少々違っていますね。
ウエストのサイズ調整ストラップ
上:官給品 メッキのバックルで、ストラップは前方に流れます。
下:官給品 黒染めのバックルで、ストラップは後方に流れます。
また、ベルトループも官給品はピストルベルト(弾帯)が使用できるよう長いタイプですね。
膝ポケット
上:官給品
下:モデル品
裾のドローコード
上:官給品 表側から取り出す方式
下:モデル品 折り込んだ裏側から取り出す方式
ボタンと縫い糸
上:官給品
イギリス軍タイプのサラ型
タンの縫い糸
下:モデル品
アメリカ軍BDUタイプの肉厚型
OGの縫い糸
前合わせ
左:官給品 マジックテープとジッパー。
右:モデル品 ボタンのみ
官給品タグ
シャツと共通ですね。
でも、タグごと縫い付けられています。😅
モデル品タグ
こちらもサイズ以外はジャケットと共通です。
官給品ジッパーは「YKK」
モデル品トラウザーズには、アメリカ軍のBDUタイプも存在しています。
側面レイアウト
ヒップポケット
ポケットフラップ付きのスラッシュポケット
2個のボタンで開閉
膝ポケット
2段のプリーツ付きです。
ポケットフラップ前端は縫い付けられていますね。
臀部には円形の補強生地があります。
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3 その特徴とは?
迷彩は、タンの生地にレッドブラウン、ダークグリーンを用いて、刷毛で荒く塗ったようなパターンを描いています。
旧ローデシア軍迷彩とパターンは似ていますが、パターンのキレや迷彩色調は全く別ものですね。
また、官給品とモデル品では、タンの色調がやや違っています(モデル品がやや茶色味が強い)が、プリントを比べると同じプリントローラーを用いて製造されているようです。
迷彩比較
(代表してジャケットを比較)
左:官給品
右:モデル品
色調に僅かな違いがありますが、誤差の範疇ですね。
後から官給品に似せて迷彩生地を作る場合、ここまで完璧にコピーすることは多大な労力を有るためコスパが悪くなりますね。
これは同じメーカー又は機械で製造された生地として間違いなさそうです。
(材質に違いはありますが…。)
ただし、官給品がコットン製なのに対し、モデル品はコットンとポリエステルの混紡でした。
(それが迷彩色調の違いに直結しているのでしょうか?)
デザインは、官給品が上下とも南アフリカ軍独特のシンプルなものに対し、モデル品はアメリカ軍のBDUに準じた凝った造りになっていますね。
(ただし今回のモデル品トラウザーズのポケットは、概ね官給品に合わせてデザインされていますね。)
全体的な縫製は、官給品は少々雑で強度も足りませんが、モデル品はアメリカ軍BDUに準じたやや正確で頑丈な仕立てになっています。
モデル品は手慣れていて確かな技術のあるメーカー製…そんな印象です。
(通常は逆なのですが…これも面白いですね!)
4 製造とサイズのデータです!
( )はモデル品
製造・契約年度 1980年代
(1990年代)
製造場所 南アフリカ
(アメリカ)
契約会社 〃
製造会社 〃
材 質 コットン
(コットン・ポリエステル)m
表記サイズ M
(M、L)m
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
官給品
シャツ
着丈 約74cm
肩幅 約46cm
身幅 約57cm
袖丈 約66cm
トラウザーズ
ウエスト 約46cm
着丈 約110ccm
股上 約32cm
股下 約80cm
裾幅 約24cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
モデル品
ジャケット
着丈 約78cm
肩幅 約50cm
身幅 約61cm
袖丈 約62cm
トラウザーズ
ウエスト 約48cm
着丈 約106cm
股上 約31cm
股下 約79cm
裾幅 約21cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
南アフリカ特殊部隊迷彩ユニフォームの官給品とモデル品を比べてすぐわかる識別点は、
- ジャケットのポケット個数とエポレットの有無
- 各ボタン
- トラウザーズの前合わせとウエストサイズ調整用ストラップ
- タグの表記方法
- 縫い糸
ですね。
ここを掌握しておけば識別は可能です。
(例えタグが失われていても大丈夫です。)
今回、迷彩生地の製造メーカー(製造機械?)は同じということがわかりました。
(なるほど、よく出来ている迷彩生地だと思いました。🤔)
これは、官給品の少し後にモデル品が出てきたことを考えると、もしかしたら南アフリカでキャンセルされた迷彩生地をアメリカのメーカーが全て買い取り、モデル品を製造したのではないでしょうか?
(勿論、アメリカ本土で製造されたものとは限りませんが…。)
ちょうど1980年代〜90年代というのは、かの旧ローデシア軍装備が激減してきた頃でもあり、似ている南アフリカ軍特殊部隊迷彩を「ローデシア軍物」と偽って利益を得ようとしたのかもしれませんね。
その真偽や経緯は不明ですが、このモデル品の出現で、ミリタリー市場は少なからず混乱が発生していたようです。
でも今回の記事を参考にすれば、迷彩服コレクション初心者のあなたも的確に識別できますね。
もう悪意を持った業者に騙されることもないでしょう!
(判断つかない場合は、もう一度この記事を読んでみましょう!)
さて今後ですが、あるいはモデル品迷彩生地を用いて(またはモデル品を分解して)、官給品デザインを踏襲したモデル品が出てくるかもしれません。
もし私が生きているうちにそんな官給品もどきを見つけたら、必ず入手して記事にしますね!
今回は、何かと誤解や問題の多い南アフリカ軍特殊部隊迷彩ユニフォームの官給品とモデル品を比べてみました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20241009更新)
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参考:他の南アフリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
おそらく今回のモデルが参考にしたと思われる旧ローデシア軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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