今回は、1950年代のアメリカ空軍が使用したフィールドジャケットジャケットを分析します。
以前分析したアメリカ軍M50フィールドジャケットと同じデザインですね。
でも決定的な違いがありました!
実際に兵士が使用していたもので、破損・修理がありますが程度は良好ですよ!
目次
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1 アメリカ空軍使用フィールドジャケット(M50型・オリーブグリーン・10919)とは?
廃物利用…エコ活動が盛んな現代では、あらゆる分野で推奨され、また実践されていますね。
それは古今東西の軍隊でも同じです。
例えば大戦中のドイツ軍。
対戦車車両の不足を補うために、大戦初期に鹵獲した周辺国の軽戦車や、もう戦力にならない自国の軽戦車の車台に、強力な対戦車砲を搭載した自走砲を開発していました。
例:ドイツが鹵獲した旧チェコスロバキア軍軽戦車の車台を利用し、自国の75mm対戦車砲を搭載したマーダーⅢ。
↑これなどは典型的な廃物利用といえます。
今回のモデルは、アメリカ軍が実施した、言わば「廃物利用」…と思われるフィールドジャケットになります。
陸軍を主体に支給されていたM50フィールドジャケットと同じ外観ですが、OG(オリーブグリーン)に近いシェルが特徴ですね。
そして疑問点も…。
さてさて、それはどんなフィールドジャケットなのでしょうか?
今回は、コアなアメリカ軍装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
外観はM43フィールドジャケットですね。
でもシェルは緑味の強いオリーブグリーンでした。
背面
ある程度使用された中古品なので、タッパリングや褪色があります。
前面裏側
専用ライナーを取り付けるためのボタンがあります。
これはM50フィールドジャケットの特徴ですね。
背面裏側
襟周りレイアウト
襟は専用のチンストラップで立てることができます。
これもM43/M50フィールドジャケットと同じですね。
前合わせはボタンのみです。
前合わせ下から2番目のボタンが紛失していました!
前見頃のボタンホールは、ピンクに近いブラウンの生地で補強されています。
M43もM50もカーキでしたね。
裏面のライナー用ボタン
前見頃と袖にあります。
タグはありませんが、各種データは三段に分けてタグに記載されるデータがスタンプ(プリント?)されています。
一段目
サイズとストックナンバー(物品番号)ですね。
二段目
品名と取り扱い説明
でも「M1950」の型式番号がありません!これは?
三段目
こちらにも品名に「M1950」がありませんね。
1951年度契約品です。
MIL-SPECは「10919」でM1950フィールドジャケットと同じ。
エポレット
テーパーなしのクサビ型。
ボタンで開閉。
胸ポケット
ボタンで開閉。
でもボタンは僅かに右に縫い付けられていました。
腰ポケット
こちらもボタンで開閉。
ポケット内側の生地は生成りのツイル。
ポケット内のタグはありません。
今回のモデルは、右腰ポケットのフラップが一度取り外されて、のちに手縫いされていました。
ウエストのドローコードですが、M43フィールドジャケットのように四角いレザーのインナーはありませんでした。
左:前見頃のボタン(大)
右:ライナー用のボタン(小)
マホガニーブラウンのプラスティック製。
袖
テーパー付き。
袖口はボタンで開閉・調整。
マチ付き。
両袖には空軍の階級章を何回か取り付け取り外した跡が!
これは?
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3 その特徴とは?
生地はOG(オリーブグリーン)に染められたコットン・サテンで、これは当時のフィールドジャケットと共通ですね。
ただしOGの色調は、後のM65フィールドジャケットに近いです。
生地色比較
今回のモデル
やはり今回のモデルは、一般的なM50フィールドジャケットに比べて、やや緑味が強いですね。
シェルはやや厚く、防風性能に優れています。
(やや重量もあります。)
デザインは、M50フィールドジャケットと同じですね。
構成は、胸ポケット×2、腰ポケット×2で、裏側には専用のライナーを取り付けるボタンがあります。
勿論、裏側ほぼ全面にライニングもありますよ!
今回のモデルは、右腰ポケットのフラップを一旦切り離し、再度手縫いで取り付けられています。
また、空軍の階級章が縫い付けられていた跡がありました。
…ということは?
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1951年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ S-R
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
肩幅 約110cm
着丈 約32cm
身幅 約81cm
袖丈 約24cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
生地のカラーはともかく、仕様は全くM50フィールドジャケットと同じ。
(スペックも同じ!)
では、何故M50の表記がなされていないのか?
それはM50フィールドジャケット廃止とそれに伴うM51フィールドジャケットの採用に要因があるように思えます。
M43フィールドジャケットをマイナーチェンジして採用されたM50フィールドジャケットですが、防寒能力が低いことが災い(?)し、僅か1年を経てM51フィールドジャケットが採用されました。
しかし各官給品衣料メーカーはM50フィールドジャケットの量産に拍車をかけていたので急に停止することはできず、一部はそのまま量産。
そして在庫もいくらか存在したはずです。
それを廃棄するのは無駄になるので、苦肉の策として新たに空軍が採用したのではないでしょうか?
…真相は不明です。
でも今後も調査を「ケイゾク」して、真実を追求したいと思います。
それはともかくコレクション歴はまだ約50年の私ですが、今回のモデルのような「無名M50フィールドジャケット」を確認できたのは今回のモデルのみでした。
見つけるのは意外に困難かもしれません。
ただし外観はM50フィールドジャケットとそっくりなので、業者によっては(いえ殆どの業者が)十把一絡げでM50として販売されている可能性があります。
探しているあなたは、目にした全てのM50フィールドジャケットの品名を確認してみましょう!
(その際には、空軍の各種パッチ(ワッペン)付きを優先的に探してみましょう!)
私は、今回と同じモデルの(さらなる程度の良い)サンプルの収集に努めたいと思います!
今回は、M50という型式が表記されていない正体不明のフィールドジャケットを分析しました!
いやー軍装品って、本当に面白いですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
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参考:M50フィールドジャケット関する記事はこちらです。⬇︎
他のアメリカ軍装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色服に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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