今回は、1940年代のアメリカ軍M1ヘルメットを分析します。
1940年代では、最も優れたヘルメットでしたね。
今回のモデルは一般兵科用ライナーの付いた量産型(後期型)になります。
保管上の傷、錆がありますが、当時のデッドストックですよ!
目次
- 1 アメリカ軍M1ヘルメットセット(量産型・一般兵科用ライナー・迷彩ヘルメットカバー付き・デッドストック)とは?
- 2 全体及び細部写真です!
- 3 その特徴とは?
- 4 製造とサイズのデータです!
- 5 まとめ
スポンサーリンク
スポンサーリンク
1 アメリカ軍M1ヘルメットセット(量産型・一般兵科用ライナー・迷彩ヘルメットカバー付き・デッドストック)とは?
万全な準備を整え、太平洋における対日戦争を誘発させたアメリカでしたが、個人装備では少々準備不足な感がありましたね。
特に戦闘に使用するヘルメットに関しては、1917年に採用されたイギリス軍皿型ヘルメット(とその改良品)が主力でしたよ。
このヘルメットは、第一次大戦の戦訓から生まれたもので、塹壕において主に上から降ってくる落下物からの防御に主眼を置いたものでした。
それなりに有効なヘルメットでしたが、予想される近代的な戦闘には少々役不足との判断から、新しいヘルメットが開発されます。
それが今回のM1ヘルメット…今回のモデルです。
初期の製品はチンストラップを取り付けるループが溶接の固定式でしたが、今回のモデルは可動式に変更された量産型になります。
当時の他国のヘルメットに比べて、二重構造になっているのが特徴ですね。
さてさて、それはどんなヘルメットなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍装備マニアのみならず、世界の歩兵ヘルメットを研究しているあなたと一緒に確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
シェル
全体形
デッドストックですが、重ねて保管されていたのかシェル表面に傷や擦れあり。
前面
左側面
右側面
(ライナー付)
後面
上面
底面
ヘルメットの刻印(12F 2L)
チンストラップ
チンストラップの金具
殆ど使用されなかったという説もありますね。
チンストラップロック位置
チンストラップ取り付け基部
初期の製品は、スクエアのループがシェルに溶接されていました。
しかし破損が多く、のちに今回のモデルのような可動式に変更されましたね。
チンストラップは左右とも縫い付けられていて、取り外し不可能です。
ライナー
全体形
前面
正面中央部には階級章を取り付ける金属製ハトメがあります。
左側面
右側面
後面
上面
底面
サスペンションの生地がカーキなのが嬉しいですね。
サスペンション部拡大
サスペンションは、帽体と頭との間隔を保つとともに、被る深さを紐で調整できます。
ヘッドバンドはバックルで長さを調整できます。
ヘッドバンド裏側のスタンプ
1945年度契約品ですね。
後頭部のバンド
裏側には契約年度などのデータがスタンプされていました。
リベット留めですね。
こちらも1945年度契約品です。
ヘッドバンドは皮革製の汗止め付
汗止めの取り付け金具はODに塗装されています。
ライナー用チンストラップ
表側がブラウンに染められていますね。
折り返し側のフック
チンストラップのバックル
勿論デッドストックなのですが、長期保管で緑青が出ています。
バックルの金具裏側
固定側のフック
こちらはリベット留めですね。
チンストラップは、ライナー内側左右にあるピンに取り付けます。
ライナーはシェルの内部に重ねて使用します。
二重構造ですね。
サイズ感はピッタリ(ピチピチ?)ですね。
おまけ
ヘルメットカバー
朝鮮戦争時代以降のものですね。
春夏側と秋冬側のリバーシブルになっています。
春夏側
本来はライトグリーンの生地なのですが、露出部分が日射による褪色で濃いカーキになっていますね。
そのままではチンストラップが使用できないので、兵士がヘルメットカバーに穴をあけてチンストラップを通していました。
秋冬側
こちらもタンがライトブラウンに変色しています。
秋冬側にあるデータスタンプ
1953年度契約品です。
海兵隊マーク(拡大)
かなり雑にスタンプされています。
ヘルメットカバーを被せた状態
全体形
ライナーとシェルを固定するために、ライナー用チンストラップをシェルの前縁に掛けます。
前面
海兵隊マークがスタンプされています。
後面
シェルのチンストラップは、多くの場合後部に固定していました。
右側面
ヘリメットカバーにはいくつかの偽装用ボタンホールがあって、草木を装着することができます。
左側面
スポンサーリンク
スポンサーリンク
3 その特徴とは?
ヘルメット本体は、シェル(外帽)とライナー(中帽)に分かれているのが特徴です。
シェルはスチール製で、表面に砕いたコークスの粒を貼り付けて反射防止にして、その上から半艶消しのODに塗装されていますね。
前述したとおり、チンストラップを取り付けるためのループは可動式で、チンストラップは、ループに縫い付けられています。
一方ライナーはベークライト製で、表面は艶消しのODで塗装されていますよ。
ライナー正面には、階級章などを取り付けるホールあり。
ライナー用チンストラップは皮革製で、ライナーからワンタッチで取り外すことができます。
シェルと一緒に使用する場合は、シェルの前面にチンウトラップを掛けて安定させます。
(今回のモデルは一般兵科用なのでチンストラップは通常タイプですが、空挺用には専用のコットン製逆A字ループに皮革製チンストラップを取り付けます。)
M1ヘルメット(空挺ライナー付)
皮革製チンストラップとA型ループに注意!
pin.it
https://pin.it/1aw2tytMU
サスペンションもコットン製で三本のループに一本の紐を通し、紐の直径で被り具合を調整します。
ヘッドバンドもコットン製で、長さはバックルで調整。
ヘッドバンドには皮革製の汗止めも装着できますね。
全体的な造りは丁寧かつ正確で、やはりアメリカの工業力を垣間見ることのできる製品といえます。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1945年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 スチール
ベークライト
コットン
表記サイズ フリー
各部のサイズ(平置)
縦 約28cm
横 約23cm
高さ 約18cm
重 量 約1.46kg
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 岐阜の模型店
入手難易度 3(困難)
スポンサーリンク
LUCKYYAN Perfect WW2 米国陸軍 M1 グリーンヘルメットレプリカ ネット/キャンバスあご紐付き DIYペインティング
スポンサーリンク
5 まとめ
今回のモデルは、じつは戦後にとある戦艦の倉庫から見つかった、全くのデッドストックだったとか?
確かに当時TP社広告には、そんな話が載っていました。
面白いですね。
少しアメリカ軍装備に知識のある方なら「海軍物ならシェルはグレイに塗装されているのでは?」と思うかも?
でも陸軍の兵士同様ODのシェルも存在しました。
(ですので戦艦の倉庫から見つかったのは、あながち嘘とは言い切れませんね。)
当時のアメリカ海軍艦艇対空砲火要員
(ヘルメットのカラーに注意!)
pin.ithttps://pin.it/1ahpPYD9Z
ところで、このヘルメットが支給された当時の各国軍ヘルメットは、どこも金属製の一枚シェルで、それに直接サスペンションが取り付けられていました。
しかし敢えてアメリカは、この二重構造のヘルメットを採用したのですね。
確かに銃弾への耐性は殆どありませんが、砲弾や爆弾の破片から頭部を保護する…という意味では、最も効果的なヘルメットでした。
戦後に自衛隊を含む多くの国が、この種の二重構造ヘルメットを採用したこと自体、優れた設計だった証左といえますね。
さて当時としては画期的だったM1ヘルメットですが、さすがに現在では数が少なく、状態も悪いものが多いようです。
それでも中古極上品は、探せばまだ見つかりそうですよ。
その場合は、シェルのチンストラップやライナーのサスペンションなどがカーキであることが識別点になります。
(一部チンストラップがODのタイプがあったとの情報もあります。)
でも中古品を購入したら、洗浄や補修が必要な場合が多く、すぐ使用ができない場合がありますね。
でも、安心してください。
M1ヘルメットに関しては、精巧なモデル品が各種販売されていますよ!
(再現度が高い製品が多いですね。)
モデル品なら新品なので問題なく使用できるのが嬉しいですね。
リエナクトはもちろん、火災時や防災用にも使用できそうですよ!
あなたのシチュエーションに合わせて購入してみましょう!
今回は、アメリカ軍M1ヘルメットのデッドストックを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20240901更新)
スポンサーリンク
スポンサーリンク
参考:各国軍のヘルメットに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
第二次大戦中の各国軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
スポンサーリンク
LUCKYYAN Perfect WW2 米国陸軍 M1 グリーンヘルメットレプリカ ネット/キャンバスあご紐付き DIYペインティング
アメリカ軍 M-1 スチールヘルメット (スチールシェル+プラスチックライナー) OD レプリカ
スポンサーリンク