今回は、1980年代と思われる旧東ドイツ空軍パイロットスーツを分析します。
東側に多い上下セパレートタイプですね。
襟ボアがなく、比較的薄い生地の暖候期用でもあります。
まさかのデッドストックですよ!
目次
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1 旧東ドイツ空軍パイロットスーツ(暖候期用)とは?
第二次大戦で敗れたドイツは、自由主義国である西ドイツと社会主義国である東ドイツに分割されました。
そして東西冷戦の煽りを受けて、西ドイツは概ねアメリカの指導で、東ドイツは旧ソ連指導の下、軍備を整えてきました。
当然ながら、パイロット装備も全く違うデザインが採用されていましたね。
実用性や使い勝手を優先させたアメリカ系装備の西ドイツ軍に対し、東ドイツ軍は旧ソ連系の簡素なデザインが特徴でしたね。
今回のモデルは、そんな旧ソ連の影響を受けた旧東ドイツ空軍のフライトジャケットになります。
でも、まるでソ連に反発するように、大戦中のドイツ空軍フライトジャケットのデザインも取り入れていますよ。
さてさて、それはどんなフライトジャケットなのでしょうか?
今回は、旧東ドイツ軍マニアのみならず、フライトジャケットマニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
ジャケット
前面
前合わせはジッパーと下端のダットファスナーです。
背面
前面裏側
裏側のほぼ全面にグレイのポリエステル製ライニングがあります。
(ライニングのカラーはライトブルーもあります。)
背面裏側
襟周りレイアウト
タグ
正規のタグに輸出業者のタグが縫い付けてあります。
(オリジナルのサイズ表記は「m48」)
内ポケットのスタンプ
これは旧東ドイツ軍独自の暗号表記ですね。
1958年製…ではありませんよ。
ライニングのポリエステル
独特の編み方ですね。
腰ポケット
ジッパーで開閉
右ポケット内には拳銃に取り付けるランヤード付き。
中の生地はシェルと同じです。
ポケット内は2つのコンパートメントに分かれていて、もう一方には小ポケットがありました。
マガジンパウチのようです。
左胸ポケット
こちらもジッパーで開閉
開けるとフックの付いたストラップが。
奥にはボタンで開閉するもう一つのポケットも。
奥ポケットの生地を引き出してみると、概ね三角形でした。
これは、ホルスター(拳銃入れ)も兼ねたポケットですね。
先程のストラップは、拳銃に取り付ける脱落防止ランヤードのようです。
(…とすれば、やはりマカロフでしょうか?)
ジッパースライダー
幾何学模様のような刻印
裾左右にあるサイズ調整タブ
プラスティックのダットファスナーで開閉。
(表面が少々傷んでいます。)
袖
テーパー付き
袖ニットは筒縫いではなく、長方形のニットを縫い合わせるタイプ
オーバーオール
前面
左右非対称のデザインですね。
背面
前面裏側
ウエストのドローコードと左腰のスリットに注意。
膝下にライニングはありません。
背面裏側
背面はウエスト以下にライニングはありません。
前合わせはジッパーのみ。
フロントのジッパーは、上下から開くタイプ
スタンプ
ジャケットと同じですね。
ウエスト左にあるランドリー用タグ
ウエストのドローコード
この種のオーバーオールとしては珍しいですね。
左腰のみのスリット
ジッパーで開閉。
右腰のポケット
ジッパーで開閉。
ポケット内側の生地は、やや青味がかったもの。
右膝ポケット
ジッパーで開閉。
ポケットは左右で同じなのですが、右下にはDリングがあります。
右内股にあるポケット
向かって右側にペンポケットもありますね。
これは右足のみです。
右ヒップポケット
ダットファスナーで開閉。
何故かDリングがあって、ダットファスナーで留められていました。
足首はジッパーで開放できます。
マチ付き。
下端にはダットファスナー付きタブあり。
ショルダーストラップ
ゴムの平紐で、表面はOD
ジッパー刻印
ジャケットとおなじですね。
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3 その特徴とは?
シェルは、グレイバイオレットに染められたコットン/ポリエステルの細い糸で編まれたギャバジンですね。
緻密に編まれていますが、防風性能より通気性を優先させているようです。
一方ライニングはライトグレイのポリエステルのツイルで、艶があります。
面白いのは、ジャケットはほぼ全面にライニングがあるのに対し、オーバーオールは前面だけしかないところですね。
(防風対策でしょうか?)
デザインは、ジャケットがエポレットなし、腰ポケット×2、内ポケットで、袖はニット製
オーバーオールが、右腰ポケット、右腰スリット、膝ポケット×2、ふくらはぎポケット×2、ヒップポケットで、裾はジッパーで開閉することができます。
…どちらかというと、旧ソ連軍の人民服(?)系のデザインですね。
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で上質な仕立てです。
ただし、ジッパーの動きが少々渋いですね。
(ここは蝋を塗りましょう!)
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1980年代
製造場所 旧東ドイツ
契約会社 旧東ドイツ
製造会社 〃
材 質 ポリエステル
コットン
表記サイズ 2
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ジャケット
着丈 約cm
肩幅 約cm
身幅 約cm
袖丈 約cm
トラウザーズ
ウエスト 約cm
着丈 約cm
股上 約cm
股下 約cm
裾幅 約cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 東京の専門店
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
戦争映画に詳しい先輩から、今回のモデルが1993年のドイツ映画「スターリングラード」に出ているとの情報が寄せられました。
私も確認しましたが…はっきり確認はできませんでしたね。
唯一、劇中のユンカースJu-52という輸送機が出てくるシーンでエアクルーが着用していたように見えましたが…。
(詳細不明)
それはともかく、今回のモデルは大人しいデザインながら、ちゃんと装備すべきものを装備できるようになっているのは凄いですね。
(ある意味、羊の革を被った狼?)
派手なアメリカ軍装備に比べると、いかにも質実剛健なドイツ人魂を感じます。
また春秋なら普段着としても普通に使えそうですね。
(着込めば冬も着用可能でしょうか?)
ドイツが再統一した1990年以降、旧東ドイツ軍装備が信じられない安価で大量に出回りましたが、ブルメン迷彩装備、空挺装備そして今回のパイロット装備は数が少なく高価でしたね。
それでも当時は探せば有名SHOPの片隅にひっそり在庫していたのですが…。
さすがに現在では殆ど見かけなくなりました。
(どうやら絶滅危惧種の仲間入りをしたようです。)
それでも、ネットオークションやフリマでは、正体不明(失礼な!)ジャケットとして、たまに出品されたりします。
またオーバーオールの中古品なら、現在も大手通販サイトで取り扱われていますね。
まだコレクションしていないあなたは、ぜひ覗いてみては?
今回は、貴重な旧東ドイツ軍の質素な、でもあきらかに戦闘を意識した夏季用パイロットスーツを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230823更新)
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参考:他の旧東ドイツ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国のパイロットスーツに関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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