今回は、1980年代の中国共産党人民解放軍陸軍のトレンチペリスコープを分析します。
1940年代の旧ソ連製ですね。
でも原型は、さる国の装備品でした。
中古ですが、時代を考えると極上品ですよ!
目次
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1 中国共産党人民解放軍陸軍トレンチペリスコープ(塹壕潜望鏡・TP・旧ソ連製)とは?
ところであなたは「1917」という映画をご覧になりましたか?
第一次大戦時の実話を基に映画化したもので、当時のヨーロッパにおける戦場の様子をよく再現していましたね。
(軍装品もとても忠実に再現しているように見えました!)
冒頭、主人公と戦友が重要な命令を受けるため、地面に掘られた溝のような場所を歩くというシーンがあります。
あの溝は「塹壕(トレンチ)」と呼ばれていて、敵の銃砲弾から身を守るためのものです。
(元は掩体壕:通称タコツボなのですが、兵士が安全に往来できるように、交通壕と呼ばれる溝で繋いだものですね。)
砲弾の爆発による被害や敵侵入時の攻撃を防ぐため、ジグザグになっているのが特徴ですね。
当時のイギリス軍塹壕
http://www.metropostcard.com/war7c-trench1.html
その塹壕の至る所に、「昼間は身を屈めろ!」などの注意書きがありました。
実は数百メートル隔てた位置には、敵も同じように塹壕を掘って、いつもこちらを狙っているのですね。
(第一次大戦では塹壕の奪い合いがメインの戦闘でした。)
そのため、少しでも塹壕から身を晒すと撃たれてしまいます。
でも敵情を確認しない限り、前へ進むことができませんね。
そこで考案されたのが、トレンチペリスコープ(塹壕潜望鏡)です。
身を屈めたまま、敵情監視ができることから、多種多様なモデルが制作されましたよ。
中には潜望鏡に銃を取り付け、塹壕内から遠隔操作で安全に射撃できるようにしたものもありましたよ!
当時のペリスコープライフル
今回のモデルは、第二次大戦中のドイツ軍が使用したトレンチペリスコープを、旧ソ連軍がコピーして、戦後中国共産党人民解放軍に供与したものになります。
言わば古き良き時代(?)の装備品なのですが、中国人民解放軍はつい最近まで装備していたようですね。
さてさて、それはどんなものなのでしょうか?
今回は、ミリタリーマニアのみならず、狩猟や野鳥観測をしているあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
右側面
左側面
前面
背面
頂部
尖っています。
ものの本によりますと、格闘に使えるのだとか?
本当でしょうか?
対物(?)レンズ付近
断面は楕円ですが、レンズ本体は円形です。
接眼レンズ
接眼レンズ付近右側面
接眼レンズ付近左側面
接眼レンズ付近上面
付け根に目盛がありますが、調整して対象物に焦点を合わせることができます。
接眼レンズ付近下面
製造所および製造年度等の刻印
1946年製で、どうやら旧ソ連軍がドイツ軍のペリスコープを、戦後にそのままコピーしたもののようです。
何故か同じ刻印を打ち直してありました。
もしかして1974年に人民解放軍へ供与された?🤔
接眼レンズ左斜め後方
ハンドル部分は中空です。
収納袋前面
収納袋背面
収納袋上部付近
蓋はボタンで開閉
収納袋背面
ベルトに取り付けるためのループ
カーキのコットン製で、旧ソ連軍小銃スリング(負い紐)とよく似たキャンバス生地です。
収納袋先端
分厚いキャンバスで補強されています。
何かシールが貼ってありました。
底には、これまた頑丈なゴムが縫い付けられていました。
収納袋は2つのコンパートメントに分かれています。
(本体とアクセサリー用)
今回のモデルに残っていたアクセサリー
蓋の裏にもシールが!
アクセサリーの一つは…
レンズ清掃用のコットンフランネル
折り畳まれて巻かれていました。
保管上の汚れがありますが、殆ど未使用品ですね。
付属の管理用紙
中国語で万年筆またはペンで記載されています。
日付は1988年…😅
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3 その特徴とは?
本体はスチール製で、ハンドル部分は中空のパイプになっています。
全体的に当時のソ連軍装備品標準カラーのカーキに塗装されていますね。
(上質な塗装です。色調はモデラーの参考になるかも!)
単眼鏡で、覗くとミル目盛(レティクル)があって、簡易的に距離が測れるようになっています。
今回のモデルのレティクル
1目盛り5ミル(短い目盛)のようです。
画像は鮮明で、対物レンズの大きさの割には意外に明るいですね。
倍率の表記はありません(?)が、見え方は4倍くらいです。
専用の収納袋があって、中のアクセサリーポケットには、清掃用布と人民解放軍の書類が入っていました。
(完品ではなさそうです。他のアクセサリーがあるかも。)
収納袋は、所々破損していて、手縫いで不器用に修理してありました。
(でも大切にされていたようですよ。)
今回のモデルは上部が尖ったものですが、四角いフードに丸い大型の対物レンズが付いたモデルもありますね。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1946年
製造場所 旧ソ連
契約会社 旧ソ連
製造会社 〃
材 質 スチール
ガラス
各部のサイズ(平置)
全長 約570mm
全幅 約40mm
奥行 約100mm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 東京の専門店
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
かなり使えるトレンチペリスコープですね。
対象物から隠れて監視する場合には、最も適したスコープなのではないでしょうか?
(悪用厳禁!)
距離も測れますし、ハンディタイプで携帯も便利。
時代の割に精度や仕上げもよく、当時のソ連の高い技術が窺い知れますね。
(中国人民解放軍でも大切に使用されていたようです。)
用途としては、演習、基地警備、サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測、などが考えられます。
(大戦中のドイツ軍では、草で偽装して使用していました。こうすると遠目には全くわからなくなりますね。)
またヒストリカrゲームでドイツ軍の代用品として使えるかもしれませんね。
1980年代には、人民解放軍から大量に放出されましたが、2020年現在、全く見かけなくなってしまいました。
それでも稀にオークションに出品されたりしていますよ。
探しているあなたは、諦めずオークションサイトにキーワードを登録して待ってみましょう。
私は、もう一つのタイプとそれぞれのタイプのデッドストックを探してみます!
今回は、古き良き時代の中国人民解放軍陸軍トレンチペリスコープ(塹壕潜望鏡・旧ソ連製)を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240901更新)
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参考:他の中国共産党人民解放軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
Twitterで見つけました!
サム・メンデス監督作『1917 命をかけた伝令』がAmazonプライム・ビデオの会員特典に追加。
— mkhryk (@andrew_skarsgar) 2020年12月4日
字幕版→https://t.co/kPT7x7bmug
吹替版→https://t.co/L1A8wykb8S pic.twitter.com/Xqx661NFHN
マニアでなくても、一件の価値あり…かも?
それにしても良い時代になったものですね。😃
読んでいただき、ありがとうございました。
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