今回は、1960年代のアメリカ軍ライン(列線)ジャケットを分析します。
生地がセージグリーンのモデルから生地色をOGに変更したモデルすね。
ベトナム戦争勃発前には支給されていました。
今回はデッドストックですよ!
目次
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1 アメリカ空軍ラインジャケット(4883B・OG)とは?
1947年に、それまでのアメリカ陸軍航空隊から新しく独立したアメリカ空軍。
陸軍の雰囲気を一新しようとしたのか、それまでのOD(オリーブドラブ)に変わる新しいシンボルカラーを採用しました。
それが「エアフォースブルー」と「セージグリーン」です。
パイロットのスーツやフライトジャケットは、目も醒めるような鮮やかな「エアフォースブルー」を採用。
一方地上勤務員の衣類には、セージグリーンを採用しました。
しかし朝鮮戦争に参加したときに、思わぬ問題が発生します。
エアフォースブルーの被服は、戦場では目立ちすぎたのです。
また最前線の基地では、敵のゲリラなどに襲撃される場合もあり、明るいセージグリーンも地上戦闘に不向きとされました。
結局、1950年代後半からは、「エアフォースブルー」に替えて「セージグリーン」や「オリーブグリーン」を採用。
地上勤務員は、「セージグリーン」から「オリーブグリーン」に変更されましたね。
今回のモデルは、そのオリーブグリーンに変更された時代のジャケットになります。
セージグリーンのモデルと、デザインは全く変わりませんが、生地色が変わっただけで大きく印象が変わりましたよ。
また、思わぬ効果もあったようです。
さてさて、それはどんなジャケットなのでしょうか?
今回は、アメリカ空軍マニアのみならず、ファッションで個性を追求したいあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
通称「へちま襟」と呼ばれる丸い襟が特徴ですが、ここは賛否両論ですね。
背面
前面裏側
裏側のほぼ全面にライニング(内張)があります。
内ポケットはありません。
前身頃や袖口にはライナー取り付け用のボタンがあります。
背面裏側
襟周りレイアウト
前合わせはボタンのみです。
タグ
1962年度契約品です。
サブタイプは「B」ですね。
OGモデルは白タグが多く黒タグは珍しいですね。
背面裏側ループ上にはナンバーのスタンプあり。
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
左胸ポケット
こちらにはポケットフラップにスリット。
ポケット内にペン用ピケット(二本用)があります。
腰ポケット
こちらもダットファスナーで開閉。
ウエストのドローコード
出口にはブラックのレザーで補強されています。
前見頃のボタンは隠しボタンでボタンホール付近もシェルと同じ生地。
袖
テーパー付き。
袖口はボタンで調整・開閉
襟裏にはジッパーがあって…
襟の中にはフードが入っていました。
フードもシェルと同じ生地ですね。
フード背面。
フード前面
フード側面
フード前縁のドローコードは襟を貫通していて顎下で留めます。
フードのドローコード出口もレザーで補強されています。
襟裏ジッパー
刻印は「CONMAR」
ボタン
ODのプラスティック製。
陸軍のユーティリティーユニフォーム(OG-107)のボタンに似ていますね。
着用例
日本映画「神田川」(1974)の草刈正雄さん。
独特の膨れた襟が存在感をアピールしていますね。
映画公開当時のロビーカードより。
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3 その特徴とは?
生地はOG(オリーブグリーン)のコットンサテンで、タグに「107」と記入されている通り、陸軍のユーティリティユニフォームと同じ生地ですね。
やや厚く、緻密に織られていて、防風性能が高いです。
(少し重いです。)
デザインは、「へちま襟」と呼ばれる丸い襟(フード内蔵)、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2のコートタイプで、セージグリーンのモデルと全く変わっていません。
裏側のほぼ全面に、コットンポプリンのライニングがあります。
勿論、裏側には専用ライナーを取り付けるためのボタンが準備されていますよ。
左胸ポケットフラップにはスリットが。ポケット内には小ポケットがあってペンを挿すことができるのは便利ですね!
全治的な縫製は、アメリカ軍特有の見た目より頑丈さを追求した仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1962年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ M-R
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約79cm
肩幅 約52cm
身幅 約62cm
袖丈 約62cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 愛知県の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
前のセージグリーンモデルは、じつは大きな欠点がありました。
生地自体が薄いカラーなので、汚れが目立ってくるんですよね。
特に、襟、袖などの肌が直接接する箇所は、セージグリーンがカーキに変色する場合が多かったですね。
また、洗濯によって各部が白っぽくなってみすぼらしく見えるのも問題でした。
(現在残っているセージグリーンモデルは、殆ど汚れが酷いものが残っていますよね。悪いことに最新の洗剤やクリーニングでも落ちません。)
その点OGモデルは、セージグリーンモデルに比べると汚れが目立たないようです。
(実戦的にも、クリーニング的にも助かりますね。)
今回準備はできませんでしたが、このジャケットには、専用ライナーが存在しています。
このライナーを装着したら、真冬でも着用できますよ。
単色で程度の良い中古品の中には綺麗にエイジングがなされていて、風格をも感じるものもあリマスね。
男性のファッション誌や映画でも一部取り上げられていて、アレンジやコーディネートが紹介されていますね。
特にプレーン(パッチや記章が付いていないモデル)は、ファッションに最適かもしれません。
一方コアなミリタリーマニアは、ぜひフルパッチのモデルを探してみましょう。
残念ながら、今回のジャケットは時代とともに減ってきていて、価格も数に反比例して高価になりつつあります。
官給品を探しているあなたは、少々急いで購入しておきましょう!
また官給品の不足を補うように、最近各地でモデル品が製造されていて、出来も良好です。
未使用品を着用したい方は、モデル品購入という手もありますので安心ですね。
梅雨明けもまだ遠いですが、今年の秋に今から入手してみてはいかがでしょうか?
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今回は、生地をOGに変更したアメリカ空軍ラインジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20241222更新)
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参考:今回のモデルの前に採用されていたセージグリーンのモデルはこちらです。⬇︎
専用のライナーに関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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