今回は、1980年代にアメリカ軍が初めて開発した砂漠専用迷彩服を分析します。
「チョコチップクッキー」という愛称で、湾岸戦争後に日本でも大人気になった迷彩服ですね。
残念ながら上下で年代が違っていますので、あらかじめご了承ください。
部分的に生地の変色がありますが、程度は極上ですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍砂漠用迷彩ジャケット(チョコチップクッキーパターン)とは?
1980年代にアメリカは、全軍(陸、海、空軍及び海兵隊)共通の迷彩である、画期的なウッドランド迷彩を開発、各種衣料品を大々的に支給しました。
(凄いですね。当時のソ連には無理な装備でしたね。)
ちょうどその頃、中東で各国合同のとある演習がありました。
アメリカ軍はその演習へ、自信満々にウッドランド迷彩服の空挺部隊を送り込んだのですが…各国の参加部隊(特に中東部隊)からは大いなる嘲笑を受けました。
ウッドランド迷彩は、文字通り「森林地帯」で効果を最大限に発揮する迷彩だったのに対し、その演習場所は、砂漠に近い乾燥地域だったからなんですね。
例えば日本の鳥取砂丘をウッドランド迷彩で歩いていたとすると、目立つのは素人でも想像できますよね。
参考:ウッドランド迷彩ジャケット
そこで恥をかいたアメリカ軍は、今後も大切な中東での演習や戦闘が有ると想定して、新たに砂漠用迷彩服を開発します。
そうして完成したのが、今回のモデルです。
開発者(グループ?)の芸術性が花開いた傑作迷彩パターンが特徴です。
さてさて、それはどんな迷彩服なのでしょうか?
今回は、アメリカ軍装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
ジャケット
前面
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
前合わせはボタンのみ。
タグ①
サイズが記載されています。
タグ②
品名、契約番号、取扱説明が記載されています。
1983年度契約品。
このモデルは、背面のライニングが裏表逆に縫い付けられていました。
エラー品ですね。
(タグの縫い付けから間違っていたのかも?)
ライニングの生地には使用不可面を示すラインがひいてありました。
でもライニングは下端がフリーなのは正規品と変わりません。
参考
多くの量産品
(迷彩側が外側になるよう縫い付けられています。)
右胸ポケット
2個のボタンで開閉。
左胸ポケット
ポケットフラップ上端にはペン用スリットがあって…
ポケット内にはペン専用の小ポケットあり。
腰ポケット
こちらも2個のボタンで開閉。
袖
肘から下に緩いテーパー付。
袖口はタブとボタンで調整。
官給品ボタン
艶消しベージュの肉厚プラスティック製で両面使用可能なタイプ。
トラウザーズ
前面
ジャケットよりやや色調が濃いですね。
ブラックのシャドウも面積が広いように思います。
背面
前面裏側
背面裏側
タグ①
タグ②
1991年度契約品です。
生地裏には何かのナンバーが!
今回のモデルはウエスト部に生地の変色がありました。
左側面レイアウト
ウエストのサイズ調整ストラップ
金属製バックル付。
腰ポケット
ヒップポケット
2個のボタンで開閉。
膝カーゴポケット
ボタンで開閉。
例によってポケットフラップの前端は縫い付けられています。
裾
僅かにテーパー付
裾にはナイロン製のドローテープを内蔵。
一部のBDUにあった臀部の円形補強生地は省略されています。
着用例
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3 その特徴とは?
一番の特徴は、やはり迷彩パターンですね。
タンの生地に、デザートピンク、濃淡2色のブラウンで雲形を描き、ベージュで小さな斑点とその縁を影のようにブラックグレイを描いています。
都合6色迷彩ですね。
イメージとしては、やや小石の多い砂漠…といった感じでしょうか?
各パーツ(ポケットとか)の影響もあって、かなり複雑な迷彩になっていますよ。
良い迷彩は、場所や季節を連想させると言われています。
これは良い迷彩ですね。
ただ今回のモデルは、納入年度が違っていたためか、迷彩パターンの細部や色調がやや違っていますね。
迷彩比較
左:ジャケット
右:トラウザーズ
…でも、製造誤差の可能性もありますね。
生地はコットンとナイロンのツイルです。
砂漠用としては少々厚めの生地ですが、乾燥しているので問題ないのでしょうか?
デザインは、通常のウッドランド迷彩服と大きな違いはありませんが、一点背面の上部は裏地が設けられています。
これはウッドランド迷彩服になかった装備ですよね。
構成は、胸ポケット×2、腰ポケット×2のジャケットタイプです。
着用するとややゆったりしていて、ウッドランドBDUなどと同じサイズ感です。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1983・1991年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ナイロン
表記サイズ M/R
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
ジャケット
肩幅 約44cm
身幅 約60cm
着丈 約77cm
袖丈 約65cm
トラウザーズ
ウエスト 約45cm
着丈 約112cm
股上 約32cm
股下 約84cm
裾幅 約22cm
状 態 中古良品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 1(容易)
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5 まとめ
初めてこの迷彩を見たときに、これも一目惚れしてしまいました。
(一眼惚れ多いですね。…反省!)
これは…一種の芸術だ!…と思いましたよ。
当時発売されていた、サバイバルゲーム本(マ◯ゼンKG-9が主力で、フルオートが皆無だった時代です。良い時代でした!)には、秋の河川敷(枯れ草地帯)で迷彩効果があるとされていました。
本当でしょうか?
この迷彩服には、面白いエピソードがあります。
結局アメリカ軍は、この迷彩服をあくまで限定使用と位置づけ、少量を生産し中東に展開する部隊のみに支給しました。
しかし後にその考えを根底から覆す大事が発生します。
イラクのクェート侵攻を切っ掛けに始まった湾岸戦争です。
(1991年〜。イラクのクェート侵攻は1990年)
イラク、クェート付近の主戦場は、本当の砂漠地帯であり、今回の迷彩ではむしろ目立ってしまうものでした。
でも新型迷彩服を量産する時間と予算がなかったアメリカは、この迷彩服を使用して戦争に突入しましたね。
(じつは、新型砂漠用迷彩の開発は殆ど終わっていたらしいのですが…。)
また、湾岸戦争中にイラク軍が化学兵器を、アメリカ軍が劣化ウラン弾を使用したことから、
「この迷彩服の払い下げ品(中古)は、買わない方が良い」
という情報もありました。
何故なら中古の払い下げ品を購入した者が、化学兵器の影響を受けたり、被曝すると恐れられたからです。
幸い日本での健康被害は報告されていませんね。
どうやら都市伝説だったようです。
ところで湾岸戦争では、アメリカ軍主体の連合軍が圧倒的な勝利を納めた影響か、戦後多くの国がこの迷彩服と同じようなパターンの砂漠用迷彩服を開発したのは有名なお話です。
(弱い生物の「擬態」に似ていますね。)
さて、一時期は市中に溢れていたこの迷彩服ですが、さすがに今日では少なくなりました。
でも絶滅までには、まだしばらく時間がありそうですよ。
湾岸戦争を再生するヒストリカルゲーム(コスプレ)では欠くことのできない迷彩服ですので、ぜひコレクションして欲しいですね。
購入する場合は、よく状態やサイズを確かめて、資金と相談して購入しましょう。
今回は、アメリが軍が初めて開発した砂漠用迷彩ユニフォームを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね。
それでは、また次回をお楽しみに。
(20250626更新)
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参考:今回のモデルとペアで使用するトラウザースのPX品に関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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