今回は、1980年代の旧ソ連陸軍のトレンチスコープを分析します。
以前分析したソ連軍供与中共人民解放軍陸軍トレンチペリスコープの姉妹品（？）ですね。
このモデルは上部レンズ（対物レンズ？）が大口径で、新しく乾燥剤が封入されているのが特徴です。
使用感がありますが、程度は良好ですよ！
目次
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１ 旧ソ連陸軍トレンチ・ペリスコープTP-8（大口径レンズモデル）とは？
いつの時代でも、戦場において敵の状況を知る…ということは、多くの指揮官が欲した情報ですね。
「敵を知り己れを知らば百戦危うからず」ということわざどおり、丘の向こうの敵がどんな布陣なのかを知ることができれば、自軍が勝利を得たり生き残る確率が向上したのは言うまでもありません。
現代では航空機の発達や各種車両・機材の開発で、効率的かつ効果的な偵察が可能となり、戦場といえども多くの情報を得ることができるようになりました。
それでも彼我が接近している塹壕戦などでは、やはり敵状把握には困難な場合があるようですね。
今回のモデルは、そんな塹壕戦や通常の偵察でも用いられるトレンチ・ペリスコープ（塹壕潜望鏡）になります。
元々は第二次大戦中のドイツ軍が開発・装備していたものですが、旧ソ連軍が鹵獲後そっくりコピーしたものですね。
いくつかタイプがありますが、今回のモデルは上部レンズ（対物レンズ）に比較的大口径なレンズを使用したものになります。
このモデルも単体で距離が測れる優れ物ですよ！
さてさて、それはどんなトレンチ・ペリスコープなのでしょうか？
今回は、旧ソ連軍装備マニアのみならず、狩猟や野鳥観測でも使用できる頑丈なペリスコープをお探しのあなたと一緒に、確認していきましょう！
２ 全体及び細部写真です！
全体形
この角度で専用のケースに格納します。
前面
背面
左側面
右側面
対物レンズ付近
画像では表現できていませんが、対紫外線用のコーティングが施されているようです。
レンズは普通に構えると、やや下を向くように取り付けられていますね。
これは敵方に光を反射しない工夫です。
接眼レンズ及び乾燥剤封入箇所
接眼レンズもコーティング済みです。
接眼レンズは焦点距離を移動できます。
（専用の目盛りあり。）
接眼レンズ側面
意外と複雑な構成ですね。
乾燥剤封入箇所は工具を滑らせて傷が付いています。😅
シリカゲルはピンクに変色。😭
（取り出してフライパンで炒ってみようかな？）
左側面の刻印
1982年度契約品です。
…ということは、つい最近まで使用していた？
ハンドル部分
ここは中空です。
本体の塗料は、旧ソ連軍AFV等に塗装されていたものですね。
レティクル
ソ連由来の中共トレンチペリスコープと同じですね。
（うまく撮影できませんでした。😅）
レティクル拡大
一目盛りは5ミルです
専用ケース
表側
裏側
ショルダーストラップ付き。
蓋はレザーのストラップで開閉。
金属製のバックル付き。
本体はカーキの厚いキャンパス製。
背面のストラップは上下に分けて縫い付けられています。
底部にはパット（綿）を内蔵。
スコープ本体を衝撃から守ります。
ショルダーストラップのバックル
ショルダーストラップは、AK系小銃のスリング（負紐）に似ている分厚いキャンバス製。
レザーループ付き。
上部の蓋を開けると、内部にはアクセサリーポケットが！
残念ながらアクセサリーは失われていました。😭
蓋の裏側に貼ってあったシール
謎のナンバーが記載されています。
…そういえば、中共人民解放軍のケースにもシールが貼ってありました。
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３ その特徴とは？
本体は、ダークグリーンの焼き付け塗装されたスチール製で、全てのレンズが本体に組み込まれている密閉型です。
下部のハンドル部分は中空になっていますね。
上部の対物レンズ付近には、ちゃんと専用のスペースが設けられていて、比較的大きなレンズが装備されています。
特筆すべきは、スコープを垂直に構えた場合に、レンズはやや下向きになるところですね。
これでレンズが光を反射して、敵に自分の位置を知らせる確率が減りそうですよ。
接眼レンズはダイヤルで前後に可動し、目標までの焦点を合わせることが可能。
今回のモデルは、対物レンズと接眼レンズの間に、シリカゲルを格納するスペースがありました。
これで本体内の湿気でレンズ内部が曇ることを気にしなくても良さそうです。
（現在ではシリカゲルが期限切れになっていますが…😅）
専用のケースは、カーキのキャンバス製で、下端にはクッション材を内蔵。
背面には厚いキャンバス製のストラップがあって、肩掛け可能です。
内部には内ポケットがあって、簡単なアクセサリーを格納できるようになっていますよ。
全体的な仕上げは、本体及びケースとも少々雑なところがありますが、実用上は問題なさそうです。
４ 製造とサイズのデータです！
製造・契約年度 1982年
製造場所 旧ソ連
契約会社 旧ソ連
製造会社 〃
材 質 スチール
ガラス
ブラス
各部のサイズ（平置）
全長 約565mm
全幅 約50mm
奥行き 約110mm
レンズ口径
対物 約40mm
接眼 約17mm
状 態 中古上品
官民区分 官給品
入手場所 東京の専門店
入手難易度 3（困難）
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５ まとめ
人民解放軍（旧ソ連軍供与）のモデルもそうでしたが、今回のモデルもレトロな感じがたまりませんね。
本体がグリーンというのも良いです。
（資料的価値あり。）
さすがに安価で高性能なドローンが簡単に入手できる現在においては、この種のペリスコープは、あまり必要性を感じない装備品ですね。
ただし戦場以外ではまだまだ出番がありそうです。
物陰に隠れ身体をさらけ出すことなく前方を監視できるのは、野生動物や野鳥の観察にはうってつけかもしれません。
同じ理由で狩猟にも使用できるかも。
ただし焦点距離としてはかなり遠くになるので、数メートル先の観察には向いていません。
…でも、実用というよりはコレクションとして保管しておいた方が良さそうです。
そしてこのモデルも現在では入手困難な状況が続いています。
目にする機会は少ないですが、探しているあなたは有名ミリタリーショップのみならず、昔からある小さなSHOPものぞいてみましょう。
今回は、希少な旧ソ連軍のトレンチ・ペリスコープTP-8を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね！
それではまた、次回をお楽しみに！
（20240108更新）
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参考：中共人民解放軍のトレンチ・ペリスコープに関する記事はこちらです。⬇︎
その他の双眼鏡やレンジファインダーに関する記事はこちらです。⬇︎
旧ソ連軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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