今回は、1940年代のイギリス陸軍スモックスーツを分析します。
以前分析したイギリス陸軍ウインドプルーフユニフォームのスモックと同じデザインですね。
でもこれとは生地が大きく違っているのが特徴です。
残念ながら近年のモデル品ですが、偶然入手できたデッドストックですよ!
目次
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1 イギリス陸軍スモックスーツ(グリーンデニム・Hブランドモデル品)とは?
かつて「ロード」という唄が日本で大ヒットしたことがありました。
その歌詞で「なんでもないようなことが しあわせだったと思う」というのがありましたよ。
いつの時代にも、誰にでも思い当たることのある歌詞ですよね!
じつはミリタリー業界にも当てはまる歌詞なのでした。
例えばベトナム戦争終了後しばらくは、今では希少なトロピカルコンバットジャケットの初期型が大量に、しかも現在では信じられないくらい安価に販売されていましたよ。
(有名老舗SHOPでは、一着購入するとおまけにもう一着もらえたとか!)
無理もありません。
文字どおり「掃いて捨てる」ほど数があり、それが普通の「なんでもないような」状態でしたから。
しかし時間が進むぬつれて数が減り、同時に生き残りの価格が上昇していきました。
現在では、購入に躊躇する価格になっていますし、程度の良いものは減ってきていますね。
まったく「なんでもないような」ことが普通の時代に帰りたいと思う今日この頃です。
今回のモデルは、そんな「なんでもないような」頃には、誰も見向きもしなかったアイテムのモデル品になります。
国内のオークションでは、当時の官給品がなんと数十万円で出品されていますね。
(本日現在でも出品されていますよ!)
大戦中のイギリス軍が支給したグリーンデニムの単色スモックスーツなのですが、現在は数が少なく絶滅危惧種入りしていますね。
その希少性に商機を見出した国内のメーカーが、とうとうモデル品を製造してしまいました。
それが今回のモデルです。
各時代の忠実なフライトジャケットをリリースしているHブランドの製品だけあって、とても良くできていますよ!
さてさて、それはどんなスモックスーツなのでしょうか?
今回は、イギリス軍装備マニアのみならず、モデル品コレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
前合わせのないプルオーバー(頭から被る)タイプです。
背面
生地は最初からUSED加工(ワンウォッシュ)されています。
前面裏側
背面裏側
フード周りレイアウト
フード
独特のデザインですね。
フード側面
頭頂部が水平に近いのがイギリス軍的ですね。
フードのドローテープ
テープの出口はボタンホールタイプ
タグ
当時のタグに似せてありますが、ブランド名が入ってるのは良心的ですね。
ブロードアローまでプリントされていますよ。
胸ポケット
ボタンで開閉。
中央にプリーツ付き。
腰ポケット
こちらもボタンで開閉。
こちらはプリーツなし。
腰のドローテープ
やはり出口はボタンホールタイプ。
袖
かなりのテーパーがついています。
袖の補強生地
このモデルは袖口まであって、しかも内側に折り込まれています。
(多くの官給品は、もっと小面積でパッチタイプです。)
各ポケットの力布
ボタン
カラーも形状もイギリス軍官給品とは違うタイプ。
ブラウンのプラスティック製。
ブランド及びサイズタグ
品質検査及びランドリータグ
中国製ですが品質管理が行き届いているのか、ちゃんと日本語の説明文になっていますね。
商品タグ各種
カラーがNo.2となっていることから、別色があったのでしょうか?
予備のボタンが付属しているのは有難いですね。
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3 その特徴とは?
生地はオリーブ糸とホワイト糸のデニムで、やや厚いですがワンウォッシュされているのでとても柔らかいです。
当時のグリーンデニムをよく再現していますね。
デザインは、フード付き、エポレットなし、胸ポケット×2、腰ポケット×2のプルオーバータイプで、やはり防風を目的とした衣類のようです。
全体的な縫製は、中国製ながら品質検査が行き届いているのか不具合はなく、正確かつ丁寧な仕立てです。
生地の感じや雰囲気も必要十分な再現度ですね。
(ただしボタンと各ポケットのサイズは少々疑問あり。)
デザイン及び生地色比較
今回のモデル
当時の官給品
参考:よく似たデザインのイギリス軍迷彩服
1940年代雪上用
1940年代迷彩版
1960年代DPM版
(前合わせはジッパーです。)
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 2000年代
製造場所 中国
契約会社 日本
製造会社 中国
材 質 コットン
表記サイズ L
(日本人のXXL)
各部のサイズ(平置)
肩幅 約67cm
身幅 約75cm
着丈 約73cm
袖丈 約54cm
状 態 デッドストック
(未使用・新品)
官民区分 民生品
入手場所 福岡の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
同系列のスモックでも、迷彩生地のモデルは比較的多く製造されました。
(何しろ第二次大戦、朝鮮戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争まで関係国で使用されましたから。)
また迷彩モデルは,とても人気があってこれは現在でも続いていますね。
でも今回のモデルの原型とも言えるグリーンデニムスモックスーツ(官給品)は、今から約40年前はあまり人気がなく、どのSHOPでも売れ残りを持て余していた印象があります。
(生地が厚く寒候期メインでしか使用できなかったのも問題でした。)
私も全く関心がありませんでした。
ところがそれ以降に数が減ってくると日本のみならず世界でも人気が出てきて、現在は高値で取引されるようになっていますよね。
もはや簡単には入手できないアイテムになっています。
(まったく「なんでもないようなこと」を見逃したツケは大きいです。)
そこに商機を見出したのがHブランドは素晴らしいですね。
実際どれだけ製造されて売れ行きはどうだったのか?…というのは分かりませんが、現在は絶版になっているようです。
それでも再現度は高いので、需要はあったのでは?
そういえば、以前某SNSで若いマニアの方から
「歳くって(老人なんだから?)るんだから古いものを持ってて当たり前」のような意で軽くディスられたことがあります。
でも老人コレクターは、全員が古く希少なアイテムを大量にコレクションしているのでしょうか?
いえいえ、そうではありません。
若い頃に「なんでもないようなこと」に魅力を発見し、集めたからこそ今があるのです。
(私の場合は、かなり見逃していますが!😅)
若いあなたも、ありふれたもの、なんでもないようなものに目を向け,自分だけの価値を見出し、充実したコレクションを目指してみてくださいね。
頑張って一緒に集めていきましょう!
ところで現在は絶版になっているこのモデルですが、辛うじて国内のオークションで数点出品されていますよ!
探していたあなたは、ぜひチェックしてみましょう!
一方、官給品をお探しのあなたは、海外のオークションを当たってみましょう。
国内よりも安価な場合が多いですよ!
今回は、希少なイギリス軍グリーンデニムスモックスーツのモデル品を分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20241231更新)
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参考:他のよく似たデザインの衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
イギリス軍のグリーンデニム生地を用いた装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他のイギリス軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
第二次大戦における各国軍の装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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