
今回は、1970年代のアメリカ空軍防寒N-2Bを分析します。
かつてはヘビーゾーン(−10℃〜−30℃)を担当するフライトジャケットでしたね。
このジャケットは、ある映画で衣装として多数使用されたことで有名です。
(覚えている方、いらっしゃいますか?)
今回はデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ空軍N-2B防寒ジャケットN-2B(6278F)とは?

まず、空気のお話です。
標準的な空気は、1000m上昇するごとに、気温が約6.5℃下がります。
(空気が乾燥していたら約10℃下がります。)
例えば、10000mまで上がると、少なく見積もっても65℃下がる計算になります。
仮に地上が冬で気温が5℃だった場合、10000mでは−60℃以下になるんですね。
航空機が、いつもそんな高度で飛ぶとは限りませんが、高高度での機内は気温がとても低くなります。
(多くの航空機は与圧されヒーターも付いていますが…。)
パイロットを含む航空機搭乗員は、敵と戦う前に寒さとも戦わなければならなかったのですね。
そんな寒気から搭乗員を守るため、アメリカが開発したのが一連の防寒フライトジャケットでした。
N-2Bとは、1945年採用のN-2から大きく分けて三番目の型式で、7番目のモデルになります。
ところが、いつしかフライトジャケットからグランドクルー(地上勤務員)用に格下げされてしまい現在に至ります。
でも現代のマテリアルを使用していて、皮肉なことにシリーズ中でも最も軽量なモデルになっていますよ!
さてさて、それはどんな防寒ジャケットなのでしょうか?
もうお馴染みかもしれませんが、アメリカ空軍マニアのみならず、軽快な防寒着をお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
デッドストックなのでシェルがピカピカですね。
フードのファーが目立ちます。
背面
丈は短いタイプです。
前面裏側
ファーの材質はアクリルのタイプです。
初期にはコヨーテの毛皮が用いられるモデルもありました。
背面裏側
ライニンングはシェルとは別の生地が使用されています。
前合わせはボタン、ジッパー、ダットファスナーですが、ボタンは紐ループで留めます。
タグ
1978年度契約品です。
サブタイプは「F」
裾前面裏側にあったスタンプ
検査スタンプでしょうか?
腰のポケットは ダットファスナーで開閉します。
ポケット内部は、毛布のように起毛した薄い生地でできていますよ。
ハンドウォーマーも兼ねているのですね。

ポケットにはスリットもあって、ジャケット下に着用している衣類のポケットが使用できます。
袖ニット
2段織の筒織ですね。
デッドストックなので全く伸びていません。

左袖のシガレットポケット
上にペンポケットがあって、内部にプラスティック製のペン先カバーがあります。
シガレットポケットのジッパー
刻印は「SCOVILL」の「GRIPPER」
裾前面のダットファスナー(2個)
フードはしっかりしていて、ジッパーを締め上げると自立します。
奥行きはかなり深く、これなら暴風雪でも耐えられそうですね。

フードには中央にジッパーがあり、左右に開くことができます。

フードのドローコード
開いたフードはダットファスナーで首の後ろに留めることができます。

フード内側には短いファーが。
これは暖かいですね。
前身頃のボタンは大きなグレイのプラスティック製です。
ボタンを留めるループ
ポケットの ダットファスナー
メインのジッパーも「SCOVILL」です。
ゴツイですね。
ダットファスナー裏側
メーカー名の刻印
袖はラグラン袖です。
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3 その特徴とは?
シェルはセージグリーンのナイロン製で、緻密に織られています。
デザインは、フード付き、エポレットなし、胸ポケット+スリット×2、袖ポケットで、裏側のほぼ全面にライニングがあり、中にはポリエステルウールの中綿が入っています。
でも、見た目よりはるかに軽量ですね。
フードはかなり頑丈で、暴風雪にも耐えられそうですが、ここは賛否の分かれるところです。
(使用しない時は意外とジャマなんですね。)
このフードで面白いのは中央にジッパーがあって使用しない時は左右に開くことができルところですね。
(これは、大戦中のB-9からの伝統です。)
着丈が短いのは、お腹までカバーする専用のトラウザースF–1Bとセットで使用するからですね。
全体的な縫製は、頑丈ですが少々粗い「アメリカ軍スタンダード」な仕立てですよ。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1978年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ナイロン
ウール
ポリエステル
アクリル
表記サイズ M
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約56cm
肩幅 約50cm
身幅 約60cm
袖丈 約61cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 浜松の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
着用してみると、とても暖かいジャケットですね。
真冬でも十分に使用できますよ。
フード付きというのも、強い風や不意の雪に対処できて便利です。
さすがアメリカ軍装備ですね。
しかしバイクで使用すると、意外と風が内部に侵入してきて寒かったです。
これは、丈が短いことが原因ですね。
(逆に単体で使用する場合は、とても軽快なのですが…。)
フードは、そのままでは空気抵抗がありますが、開けていると少々バタついて不快です。
(ヘルメット着用時はフードが使用できません。)
バイクには向いていないかもしれませんね。
(バイクで使用する場合は、セットのオーバーパンツも必要です。)

さて、今回のモデルはアメリカ軍官給品でしすが、比較的新しいモデルなので入手は容易です。
大手通販サイトでも、場合によってはデッドストックが入手できるかもしれません。
またN–2Bはモデル品も発売されていますね。
こちらは沢山のカラーが選択できるので、ゴリゴリのミリタリーマニア以外がモデル品を購入するという手もありますよ。
(民生品のモデルによっては、ソフトフード付きもあります。)
ただし、官給品も民生品もシェルがナイロンなので、キャンプなどでの焚火等には充分注意してくださいね。
今年の冬は、暖かいN-2Bメインでいかがですか?
おすすめです!
(このジャケットが使用された映画は、下に答えがあります。面白かったですね。)
今回は、アメリカ軍のN-2Bという防寒ジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20241216更新)
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参考:リアルファー(コヨーテファー)のモデルに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍のフライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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