今回は、1960年代と思われるイギリス軍デニソンスモックを分析します。
不思議な事にイギリス軍は、全く違う迷彩生地のデニソンスモックを、同じ時期に並行して支給していました。
何故でしょう?
それはともかく、中古品ですが程度は良好ですよ!
目次
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1 イギリス軍陸軍空挺迷彩スモック(デニソンスモック・P59・大戦後パターン・官給品)とは?
第二次大戦中の1940年代に開発されたデニソンスモック。
当時のイギリス軍が採用した数少ない迷彩装備の一つでした。
主に空挺部隊や狙撃兵などの特殊な部隊に支給されたり、イギリスを代表する迷将が着用(しかもカスタム品!)していたことでも有名ですね。
その迷彩生地は、ダークイエロー(タン、ライトカーキ)にダークグリーンとレッドブラウンを用いて、まるで書道甲子園に参加している女子高生が、大きな筆で大胆に文字を描いたようなパターンでした。
(とても美しいパターンなので、日本でもファンが多いですよね。)
デニソンスモックは戦後も製造されましたが、1950年代後半(諸説あり)からは新しい迷彩パターンの記事が採用されます。
それは…配色こそ大戦中の迷彩と変わりませんでしたが、パターンは私のような素人が、躊躇しながら描いたようなものになっていました。
はっきり言って迷彩自体は改悪以外の何ものでもなかったのですが、何故か大戦中の迷彩記事を用いたスモックと一緒に使用されましたね。
(ともにP59とされています。)
今回のモデルは、その改悪パターンのモデルになります。
さてさて、どんなデニソンスモックなのでしょうか?
今回は、イギリス軍装備マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
背面
迷彩はストロークが短い気がしますね。
テイルピース固定用のダットファスナーは背面に付いています。
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーのみでフルオープンです。
タグ
NSNが表記されていますね。
エポレットはテーパー付きのラウンドタイプです。
襟の内側には、例によってアンゴラウールが張られています。
襟はジッパーで立てることができます。
胸ポケット
角度が付いていて、ダットファスナーで開閉
迷彩パターンに違和感がありますね。
腰ポケット
こちらは胸ポケットと逆の方向に角度が付いています。
ダットファスナーで開閉
前面下部のテイルピース用ダットファスナー
6個あるのは、サイズを調整できるようにとの配慮から。
裾左右のサイズ調整タブ
タブを使用しない場合の ダットファスナーはありません。
デニソンスモックの特徴ですね。
脇の通気孔
刺繍で6個です。
袖ニット
ライニングが無いので、単純に袖に縫い付けてあるだけです。
袖付け根付近裏側
ここは袖で唯一ライニングが張られています。
テイルピースは後ろから股間を通して前のダットファスナーで留めます。
これは、裾のめくり上がりやバタ付きを抑えるためのもの。
ダットファスナーはグリーングレイに塗装されています。
内ポケット
ジッパー側上部に開口部があります。
エポレットのボタン
イギリスの官給品で、カーキのプラスティック製皿型です。
ジッパー
刻印は「CLIX」
左ポケットフラップには、ブルーのフェルトペンで何か記入されていました。
ダットファスナー裏面
大戦中から採用されている有名なメーカー製ですね。
着用例
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3 その特徴とは?
迷彩は、ダークイエロー(タン、ライトカーキ)の生地に、ダークグリーンとブラウンを用いて刷毛で乱雑に塗ったようなパターンを描いています。
しかし、大戦中のパターンのように大胆さがありません。
例によって、グリーンとブラウンが重なるところは、マホガニーブラウンになっていますよ。
イメージとしては「単に色を塗っただけ」と言った感じですね。
生地は、大戦中のモデル同様防風織したデニムです。
デザインは、大戦中の44年型デニソンスモックと同様で、エポレット付き、胸ポケット×2、腰ポケット×2で、前あわせはフルジッパーという構成です。
勿論、裾のサイズ調整タブ、テイルピース 、襟のアンゴラウールも健在ですね。
今回のモデルは、奇跡的にサイズ「1」で小さいモデルでした。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1960年代
製造場所 イギリス
契約会社 イギリス
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 1
(日本人のL〜XL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約75cm
肩幅 約53cm
身幅 約64cm
袖丈 約62cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
1950年代から1960年代といえば、まだDPMが開発途中でした。
また当時の空挺部隊には、大戦中の生地や新しい迷彩生地を用いて製造されたデニソンスモックが支給されていたのは上述のとおりです。
なぜこんなことが起こったのでしょう?
これは想像ですが、もしかして大戦中のモデルや生地が減ってきて、スモックの支給に支障をきたしたのかもしれませんね。
その結果、新しい迷彩生地を臨時に作ったのでしょうか?
(ちょうど冷戦が始まって、緊張が増してきた時期でもあります。)
臨時で製造した「やっつけ仕事」での製造なら、新しい迷彩生地の雑さはわかる気がしますが、本当はどうなのでしょう?
それはともかく迷彩生地の出来は今一つながら、その他はデニソンスモックなので、現在でも通用する優れたデザインですね。
多くの国が、このスモックを原型又は参考とし、自国のスモックを作ったのもわかるような気がします。
一着の迷彩服として、サバイバルゲーム 、野鳥観測、狩猟などに使用できそうですよ。
また冷戦時代のイギリス空挺部隊を再現するヒストリカルゲームでは欠かすことのできないスモックですね。
ただ、当時の官給品はやはり数が減ってきています。
それを補うように、イギリス本国からよくできたモデル品が発売されていました。
数社ありましたが、中には官給品の生地を用いて製造していたモデルもあったようですね。
将来の事を考えている方は,ぜひ官給品を。
初心者や一般の方は、無理せずモデル品から入手してみることをおすすめします。
ただ困ったことに、モデル品を官給品と称して高値で販売している業者や、オークション出品者がいます。
購入する場合は、各部のパーツやタグをよく確認しましょう!
今回は、大戦後に開発された迷彩生地製のイギリス軍空挺デニソンスモックの官給品を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240215更新)
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参考:大戦中の迷彩生地を用いた戦後のデニソンスモックに関する記事はこちらです。⬇︎
大戦中のデニソンスモックに関する記事はこちらです。⬇︎
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