今回は、陸上自衛隊、古の作業服を分析します。
以前も分析しましたが、デッドストック品が見つかった(失くしとったんかい!)ので、改めての分析です。
なんと現代の私でも着用できる希少なサイズです!
状態は…奇跡のデッドストックですよ!
目次
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1 陸上自衛隊旧作業服(M43タイプ・1958年)とは?
その昔、まだ64式小銃が自衛隊に配備されていなかった頃、自衛隊の主力小銃は旧軍の九九式(改)とM1ガーランドでした。
いずれも第二次大戦中に使用された小銃です。
しかしそのすべてが中古かつ旧式で、特に九九式小銃は、銃器史上稀に見る酷い改造がなされていました。
驚くべき事に、九九式でM1ガーランドの弾薬を使用できるようにしたのです。
あなたもご存知の通り九九式の口径は7.7mm、M1ガーランドの30–06弾(1906年採用の口径0.30インチ弾)の直径は、7.62mmでした。
(銃身の口径(内径)は、九九式が僅かに太かったんですね。でもこれは致命的です。)
しかも薬莢(火薬が入っている真鍮の部分)の大きさは30–06弾が大きかったので、あろうことか九九式のチャンバー(薬室:弾丸を詰めるところ)を削って使用したのです。
つまり通常より強度の劣った機関部から、より強力な弾丸を、より口径の大きい銃身で撃つという暴挙が行われていました。
そりゃあ事故も多いし、的に当たる方がおかしいですよね。
当時の隊員さんの中には、九九式(改)小銃を見て「こんな銃を使っていたから旧軍は負けたんだ!」と吐き捨てる方もいたとか。
守るべき市民から「税金泥棒」と呼ばれ、駅ではツバを吐かれ、銃を撃てば事故で負傷…。
でも先輩は、こんな最悪の状況下でも歯を食いしばって、我が国の平和と独立を守るために頑張ってくれていたのですね。
今回のモデルは、そんな自衛隊黎明期の作業服になります。
アメリカ軍のフィールドジャケットを原型としているようですね。
さてさて、それはどんな作業服なのでしょうか?
今回は元自衛官のみならず現職の自衛官や自衛隊装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 陸上自衛隊旧作業服の全体及び細部写真
前面
背面
前面裏側
内ポケットはありません。
背面裏側
前合わせはボタンのみですが、生地が固くてボタン操作がし辛いですね。
サイズスタンプ
「特号」です。
タグ
昭和33年(1958年)度契約品です。
背中裏側は生地が二重になっています。
雨対策でしょうか?
後の作業服にも継承されていますね。
エポレット
約1/3は、強固に縫い付けられています。
胸ポケット
ボタンホールのタブは独立しています。
腰ポケット
こちらはボタン等がありません。
後の作業外被と同じデザインですね。
ポケットの中も同じ生地です。
袖
マチ付きのボタンで開閉・調整
肘の補強生地は、必要最小限です。
ウエストのドローコード
襟はチンストラップでスタンドカラーに。
アメリカ軍M43フィールドジャケットと同様のデザインですね。
粗末なボタンは色違い。
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3 その特徴とは?
デザインは、朝鮮戦争で使用されたアメリカ軍M43又はM50フィールドジャケットを踏襲していますね。
(じつは当時も古参隊員は、正々堂々とM43やM50を着用していたそうですよ。←先輩情報)
でも、アメリカ軍のようにライニングがありません。
つまり、防寒を意識していない造りになっていますね。
M43同様、胸ポケット×2、腰ポケット×2のコートタイプです。
M43などと比較すると、少々チープな感じがしますが、亜熱帯に近い日本では、これくらいの薄さで丁度良かったのかもしれませんね。
生地はM43ではなく、M50に近いです。
(そのため、製造の参考にしたのはM50ではないでしょうか?)
また、生地は硬くゴワゴワで、私のような柔肌(?)では、擦れて怪我しそうな感じです。
(生地自体は丈夫のようですが。)
生地の色調は、アメリカ軍の各種フィールドジャケットより暗く、どちらかといえばODですね。
サイズ表記は、OD&熊笹迷彩時代の表記方法と変わりませんが、各部の実寸はかなり小さいですね。
今回のモデルは「特」号ですが、ちょっと前の1号又は現行の4号くらいのサイズ感です。
全体的な縫製は正確かつ丁寧で、さすが日本製といったところです。
4 製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 1958年
・製造場所 日本
・契約会社 日本
・製造会社 〃
・材 質 コットン
ビニロン
・表記サイズ 特
(日本人のL)
・各部のサイズ(平置)
着丈 約74センチ
肩幅 約47センチ
身幅 約59センチ
袖丈 約60センチ
・状 態 デッドストック
・官民区分 官給品
・入手場所 ヤフオク
・入手難易度 4(極めて困難)
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5 まとめ
このモデルではないですが、実際に4ポケットコートタイプの戦闘服を着用してみると、ポケットが沢山あってとても使いやすいですね。
(ツーリングなどでも便利です。)
現代のように、システマティックなタクティカルベストがなかった時代は、重宝したのではないでしょうか?
でも、どうやら当時の隊員さんにコートタイプは煩わしかったようです。
後にシャツタイプ(上衣を下衣に入れるタイプ)に変更されましたね。
(昨今の戦闘服を見ていると、みんなシャツタイプに変更されているので、あながち間違いではなかった気もします。)
今回のモデルは、陸上自衛隊黎明期の僅かな期間に使用されたものです。
衣類としての使い勝手はともかく、歴史的な意味がとても大きいモデルですね。
最近、ネットオークションでも頻繁に出品されるようになりました。
(何故でしょうね?なんとなくわかる気もしますが…。)
ただやはりサイズの小さいものが多いですね。
今回のモデルは、その歴史的価値から実用目的ではなくコレクションしておくのが良いかもしれません。
私も現代自衛隊の礎を築いた先輩達の頑張りに敬意を表して、大切に保管していきたいと思います。
先輩、お疲れ様でした!
今回は、陸上自衛隊のずっと昔の作業服を分析しました。
次回は、フランス軍の迷彩服を分析します。
お楽しみに!
(20210更新)
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最近の陸上自衛隊駐屯地祭の様子はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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