今回は、1950年代の海上自衛隊フライトジャケットを分析します。
こんな形式のモデルが海上自衛隊にあるとは知りませんでした。
とても貴重なものかも知れませんね!
汚れで少々お見苦しい箇所があります。予めご了承ください。
目次
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1 海上自衛隊サマーフライトジャケット(アメリカ海軍M421タイプ)とは?
戦後アメリカの作った憲法で、すべての軍隊の所有を禁じられた日本。
でも1950年に始まった朝鮮戦争の影響で、なんとアメリカ軍指導の下、急遽新しく警察予備隊が創設されました。(1950年)
(朝令暮改?どうやらアメリカも北朝鮮の動向を全く注視していなかったようですね。)
当然、旧軍の装備(軍用機や戦車)は、アメリカが日本に命じて全て破壊しており、再生産の設備も殆ど残っていませんでした。
仕方なく、当時の警察予備隊(から保安隊、そして自衛隊と呼称改変)の装備は、殆どアメリカが供与したものでしたね。
勿論、後の海上自衛隊も同様で、なんと戦艦大和を沈めた雷撃機である「グラマンTBFアベンジャー」を使用していましたよ。
(当時は旧軍パイロットも多かったと聞いていますが、いったいどんな気持ちで操縦したのでしょうね?)
当然、パイロット装備も機体にマッチしたものを同時に供与されたり、それを参考に類似品を日本で製造しました。
今回のモデルは、そんなアメリカ軍装備を参考に開発した、海上自衛隊用のフライトジャケットになります。
いかにも、夏季用といったイメージのフライトジャケットですね。
さてさて、それはどんなフライトジャケットなのでしょうか?
今回は、海上自衛隊装備品マニアのみならず、自衛隊パイロット装備コレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
コートタイプのフライトジャケットは珍しいですね。
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
タグ①
なんと品名がありません。
タグ②
どうやらサイズ「特」(XL)のようです。
サイズスタンプ
不明瞭ながら「特」と読めます。
前合わせはジッパーとストームフラップ(ウインドシールド)のボタン1個です。
ジッパーは古い「YKK」
胸ポケット
ボタンで開閉
腰ポケット
こちらもボタンで開閉
左胸ポケット
こちらにはポケットフラップにペン用スリットがあります。
でも鉛筆一本入るか入らないかのタイトなデザイン。
でもポケットの中にペンポケットはありません。
左袖ポケット
ペン用ですが、やや太いフェルトペンも入りそう。
袖は単純な筒ですが、僅かにテーパー付き
背中にはアクションプリーツが。
ストームフラップ(ウインドシールド)のボタン
アクションプリーツ裏側
肩裏側の生地
2枚合わせです。
陸上自衛隊の作業服にも同じ例がありますね。
ウエスト付近のデザイン
アメリカ軍M421を踏襲していますね。
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3 その特徴とは?
生地はパイロットスーツに使用されているものと同様で、目の細かい薄い生地ですね。
軽量で肌触りが良いです。
材質はコットンだと思いますが、製造会社が現在も存続している有名なメーカーなのでレーヨンとの混紡では?…と想像しています。
デザインは、殆どアメリカ海軍が第二次大戦中に開発・支給したM421サマーフライトジャケットと同じです。
アメリカ海軍M421ジャケット(2ポケットタイプ・モデル品)
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トイズマッコイ M-421 A U.S.NAVY SPECIFICATION「FLYING TIGERS」TMJ2104 TOYS McCOY
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構成は、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2のコートタイプで、背中にはアクションプリーツがありますよ。
全体的にシンプルで、縫製は正確です。
(さすが日本製!)
今回のモデルは、おそらく警察予備隊以降にアメリカ軍から供与されたジャケットを参考に、よく似たものを製造したのでしょう。
でも、ここまで似せる必要はないような気がしますが…。😅
もしかしたら、とても優れたデザインだったので、そのまま踏襲したのかもしれませんね。🤔
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1959年
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
レーヨン(?)
表記サイズ 特号
各部のサイズ(平置)
着丈 約71cm
肩幅 約47cm
身幅 約60cm
袖丈 約56cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 愛知県の専門店
入手難易度 5(まず無理)
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5 まとめ
このモデルがいつからいつまで使用されたのかは、現在調査中です。
しかし製造されてから10年間使用されたと仮定すると、1970年くらいまでは現役だった可能性もありますね。
(だとしたら、物持ちが良いですね。)
原型となったアメリカ軍M421フライトジャケットは、大型機や輸送機などのパイロット用だったという説がありますよ。
確かにカバーオール(つなぎ)と違って、セパレートなら汎用性も高く、使い易かったかもしれませんね。
(トイレでの使用も容易ですし…。)
長時間に渡る哨戒飛行などでは重宝されたかも。
ある意味、海上自衛隊の哨戒機にはピッタリだったかもしれませんね。
さて、現在このモデルは、まず入手不可能です。
(オリジナルのM421すら希少で、国産の高級モデル品が発売されているくらいです。)
絶滅危惧種の中でも代表と言えるものですね。
私も「作業服」として販売されていたのを、偶然見つけたに過ぎません。
(以来一切見かけません!)
勿論、第一級の絶滅危惧種なので、見つけたら万難を配して保護してあげましょう!
今回は、海上自衛隊の古く希少なフライトジャケットを分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240427更新)
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参考:他の海上自衛隊パイロット装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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