今回は、1960年代の航空自衛隊防護マスクを分析します。
陸上自衛隊や海上自衛隊でも同じデザインの防護マスクを使用していましたね。
デザインはアメリカ軍の影響を顕著に受けているようですね。
中古品で全般的に程度が悪い、今回は閲覧注意でお願いします！
目次
- １ 航空自衛隊防護マスク2型（レスピレーター・ガスマスク・バッグ＆キャニスター付）とは？
- ２ 全体及び細部写真です！
- ３ その特徴とは？
- ４ 防護マスク２型の使用方法と注意点
- ５ 製造とサイズのデータです！
- ６ まとめ
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１ 航空自衛隊防護マスク2型（レスピレーター・ガスマスク・バッグ＆キャニスター付）とは？
毒ガスの歴史は古く、記録によりますと紀元前から使用例がありますね。
（紀元前400年代のペロポネソス戦争等）
人間は古来から、棍棒、刀、弓矢、槍などの直接人体に損傷を与える武器以外にも科学的な「何か」を戦争に使用してきたのですね。
（生物兵器も古くから使われていますね。これらは人間の持つ本能なのかもしれません。😎）
でも実際に強力な毒ガスが実戦で使用されたのは、第一次大戦のヨーロッパでした。
（アメリカの南北戦争という説もあり。）
中でもドイツは、各種毒ガスを数多く研究・開発（一連のGガスと呼ばれるものですね。）しましたね。
そして僅かな量でも体内に入ると死にいたる、超強力なガスもこの頃に開発されていました。
そんなガスに対する防護方法として、毒ガス開発とほぼ同時期に防護マスク（ガスマスク）が開発されていました。
（矛と盾の関係ですね。）
これも第一次大戦時から使用例がありますよ。
今回のモデルは、自衛隊が開発した防護マスク（航空自衛隊バージョン）で、日本人に合わせた設計が自慢の一品です。
少々古い製品ですが、丁寧な造りはさすが日本製だと感心しました。
さてさて、それはどんな防護マスクなのでしょうか？
今回は、自衛隊装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう！
２ 全体及び細部写真です！
前面
キャニスター（吸気缶）を左側に装着しているのは、小銃の射撃を妨げないようにとの配慮から。
（左利きは…右に構えて撃ちましょう！）
背面
右側面
左側面
排気口
金属製のカバー付き。
息を吐くとここから排気され、息を吸うとゴムの弁で閉鎖されます。
排気口には薄く柔らかい、でもしっかりしているゴム製の弁があります。
（とても繊細な造りです。🤔）
吸気口
通常はここに吸気缶（キャニスター）を装着しておきます。
排気口と同様にゴム製の弁がありますが、こちらは吸うと開いて吐くと閉じるようになっています。
眼鏡部分
平ガラスで前方を見るには斜めのガラス越しになります。
鼻の収まるスペース
背面のストラップ
金属製バックルと端末付きの平ゴム紐ですね。
数本のストラップで構成されていますが、隊員個人に合わせてサイズを調整できます。
後頭部のストラップをまとめて安定させる三角布
表面と裏側はビニロンの生地。
ストラップはゴムのループを通して装着されていますね。
裏面
肌に接する部分は滑り止めのモールドあり。
額（ひたい）の部分にある航空自衛隊マーク、契約年度、製造会社マーク
1968年度契約品です。
排気口の裏側
眼鏡部の吸気口
眼鏡部分の吸気口裏側
眼鏡部分はアルミ製です。
鼻の裏側にある数字
サイズでしょうか？
吸気缶（キャップ付）
外側
マスク側
吸気缶（キャップを外したところ）
外側
青竹色（おそらくアルマイト加工）のアルミ製プレートの下にフィルターがあります。
吸気管マスク側
独特の模様が植物みたいな二段のアルミプレート。
吸気缶裏側には不滅インクで航空自衛隊のマークがスタンプされていました。
側面には製造会社、フィルター重量（？）、契約年度及びシリアル番号（？）
吸気管用蓋
小さい蓋（吸気管外側）はゴム製、マスク側は金属製のねじ込み式。
青竹色が映えますね。
専用防護マスクバッグ
前面
背面
左側面
右側面
上面
下面
水抜き穴がありますね。
（金属製のグロメット付き）
側面の小Dリングとフック
これは胴体ストラップの部分
ODの塗装
上面の小Dリングとサイズ調整用バックル
こちらもODに塗装
こちらはショルダーストラップ用
上面の大Dリング
こちらもショルダーストラップ用
ショルダーストラップに巻きつけられていた生成りの生地
航空自衛隊マークや文字はステンシル？
製造年度と会社
上蓋開放時
中には2つのポケット
ポケとフラップ付きポケット
各種アクセアリー入り
アクセサリー
中央の白いロール生地は、ODのプラスティック製コンテナ内に収納されていました。
右端のやや黄ばんだ生地は「ここから防護マスクが必要」という標識でした。
ODのコンテナには、キャップ部分に何かの液体を染み込ませた細いロール生地が。
ファスナー表面
ファスナー裏側とピン部
ピン部のタブは指が入るスペースあり。
これでファスナーが留め易くなりますね。
バッグを収納する場合は、腰ストラップをバッグ本体に巻き付けておきます。
（本来はショルダーストラップも中に格納します。）
オプションパーツとしては、他に長いホースがありますが、今回のモデルでは欠品でした。
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３ その特徴とは？
本体は、しっかりとしたラバー製で、硬過ぎず、柔らか過ぎない絶妙の触感ですね。
（顔に密着します。）
眼鏡部は平ガラス製で、透明度は十分です。
吸気缶取り付け部、排気部は金属製で、吸排気部には薄いラバー製の弁が完備されていますよ。
（とても繊細な弁で、製造後50年以上経っているのに劣化はなく、呼吸に応じてしっかり作動し密着しています。）
後頭部にはゴム生地製のストラップがあって、マスクをしっかり顔に密着できるよう調整できます。
（これ大事ですね。）
全体的な造りは精密かつ正確で、日本製品全般に言えるの高品質な製品です。
専用のバッグは、コットンキャンバスに防水素材をコーティングしたもので、64式小銃用弾のう（マガジンパウチ）や75式背のうと同じ素材ですね。
４ 防護マスク２型の使用方法と注意点
⑴ 使用方法
- 使用前に数回マスクを装着して、マスクが確実に顔に密着するよう予めストラップを調整しておく
- 状況が緊迫してきたら、予め吸気缶をマスクに装着してバッグに収納しておく
- ガスを検知したらすぐに息を止めて目をつぶり速やかにマスクを装着する （◯秒以内）
- 吸気缶及び排気口を手で押さえて、勢いよく息を吐きマスク内のガスを排出する
- マスク装着後も、ちゃんと密着しているか確認する
⑵ 注意点
- 防護マスクは汚染された空気を浄化して呼吸をするので、酸素が減少している火災現場などでは使用できない
- 神経ガスやびらん性ガスには、マスク以外にもフードや防護服等が必要
- 一度使用（汚染）したマスクはよく除染・洗浄するとともに、吸気缶は再使用しない （マスクも再使用しないのがベスト）
５ 製造とサイズのデータです！
製造・契約年度 1972年
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 特殊ゴム
ガラス
アルミニウム
スチール
表記サイズ 2
（日本人のM）
各部のサイズ（装着時）
全高 約26cm
全幅 約21cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 神奈川のイベント
入手難易度 4（極めて困難）
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６ まとめ
あまり知られていませんが、陸上自衛隊には「催涙ガス体験」（正式名称忘却！）訓練があります。
方法は、催涙ガスを満たした業務用天幕（テント）に防護マスクを装着して入り、中でマスクを外して（！）一定時間過ごす…というものです。
（その前に、マスクを装着したままジョギングなどをやって汗をかかされます！）
これにより防護マスクの性能を確認させるとともに、催涙ガスの強烈さを実体験させるのですね。
（催涙ガスとはいえ、行動不能に陥ったのを覚えています。思えば貴重な訓練でした。😅）
その時に使用したのが、今回のモデルでしたね。
（懐かしいです。）
その後、自衛隊の防護マスクは3型、4型、５型と進化していきましたね。
どうやら今回のモデルは、おそらく何十年も前にお役御免になったようです。
でも自衛隊防護マスクの系譜を繋ぐ重要なモデルといえます。
大切にしなければいけませんね。
ところで自衛隊の防護マスクは入手困難ですが、諸外国の製品や市販品なら入手は可能ですよ。
場合によってはデッドストックや未使用品も入手できるようです。
まさか防護マスクを実用のために購入するマニアは少ないと思いますが、コレクション以外で使用する場合は、必ず市販品の新品を購入するようにしましょう。
ゴム製品である防護マスクは、いわゆる「保管期限統制品目」に当たり、デッドストックでも軍払い下げ品では、各パーツの実用期限が過ぎている場合が殆どです。
払い下げ品による実用はできないと考えて良いでしょう！
また防護マスクは、汚染された空気中の有害物質を濾過して呼吸するので、そもそも空気（酸素）の少ない場所では呼吸困難になります。
火災現場での使用は控えましょう！
今回は、航空自衛隊がその昔に装備した防護マスク（ガスマスク）２型を分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね！
それではまた、次回をお楽しみに！
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参考：この防護マスクを使用していた頃の航空自衛隊装備品に関する記事はこちらです。⬇︎
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ところであなたは、ミリタリー界で「サバイバル女子」「ガスマスク女子」として有名な「ポム隊長」をご存知ですか？
私が確認しているのは、Twitter、InstagramそしてYoutubeでの活動ですが、自衛隊や他のミリタリーマニアとの絡みも多く、面白くて勉強になりますよ。
（ガスマスクを外した素顔は絶世の美女だとか？）
もしよかったらご覧ください！
読んでいただき、ありがとうございました。
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