今回は、1950年代の警察予備隊フィールドジャケットを分析します。
自衛隊の前身である警察予備隊時代の製品で最初期の作業服(戦闘服)ですね。
同じデザインの後のモデルとは生地色が大きく違っていました。
かなりの使用感とボタンに破損がありますが、時代を考えると程度は良好ですよ!
目次
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1 警察予備隊フィールドジャケット(OD・最初期モデル)とは?
1950年6月27日、突然の北朝鮮軍砲撃から突然始まった朝鮮戦争。
強力な北朝鮮軍の攻撃に対抗するため、その当時日本に駐留するアメリカ軍も次々と朝鮮半島へ駆り出されました。
一方、手薄になった日本を守るため、アメリカ軍の代替組織として新たに警察予備隊(後の保安隊→自衛隊の前身)が創設されましたね。
この当時の警察予備隊は、アメリカ軍兵器を使用し、個人装備は一部で旧日本軍系装備に加え、アメリカ軍供与品やそれらを日本風にアレンジして開発した装備を支給しましたよ。
今回のモデルは、そんな警察予備隊時代に支給された作業服(戦闘服)になります。
全体的なデザインは、後のモデルとよく似ていますが、大きく違ったところもありました!
さてさてそれはどんな作業服(戦闘服)なのでしょうか?
今回は、コアな陸上自衛隊装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
生地のカラーが完全なODですね。
背面
前面裏側
背面裏側
襟周りレイアウト
襟はチンストラップで立てることができましが、位置関係が少々おかしいですね。
多くの隙間ができてしまいます。
前合わせはボタンのみ。
うなじのタグ
タグの上にはタインが白糸で記名していますね。
タグの裏側には何やらスタンプが。
検査スタンプでしょうか?
タグ①
昭和26年度(1951年度)契約品ですね。
なんとサイズはインチ(吋)表示!
エポレット
僅かにテーパー付き。
ボタンで開閉。
袖側は縫い付けられていますね。
胸ポケット
ボタンで開閉。
腰ポケット
こちらは最初からボタンはありません。
ウエスト裏側
ドローコードは最初から欠品でした。
袖
テーパー付き。
袖口はボタンで開閉・調整
マチ付きです。
マチはアメリカ軍M43ジャケットのように、手首を包み込むように生地面積が広いですね。
今回のモデルは左袖のボタンが一個破損していました。
この時代から1960年代までの同モデルに使用されているボタンは破損しやすいですね。
袖マチ付け根の力布
カーキに近い色調。
前見頃のボタン(大)
グリーンの薄いプラスティック製
ポケット、袖、エポレットのボタン(小)
胴体側面の裁断
別生地で縫製されているのはアメリカ軍M43フィールドジャケットを踏襲していますね。
でも腰ポケットは、より前面に移設されています。
比較例
アメリカ軍M43フィールドジャケット
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3 その特徴とは?
生地は茶色味の強いOD(オリーブドラブ)に染められたコットン/化繊のサテンで、洗濯を繰り返しているためか現時点ではタッパリングが顕著で、褪色もあります。
生地色調比較
後のモデル(1960年代)との生地色比較
左:今回のモデル
右:1960年代のモデル
生地の色調が大きく違っていますね。
面白いのは縫い糸で、染色技術が低かったのかほとんど褪色して白っぽくなっていますね。
デザインは、アメリカ軍のM43/M50フィールドジャケットを参考にしているようです。
構成は、エポレット付、胸ポケット×2、腰ポケット×2ですが、腰ポケットにはボタンはなく、ライニングもありません。
襟はチンストラップで立てることができますが、少々隙間が多く寒候期にはあまり意味がなさそうですね。
また後のモデルでは標準装備であった肘の補強生地がありません。
袖比較
今回のモデルには特に何もありません。
後のモデルでは、肘に補強生地が追加されていますね。
全体的な縫製は丁寧で正確なのですが、生地やボタンの材質が今ひとつ(当時としては当然か?)なので、使い込まれた中古品は、生地のこわばり、ボタンの破損が顕著ですね。
4 製造とサイズのデータ
製造・契約年度 1951年代
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ 特
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約68cm
肩幅 約47cm
身幅 約58cm
袖丈 約57cm
状 態 中古並品
官民区分 官給品
入手場所 名古屋の骨董市
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
大ヒットしたアニメ「進撃の巨人」では、主人公エレン・イェーガーが「始祖の巨人」を引き継いていましたね。
この巨人は、他の巨人とは機能や役割が大きく違っていて、ストーリーの根幹をなす設定でした。
今回のモデルは、本当の意味で「始祖の作業服」と言えそうですね。
端的にいうと「アメリカ軍の真似」から始まった警察予備隊装備。
しかしここから陸上自衛隊オリジナル装備を開発、現在の戦闘装着セットにつながるのかと考えると、今回のモデルがもつ意味はやはり大きいのでは?
残念ながら今回のモデルも含めた自衛隊のM43/M50型の作業服は入手困難です。
ましてや今回のモデルと同じ時代の作業服はまず入手できないでしょう。
それでもオークションでは、グリーンの生地モデルが年に数点出品されています。
探しているあなたは、オークションに網を張るか骨董市をのぞいてみましょう!
あるいは今回のモデルも見つかるかもしれませんよ!
今回は警察予備隊時代の作業服を分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
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参考:今回のモデルが参考にしたと思われるアメリカ軍のフィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルの後に採用されたOD作業服に関する記事はこちらです。⬇︎
他の自衛隊装備品に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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