今回は、1990年代のハンガリー陸軍迷彩シャツを分析します。
自衛隊初の国連平和維持活動参加となったカンボジアで活動した部隊用ですね。
興味深いパッチ(ワッペン)が縫い付けられていました。
中古品ですが、程度は良好ですよ!
目次
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1 ハンガリー陸軍迷彩シャツ(熱帯用)とは?
昨今のヨーロッパ各国は、国連の平和維持活動に積極的に参加していますね。
規模は小さいながらハンガリーも各種活動に参加しているようです。
今回のモデルは、カンボジア内戦終了後に組織された「国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)」に所属した兵士が使用した迷彩シャツになります。
UNTACは最終的に日本を含む45カ国、2万名以上が参加する規模の大きいものでしたね。
遠くハンガリーから参加するのは、苦労があったと思われます。
その証拠に、場所は熱帯カンボジアですが、迷彩シャツの生地は本国で使用されていたものと同様のものでしたよ。
さてさて、それはどんな迷彩シャツなのでしょうか?
今回は、ハンガリー軍装備マニアのみならず、実際にカンボジアで活動された自衛官や警察官だったあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 ハンガリー陸軍迷彩シャツの全体及び細部写真
前面
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
タグ
やはり前身頃裏側に何かの番号が!
生地の番号「065」
エポレット
テーパーなしの長方形
右胸ポケット
ボタンで開閉
ポケット上にはネイムタグ
左胸ポケット上は階級のようです。
袖
ややテーパーがついています。
袖口はマチなし、ボタンで開閉
背面中央にはステッチあり。
各所にある力布
裾は切りっぱなし。
ボタン
金属製で大小はありますが、全て刻印があります。
(刻印の上下は、もしかしたら上下逆かもしれません。)
ハンガリー軍のパッチ(ワッペン)
ハンガリー国連参加部隊のパッチ
UNブルーですね。
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3 その特徴とは?
迷彩は、通称「ハリケーン迷彩」と呼ばれるハンガリー軍独自のパターンです。
(第二次大戦中から使用されているという説もありますよ。)
配色は、ライトブラウンの生地にライトブラウンの斑点を塗り残すように、オリーブグリーンとブランの雲型を描いています。
しかもブラウンの一部には細かい斑点でボカシを加えていますね。
全体的にはブラウン系に見えるのが特徴です。
生地は、コットンサテンでやや厚く丈夫で肌触りも良いですが、通気性が今ひとつですね。
(どちらかというとハンガリー本国用の生地です。)
カンボジアでは少々暑かったのかもしれませんね。
(だから熱帯用の生地が製造されたのでしょうか?)
デザインは、エポレット付き、胸ポケット×2です。
面白いのは裾の処理で、通常は折り返して縫い付ける場合が多いのですが、ハンガリー軍は切りぱなしで糸による端末処理がされています。
エポレットが長方形だったり、裾の処理だったり「量産」を考慮して製造されているようです。
全体的な縫製は、さすがハンガリー製で、丁寧かつ正確です。
今回は、各種パッチ(ワッペン)が縫い付けられていましたが、見事な刺繍が施されていました。
ハンガリーの面目躍如…といった感じですね。
4 製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 1990年代
・製造場所 ハンガリー
・契約会社 ハンガリー
・製造会社 〃
・材 質 コットン
・表記サイズ 50
(日本人のL)
・各部のサイズ(平置)
着丈 約73センチ
肩幅 約41センチ
身幅 約59センチ
袖丈 約62センチ
・状 態 中古上品
・官民区分 官給品
・入手場所 東京の専門店
・入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
迷彩パターンや迷彩色調は、赤土のカンボジアではある程度の効果があったかもしれません。
でも戦争目的で行ったわけではないので、迷彩服を着ていながらも原色や明る色調の大きなパッチをつけているのが目を惹きますね。
また迷彩服は、参加国の識別にも役立ったかもしれません。
ところで内戦が終結したとはいえ、毛沢東主義を掲げるポル・ポトが率いるクメール・ルージュの残兵が闊歩するカンボジアに展開するのは、まさに命の危険と隣り合わせだったようです。
(実際に日本の警察官2名を含む、80名以上が亡くなられていますね。)
ハンガリー軍に犠牲者があったかどうかはわかりませんが、今回のモデルを着用していた兵士は、どうやら無事だったみたいですね。
そうそう、自衛隊がカンボジアへ派遣されるときに、自衛隊の武器携行が国会で問題になり、大論争が繰り広げられたことがありました。
議論の末、最終的に機関銃2丁の携行が閣議決定されました。
平和ボケも甚だしいですね。
勿論、戦争するわけではないので武器携行の必要性は低いでしょう。
でも、自衛隊員が降りかかる火の粉を自ら払うことすらできなくするこの国はおかしい…と思いましたね。
なにしろ、クメール・ルージュの残党は、対戦車戦闘能力まで備えた戦闘経験豊富な武装集団だったのですから…。
(イメージとしては、刃物を持ったならず者集団に、丸腰で会いに行くようなもの…でしょうか?)
また国会議員の先生方は、自分の息子や孫がUNTACに参加していても、同じ決定をするのかな?…とも思いました。
(勿論、当時UNTAC参加自衛隊員が肉親の国会議員は一人もいなかったのですが!)
因みに、後年の国連平和維持活動では、他国の軍隊同様、武器携行や装甲車などの使用が許可されていますね。
日本もいよいよ世界標準になりつつあるようです。
カンボジア内戦における状況は、映画「キリング・フィールド」に詳しいので、ぜひ一度ご覧ください!
(キーワードは「メルセデス、ナンバーワン!」です。)
さて今回のモデルですが、入手は困難ですが迷彩シャツだけなら、なんとか入手できるかもしれません。
(大阪の専門店ならチャンスがありそうです。)
でもPKO参加パッチを残すシャツは、もう入手は不可能でしょう。
UNTACで自衛隊とハンガリー軍の交流があったかどうかはわかりませんが、今回のモデルは自衛隊が初めて参加した国連活動の思い出として、大切にしていきたいですね。
今後は、同時期の迷彩トラウザーズを探してみようと思います。
今回は、国連平和維持活動に参加したハンガリー軍の迷彩シャツを分析しました。
次回は、ハンガリーつながりで、特殊なスモックを分析します。
お楽しみに!
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参考:他のハンガリー軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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