今回は、1960年代と思われる旧南ベトナム軍迷彩ユニフォームを分析します。
どうやら官給品ではなさそうですね。
サイズや製造場所を示す痕跡が無いことから、もしかしたら非公式の迷彩服だったのかもしれません。
デッドストック…とは行かないまでも、程度は良好ですよ!
目次
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1 旧南ベトナム陸軍陸軍ローカルメイド迷彩服(韓国製リザード)とは?
TVが各家庭に普及して、初めて戦争の実態を一般市民がつぶさに見ることのできたベトナム戦争。
今なお、多くの分野で研究がなされていますね。
個人装備でも、この時期にアメリカ軍が開発し多用したナイロン装備、熱帯装備は、後の各国軍装備開発に大きな影響を与えました。
また、この戦争は非正規の装備品が多量に使用されたことでも有名です。
有名なタイガーストライプ迷彩服、旧フランス軍が残したリザード迷彩装備品、アジア各国で製造された迷彩生地を用いた雑多な迷彩服等々、枚挙にいとまがありません。
今回のモデルは、南ベトナム軍兵士が、現地のテーラーに注文して仕立てた、ローカルメイド(現地生産)の迷彩ユニフォームになります。
ローカルメイドとはいえ、とてもシンプルで使いやすそうな迷彩服ですよ。
さてさて、それはどんな迷彩ユニフォームなのでしょうか?
今回は、ベトナム戦争マニアのみならず、迷彩服コレクション初心者のあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
シャツ
前面
背面
前面裏側
背面裏側
襟周辺レイアウト
襟は開襟です。
胸ポケット
袖
単純な筒です。
ボタン
ODのプラスティック製
トラウザーズ
前面
背面
前面裏側
腰ポケット生地が目立ちますね。
背面裏側
前合わせはジッパーとホックです。
右側面
スラントポケットとヒップのパッチポケット
ヒップポケットは多くのジーンズのようにオープンタイプです。
スラントポケット内側生地は、ホワイトのポプリン
ウエストにはカーキの補強生地付き
迷彩パターン
一見フランス軍のパターンに似ていますが、似て非なるものです。
…が、これはこれでアリでしょうか?
中央少し上にプリントミスがあります。
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3 その特徴とは?
迷彩は、ライトグリーンの生地に、レッドブラウンとダークグリーンを用いて、刷毛で丸く塗ったようなパターンを描いています。
まるでフランス軍のリザード迷彩のようですね。
確かに色調は似ていますが、よく見るとパターンは全く違うものというのがわかります。
この生地は韓国製(数種類あり)で、1960年前後には南ベトナムに輸出されていたようですね。
(当初南ベトナム軍は、フランス軍が残していった迷彩生地を使用していましたが、不足しがちになり諸外国へ発注していました。)
生地は薄いコットン製のツイルです。
韓国製にしては、生地が上質で肌触りも良いですね。
デザインは、シャツが開襟、エポレットなしで、胸ポケット×2。
トラウザーズは、左右のスラントポケット、臀部ポケット×2です。
とてもシンプルですね。
見方によっては、アメリカ軍のOG–107ユーティリティユニフォームにも似ています。
正確な縫製で、当時のベトナム人の真面目な性格がよく出ていますよ。
生地の端末もちゃんと処理されていて、好感が持てますね。
4 製造とサイズのデータ
・製造又は契約年度 1960年代
・製造場所 南ベトナム
・契約会社 南ベトナム
・製造会社 〃
・材 質 コットン
・表記サイズ なし
(日本人のS)
・各部のサイズ(平置)
シャツ
着丈 約69センチ
肩幅 約44センチ
身幅 約53センチ
袖丈 約55センチ
トラウザーズ
着丈 約96センチ
ウエスト 約40センチ
股上 約28センチ
股下 約71センチ
裾幅 約23センチ
・状 態 中古極上品
・官民区分 民生品
・入手場所 ヤフオク
・入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
やはりフランス軍の迷彩生地(に似たパターン)を採用するなど、まさに「独立した国は宗主国の軍装を採用する。」という法則通りですね。
でも、このシンプルさがたまりませんね。
実際の戦闘では、背のうを背負い、サスペンダーやマガジンパウチを装着したピストルベルトなどを身につけるため、こんなシンプルさでも十分だったのでしょうね。
(高温多湿な地域も多かったですし。)
ただ、これまでにもいくつか同じ迷彩服を目にしましたが、いずれも大きいサイズがなかったのが残念ですね。
(当時のベトナム人の体格は、日本人男性のS〜Mくらいだったようです。)
確か1980年代には、日本製のモデル品もあったように記憶しています。
でも、もはやそれも見掛けなくなりましたね。
それでも、大阪の専門店「C店」には、時々当時の物が入荷しているようですよ。
やはり小さいサイズが主体ですが、あなたが探しているなら、一度覗いてみる価値はあると思いますよ。
今回は、ベトナム戦争中の旧南ベトナム軍ローカルメイドの迷彩ユニフォームを分析しました。
いやー軍装品って、モデル品も本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20221107更新)
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参考:南ベトナム軍の装備品(モデル品も含む)に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルの迷彩生地の原型はこちらです。⬇︎
* * *
読んでいただき、ありがとうございました。
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