
今回は、1980年代のスイス軍陸軍デニムジャケットを分析します。
アメリカ軍などのユーティリティジャケットに相当するモデルになります。
意外とファッショナブルで日本でも人気ですね。
実際に兵士が使用していた中古品ですが程度は極上ですよ!
目次
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1 スイス陸軍デニムジャケット(後期型・1980年代モデル)とは?


第二次大戦以降の各国軍隊は、それまでの「制服で戦闘する」という常識を棄てて、制服と戦闘服を別々に運用するようになりました。
用途にあった服装をするのは、ある意味当然な事ですね。
我々の私服でもそうです。
出勤用のお気に入りのスーツで、仕事から趣味(バイク、キャンプ、釣りetc)までこなす…というのは考えづらいですよね。
(逆に、作業服で冠婚葬祭に参加する人もまず居ないでしょう。)
軍隊も同じなんですね。
とは言え制服、戦闘服、作業服などと多種類の被服を開発、支給するのも莫大な費用が掛かる(一部のリッチな軍隊を除く)ため、概ね「制服」と「その他の用途用」に分けられる事が多いです。
スイス軍も同様で、制服の他に戦闘時にも使用できる汎用性の高い各種衣類を支給していました。
(迷彩が必要な場合は、作業服の上に迷彩スモックを着用していましたよ。)
ところが昨今の世界情勢に鑑み、軍の方針が「迷彩服を標準的に支給する」ように変わったため、それまで使用していた単色の衣類が不要となったのですね。
今回のモデルは、その「不要になった」ユニフォームで、スイス本国から大量に払い下げられたものになります。
一説には1950年代に採用され、1990年代くらいまで使用されたようです。
さてさて、それはどんなユーティリティーユニフォームなのでしょうか?
今回は、スイス軍マニアのみならず、ファッションリーダーのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
ジャケット
前面
シンプルなデザインですね。
背面
前面裏側
ライニングはありません。
裾付近のポケットが目立ちますね。
背面裏側
襟周りレイアウト
ボタンを上端まで留めた状態
前合わせはボタンのみです。

タグ①
うなじ付近にあります。
タグ②
1988〜1989年度契約品です。
タグ③
前身頃裏側にあります。
エポレットは、テーパーなしのクサビ型です。
ボタンで開閉
胸ポケット
やや角度が付いています。
ボタンで開閉
(初期型はボタンがありませんでした。)

袖口
ボタンで開閉

袖口はボタンで開閉
マチはありません。

前身頃裏側裾にある、ファアーストエイドドレッシング用ポケット
(救急包帯入れ)

トラウザーズ
前面
背面
前面裏側
ウエスト内側のボタンはサスペンダー用。
背面裏側
ウエスト背面裏側のループ
タグ
こちらは1987年度契約品です。
前合わせはボタンのみ。
右側面レイアウト

腰スラントポケット

腰ポケット後方にはボタンで開放するスリットあり。


スリット裏側

右側面腰ポケット下の細長いポケット

下端広報は角がカットされていました。

ヒップポケット
ボタンで開閉

ウエスト背面表側にあるサスペンダー用ボタン

裾
テーパー付。

ジャケットとトラウザーズは納入年度によって僅かに色調が違っていますね。

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3 その特徴とは?
デニム生地は、濃淡2色の太いグレイの糸(コットン)で織られています。
明るい側を表側にしていますね。
やや厚くて、とても丈夫そうですが、意外に軽量です。
デザインは、ジャケットがエポレット付き、胸ポケット×2のシャツタイプで、とてもシンプルですね。
内ポケットはありませんが、前身頃裏側にファーストエイドドレッシング(救急包帯)ポケットがありますよ。
しっかり戦闘も想定してあるんですね。
(ここは、携帯電話入れとして使えそうです!)
一方トラウザーズは、腰ポケット×2、ヒップポケット、縦長の細いポケットで、ウエスト周いにはサスペンダー用ボタンがあります。
また腰ポケット後方にはボタンで開放できるスリットがあって、下に着た衣類のポケットを使用できますよ。
…ということは、カバーオール的な使い方をするようです。
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で、強度も十分ですね。
今回のモデルとは別に、普段愛用している中古品もありますが、もう30年近く使用していますが、どこも綻びていませんよ!
耐久性は抜群ですね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 スイス
契約会社 スイス
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ ジャケット
48
トラウザーズ
47
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ジャケット
着丈 約74cm
肩幅 約47cm
身幅 約58cm
袖丈 約64cm
トラウザーズ
ウエスト 約44cm
着丈 約116cm
股上 約38cm
股下 約80cm
裾幅 約24cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易 1(容易)
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5 まとめ
世界的に見ると、つい最近まで軍装はOD(オリーブドラブ)またはOG(オリーブグリーン)系のカラーが主体でした。
それに対してスイス軍は、昔からグレイが基調ですね。
当然、今回のモデルもグレイ系です。
だからでしょうか?
一見軍物に見えないのが特徴ですね。

ところで今回のモデルは1990年くらいから国内でより頻繁に見かけるようになりましたよ。
(それまでは少数しか出回っていませんでした。)
当初珍しさもあって高価でしたが、現在はとても安価になっていますね。
現在では大手通販サイトでも取り扱われていて、なんとデッドストックが入手可能ですよ!
ただ、ジャケットのサイズは圧倒的に「48」が多く、トラウザーズはどこか修理しているものが多いですね。
注意点は、どちらかというと標高の高い地域で使用することを想定して製造されているので、真夏はかなり蒸れます。
しっかり織られたデニムなので、下にセーターを着込んだり、同軍のウールコートを重ね着することで真冬でも耐えられそうですよ!
日常的な、ユーティリティ(汎用)ジャケットとして一着いかがでしょうか?
(コーディネートはあなた次第!)
おすすめです!
今回は、小粋なスイス陸軍のデニムユーティリティーユニフォームを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20250820更新)
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参考:同じく初期型のデニムジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
他のスイス軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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