今回は、1970年代のアメリカ陸軍ヘリクルージャケットを分析します。
以前分析した陸軍ヘリクルージャケット(暖候期用・後期型)の前の型ですね。
よく似たデザインですが、ある部分が大きく違っていました。
驚きのデッドストックです!
目次
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1 アメリカ陸軍ヘリクルージャケット(暖候期用・初期型・プレーン)とは?
過去の歴史を振り返ると、強い軍隊は多くの改善が普通に行われていますね。
それは規則や手続きといった根本的かつ抜本的な事項から、システムや装備の細部に至るまで多方面に及ぶ場合が多いです。
(他国が決めた憲法を何十年も変えないどこかの国などは論外かもしれません。)
…とは言え「なんでもかんでも、とにかく改善せよ!」と朝令暮改よろしく、一瞬で改善するのではなく、教訓や状況に応じて行われることが多いですね。
アメリカ軍はそんな軍隊を持っています。
今回のモデルは、ベトナム戦争中に陸軍ヘリコプターなどの機上火災からパイロットを保護するために開発されたフライトジャケットになります。
日本では「ヘリクルージャケット」と呼ばれることが多いですね。
当ブログで、かつてヘリクルージャケットの暖候期用モデル(後期型)を分析しましたが今回は初期型になります。
後期型と殆ど同じデザインですが、生地とポケットのデザインが違っていましたよ。
その理由は一体何故だったのでしょうか?
そもそも初期型ヘリクルージャケットは、後期型とどう違っているのでしょうか?
今回は、アメリカ陸軍装備マニアのみならず、フライトジャケットコレクターのあなたと一緒に確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
生地には艶がありますね。
背面
前面裏側
背面裏側
襟の裏側にはチンストラップあり。
使用しない場合の固定マジックテープも完備。
襟周りレイアウト
襟はチンストラップで立てることができます。
前合わせはジッパーのみ。
うなじ付近のタグ
1974年度契約品です。
前見頃裏側のタグ
腰ポケット
ポケットフラップはなく、開口部のマジックテープで開閉。
袖
緩やかなテーパー付き。
袖ニット
タイトですが締め付けるほどではありません。
袖ポケット
ジッパーで開閉
裾ニット
背面上部には例のステッチあり。
ジッパーはSCOVILL(スコービル)の「GRIPPER」
金属部分はブルーイング(艶ありの黒染め)されていますね。
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3 その特徴とは?
生地はODのノーメックス製ですが、今回のモデルは、ややカーキが強いタイプですね。
また今回のモデルは、生地全般に艶があるのも特徴です。
シェルの後期型との比較
今回のモデル(初期型)
後期型
生地の色調も艶も違っているのがわかりますね。
デザインは、MA−1タイプですが襟は通常タイプです。
構成は、エポレットなし、胸ポケット×2、袖ポケットで、とてもシンプルですよ。
(内ポケットはありません。)
後期型との大きな違いはポケットの形状で、
- 初期型:ポケットフラップなし、ポケット内部にマジックテープ。
- 後期型:ポケットフラップあり、ポケット外部とポケットフラップ裏側にマジックテープ。
というのが大きな違いですね。
ポケットの形状
今回のモデル(初期型)
後期型
この改造は、図らずもMA-1のポケットに準じるものがありますね。
(MA-1はダットファスナーでしたが…。)
全体的な縫製は、アメリカ軍物にしては丁寧で正確です。
今回のモデルも、紫外線(日射・蛍光灯)によりひどく褪色(変色)するので、保管や着用には要注意ですね!
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1974年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 ノーメックス
表記サイズ M S
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約64cm
肩幅 約48cm
身幅 約59cm
袖丈 約58cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 香川の専門店
入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
アメリカ軍の凄いところは、新しいフライトジャケットを開発したら、必ず試験的に第一線の部隊にテストサンプルを配布して、実際にパイロットに着用させるところですね。
その上で不具合事項を見出して、改良を加えていく。
それを繰り返し、そのモデルがお役御免になるまで継続するのですね。
そこには「パイロットファースト」の思想を垣間見ることができます。
全く羨ましいですね。
さて今回のモデルですが、何故生地やポケット形状が変更されたのか…について調査しましたが、確信を得ることができませんでした。
ただ同じくパイロット用のノーメックス製グローブ(手袋)を使用したときに、マジックテープに引っ掛かることがありました。
また、ポケットの内容物(小さくて重い物)を不時落下する可能性もあると思われます。
この辺りが不具合として挙げられたため、改善(改良?)されたのではないでしょうか?
そういえば有名なMA-1も初期型ではポケットフラップなしで、開閉にはポケットに直接取り付けたダットファスナーを使用していました。
でも後にポケットフラップ付きで、ダットファスナーもフラップに取り付けるように改良されていました。
今回のモデルはダットファスナーではありませんが、マジックテープで同じ改修をしていますね。
どうやらMA-1などと共通の不具合があったのかもしれません。
それはともかく、さすがに今回のモデルは品薄です。
ましてや前期型のデッドストックというのは、まずありません。
(今回も全くの偶然で入手したに過ぎません。)
それでも中古品なら稀にオークションに出品される場合があるようです。
(全般的に程度は悪いものが多いですね。😅)
そもそもこのジャケットの存在意義を考えると、アメリカ陸軍装備マニアやフライトジャケットコレクターは入手する価値はあると思います。
あなたも諦めず探してみましょう!
今回は、アメリカ陸軍が装備した暖候期用ヘリクルージャケットの希少な初期型を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20231124更新)
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参考:他のアメリカ陸軍パイロット用装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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