今回は1940年代のイギリス陸軍防風迷彩ユニフォーム(スモック&トラウザーズ)を分析します。
海外の専門誌では、「軽量ジャングルスモック」とか「SASスモック」とか呼ばれていますね。
この迷彩服も数奇な運命を辿った面白い経歴があります。
中古品ですが程度は極上ですよ!
スポンサーリンク
スポンサーリンク
目次
1 イギリス陸軍ウインドプルーフユニフォーム(迷彩生地バージョン)とは?
第二次大戦中に開発されたイギリス軍迷彩服といえば、誰もが知っているデニソンスモックが有名ですね。
デニソンスモックの記事ははこちらです。⬇︎
でも、じつは別の迷彩服がありました。
それが今回のモデルです。
デニソンスモックに似た迷彩パターンに、ブラウン系色調の迷彩生地は、一眼でそれとわかる独特の雰囲気がありますね。
でも今回のモデルは生地が薄く、デニソンスモックのように防寒を目的としたものではないようです。
しかし、第二次大戦中におけるイギリス軍での使用は限定的で、その多くは後の朝鮮戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争で使用されました。
たしかに、生地が薄いので、むしろ熱帯用とも言えますね。
さてさて、それはどんな迷彩防風ユニフォームなのでしょうか?
今回はイギリス軍装備装備マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
スモック
前面
一見デニソンスモックに似たパターンもありますが、別物ですね。
背面
前面裏側
背面裏側
胸ポケット
ボタンで開閉。
中央にプリーツあり。
腰ポケット
こちらもボタンで開閉。
プリーツはありません。
袖口
ボタンとストラップで調整。
腰のドローテープかなり分厚い材質です。
フードのドローテープ
こちらは薄い材質です。
袖口裏側
ジャケットタグ
1943年度契約品です。
トラウザース
前面
左大腿部にポケット
左右非対称デザインは、昔のイギリス軍伝統ですね。
背面
タグが表側にあります。
前面裏側
スラッシュポケット用の内布が目立ちますね。
背面裏側
ジャケットのように年代の表記がありませんね。
左大腿部のポケット
ボタンで開閉
垂直のスラッシュポケット
裾は袖と同様にボタンとタブで絞りを調整できます。
股間には補強布が。
生地が薄いので嬉しい装備ですね。
官給品四つ穴皿形ボタン
腰のドローテープはジャケットの裾と同様分厚い素材です。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
3 その特徴とは?
迷彩はライトブラウンの生地に、マホガニーブラウンとグリーンでブラッシュパターン(刷毛で塗ったようなパターン)や雲形を描いています。
グリーンとマホガニーの重なるところは、濃いブラウンになっていますよ。
何とも言えない凄みのある迷彩ですね。
生地はコットン製で、とても薄く緻密に編んである、いわゆるギャバジンです。
これはリッチですね。
デザインはとてもシンプルです。
構成は、スモックはフード付きのプルオーバー(頭から被る)、胸ポケット×2、腰ポケット×2。
トラウザースは、左右の腰にスラッシュポケット、左ヒザにフラップ付きパッチポケットという、必要最小限の装備です。
トラウザースにベルトループはありませんが、ウエストには分厚いコットンのテープ(帯)が内臓されていて、柔道の帯のように締められます。
(やはり、本結びがベストなのでしょうか?)
ところで以前分析した、DPMスモック(P63)は、このデザインがベースになっています。
全体的な縫製は、正確かつ丁寧で、イギリス人特有のマニアックな仕立てといえます。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1940年代
製造場所 イギリス
契約会社 イギリス
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 5(スモック)
1(トラウザース)
各部のサイズ(平置)
スモック
着丈 約76cm
肩幅 約65cm
身幅 約69cm
袖丈 約53cm
トラウザース
ウエスト 約51センチ
着丈 約110cm
股下 約74cm
股上 約39cm
裾幅 約26cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 九州の専門店
入手難易度 4(極めて困難)
スポンサーリンク
即納 2022 10オンス イギリス エリザベス2世戴冠70周年祭記念 金貨 プルーフ 箱とクリアケース付き 500ポンド 【PR】【弊社発行保証書付き】
スポンサーリンク
5 まとめ
細かいデジタル迷彩が主流の現代では、なかなかインパクトのある迷彩ですね。
デニソンスモック同様、迷彩パターンは大きいですが、各パーツに裁断したり服の皺等で複雑な迷彩に変化するのが魅力です。
全体的な色調がブラウン系なので、寒候期のフィールドで効果を発揮しそうですね。
サバイバルゲーム、狩猟、野鳥観測などに使用できそうですよ。
軽量で比較的小さく折り畳めるので、スモックやオーバーパンツ的に使用できますね。
ただ、単体では防寒能力がありませんので、冬場は工夫が必要です。
ところで、以前北アルプスの槍ヶ岳で、このトラウザースを登山用のニッカボッカに仕立て直し、着用しているベテラン登山家と遭遇しました。
なかなか似合ってましたし、迷彩は山岳地でも効果的でしたよ。
(迷彩を意図したものではないと思いますが。)
こんな使い方もあるのですね。
目からウロコでした。
さて、この迷彩スモックですが、朝鮮戦争やインドシナ戦争に送られ、酷使されるとともに、その後のベトナム戦でも南北ベトナム軍に使用されたりしましたよ。
そのため現在では数も激減して現代では絶滅危惧種になってしまいましたね。
見つけたら、積極的に保護してあげましょう!
そうそう、くれぐれも出来の悪いモデル品は購入しないようにしましょう!⬇︎
そうそう同じデザインで、砂漠用(サンド)、雪上用(ホワイト)、夜間用(ブラック)、一般用(オリーブグリーンデニム生地)もあります。
官給品はお高いですが、最近モデル品も販売されています。
…でも、官給品で全種欲しいですね💕
今回は、イギリス軍の大戦中に採用され、その後ベトナム戦争まで使用された珍しい迷彩服を分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20240116更新)
参考:第二次大戦中の各国迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルと同じ迷彩生地で仕立てられたフランス軍迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルを再現した出来の悪いモデル品に関する記事はこちらです。⬇︎
(購入してはいけません!)
今回のモデルと類似のデザイン迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
スポンサーリンク
[ワイパー] inc イギリス軍 BRITISH TYPE コンバットスモック/パーカー 【WP57】(M BLACK)
スポンサーリンク