今回は、1950年代にアメリカ空軍で使用されていた…とされる、パイロットウェザーコンピューターを分析します。
以前パイロットが航空機の離着陸に使用するフライトコンピューターを分析しました。
今回のモデルは、それとは別の用途に使用する、やはり一種のフライトコンピュータとも言えます。
残念ポイントもありますが、時代を考えると極上品ですよ!
目次
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1 アメリカ空軍パイロットウェザーコンピューター(CK–1・1959)とは?
古今東西のすべてのパイロットの天敵として存在し、現在も大きな脅威を与えているものに天候があります。
特に強い風や強い雨、霧、そして発達した積乱雲(入道雲)などは、パイロットの視界を奪ったり、機体に損傷を与えて最悪墜落に至ることがありますね。
そのため気象の学者先生は官民パイロットと協力してなんとか天気を把握し、いつでもどこでも、そしてパイロットなら誰でも気象情報を認識したり、飛行障害現象を予測したりできるようにならないか?…と考えました。
こうして完成したのが、今回のモデルです。
まだインターネットがなく、コンピューターも未発達、気象に関する理論も今ほど確立されていなかった時代に、よくこれだけのものを作ったものだと感心してしまいます…
(パイロットがもしこれを持っていたら、心に少し余裕を持てたかもしれませんね。)
主に長距離を移動する輸送機や爆撃機のパイロットが使用していたそうです。
(もしかして民航
さてさて、それはどんなウェザーコンピューターなのでしょうか?
今回は、パイロット装備マニアのみならず、航空気象の最前線で闘っている自衛隊の予報官、そして気象予報士資格をお持ちのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
A面
主に天気図から得られる情報の種類が記載されています。
残念ながらA面左側は、やや褪色しています。
(本体なら小さいディスクは、一様の薄いグリーンだったようです。)
A面上半分
アメリカ本土で発生する、主な前線の種類、気団、雲形、風向、飛行障害現象の種類
A面下半分
テレタイプによる気象情報の内容解説
A面左上
A面右上
A面左下
A面右下
B面
主に前線やその近傍で発生する雲・降水現象と飛行障害現象について記載されています。
B面上半分
B面下半分
B面左上
「ICING」とは機体・翼やプロペラに付く氷のことですね。
(着氷とも言います。)
B面右上
「Thunderstorms」とは雷ですね。
(雷電とも言います。)
B面左下
B面右下
古い製品なのでNSN(国際物品番号)などは記載されていません。
(とはいえ、FSN(連邦物品番号)も記載されていませんが…。🤔)
A面及びB面の表面ディスクにはストッパーがあって、際限なく回転するのを防止しています。
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3 その特徴とは?
ディスクは大小3枚で構成されています。
最も大きい中央のディスクには両面に、他のやや小さいディスクは片面に各種諸元がプリントしてあり、中央で金属製ハトメで止められていますよ。
勿論、小さいディスクは可動(回転)して、三角形の窓から各種諸元を見ることができます。
A面には、当時の通信手段である「テレタイプ」で送信された気象情報を読むために必要な諸元を。
B面には、実際にフライト中に雲やその周辺で遭遇する飛行障害現象(雷電、着氷)が一目でわかるようになっていますね。
(残念ながら、乱気流に関する記載はありませんでした。)
今回のモデルは、勿論アメリカ本土用であり、日本ではそのまま使える訳ではないようです。
でも部分的には参考になるかもしれませんね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1959年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 プラスティック
(アクリル?)
各部のサイズ 直径 約153mm
厚さ 約4mm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品?
入手場所 沖縄の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
優秀な気象レーダーやラジオゾンデ観測(気象観測機器に気球をつけて飛ばし、無線で観測データーを送るシステム)が発達した現在では、より詳細な気象データを入手できるようになりました。
そしてより確実に(それでも万全ではありませんが。)飛行経路の悪天が予想できるようになりましたね。
気象庁作成
国内悪天予想図
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kouku/3_yohou/32_kuuiki/32_kuuiki.html
そしてインターネットの発達で、いつでも、どこでも、誰にでも瞬時に情報を伝達することができるようになりました。
航空機も性能が向上し、レーダーを搭載できるようになってからは、パイロット自身が離れた位置から雷雲の位置や高さを認識できるようになりましたね。
(そしてを回避できるようにもなりましたよ。)
もはや現代においては、今回のモデルのような手動のウェザーコンピューターは必要ないかもしれません。
それでも当時入手できるデータを最大限活用して、なんとか安全に飛行できるようにとの想いから先人が知恵を絞って作ったアイテムです。
記念的な意味も含めて、大切に保管していきたいですね。
今回は、珍しいパイロット用のウェザーコンピューターを分析しました。
いやー軍装品って、本当に興味深いですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231128更新)
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参考:パイロット用フライトコンピューターに関する記事はこちらです。⬇︎
他のパイロット装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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