今回は、1990年代の陸上自衛隊70式航空服(冬用)を分析します。
いわゆるレザーフライトジャケットですね。
1970年代に採用されましたが、2000年代まで使用されていました。
(諸説あり。)
実際にパイロットが使用していたもので、ライニングに変色はありますが程度は良好ですよ!
目次
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1 陸上自衛隊70式航空服(レザーフライトジャケット・冬用・ダークグリーン)とは?
陸上自衛隊の航空戦力は、一部の例外を除いてそのほとんどがヘリコプターで構成されています。
そのため操縦するパイロットは、外気に晒されることが多く、夏でも冬でも気温の影響を受けることが多いですね。
特に普通科隊員を乗せて作戦するヘリコプターは、夏はともかく冬は非常に寒い機内になることは想像に難しくありません。
だからでしょうか?
陸上自衛隊パイロットには、レザーフライトジャケットが支給されていましたよ!
今回のモデルは、1970年代に採用された冬用航空服(フライトジャケット)になります。
襟ボア付きでシェルがレザーであることから、防風・防寒性能に優れているのが特徴です。
さてさて、それはどんな航空服なのでしょうか?
今回は陸上自衛隊パイロット装備マニアのみならず、世界のフライトジャケットコレクターのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
背面
アクションプリーツはありません。
背面裾にニットがありませんね。
前面裏側
前見頃には使用に伴う生地の変色あり。
内ポケットに注意。
背面裏側
うなじ付近にも変色がありますね。
露出が不適正で色がとんでいますが、裾のニットは表側同様左右のみです。
襟周りレイアウト
襟ボアで首筋が保温できるのはありがたいですね。
前合わせはジッパーとダットファスナーです。
タグ
1997年度契約品。
ご覧のとおりレザーはフェイクレザーです。
えーっと、ライニングの材質は何でしょう?😅
ダットファスナー裏面は、プラスティックのカバー(?)で覆われています。
内ポケット
ポケット口はレザー。
ライニングの生地
起毛したウール製でしょうか?
ジッパー
勿論「YKK」でブラス製です。
ジッパースライダーのプルタブにあるコード。
腰ポケット
ダットファスナーで開閉。
ポケット内部はライニングと同じ起毛した生地。
ポケット口はレザーを装備。
脇の裁断
アメリカ軍レザーフライトジャケットG-1にも似たデザイン。
ライニングも同様のデザイン。
袖
テーパー付き。
袖口にはニットを装備。
化繊(おそらくポリエステル)でとても柔らかいですよ。
筒縫いではありません。
袖裏側は、袖口ニット交換を容易にするために、後縫いされていますね。
腰ニット
腰左右にあります。
背面の裾はレザー製でニットは左右のみ。
襟のボアは取り外し可能。
襟ボアに元々の襟を差し込んで、ボタンとダットファスナーで留めます。
襟裏のダットファスナー凸部
襟の内側にはニット襟もあり。
襟ボア
表側
裏側
襟裏はブラックの生地
襟ボア取り付け用ボタン
ブラックのプラスティック製。
ダットファスナー表側
各部と共通ですね。
ODのプラスティック製。
襟ボアは柔らかい化繊(おそらくポリエステル?)でモフモフです。
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3 その特徴とは?
レザーはダークグリーンに染められた「ウレタン擬革」つまりフェイクレザー(合成皮革)で、軽量かつ防風性能に優れています。
裏側のほぼ前面に、ベージュのウール製(?)ライニングがあり、ある程度の保温力がありますね。
デザインは、エポレットなし、腰ポケット×2、内ポケットで、袖ポケットはありません。
袖口と裾にはニットを配し、冷気の侵入を防いでいますが、背面裾はシェルと同じレザーとなっています。
面白いのは襟の内側にニット襟があるのと、襟ボアが取り外しできるところですね。
全体的な縫製は、丁寧かつ正確でさすが日本製と納得の仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1997年
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 レザー
(ウレタン擬革)
ウール?
表記サイズ 1
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
肩幅 約52cm
身幅 約60cm
着丈 約65cm
袖丈 約60cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 愛知の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
前見頃にダットファスナーが剥き出し…というのはデザイン的に評価の分かれるところですが、修理を考えると下手に隠しファスナーにするより合理的かもしれませんね。
フェイク(合成)とはいえレザーなので風を通さないのは素晴らしいです。
ライニングのウールと相まって、着用すればかなり暖かいジャケットなのでは?
…ただし、このジャケットには興味深いエピソードがあります。
1990年代に航空自衛隊岐阜基地で勤務していた頃に、陸上自衛隊パイロットとお話をする機会がありました。
レザージャケットを着ていてカッコいいなと思っていたら、何かジャケットの質感や色調に違和感を感じて…それとなく質問してみました。
すると着用していたレザージャケットは、官給品の70式と同じデザインをリアルレザー(牛革?)で再現した、その飛行部隊オリジナルジャケットだったとのこと。
パイロット有志でお金を出し合って必要分を民間業者に発注・製造させたのだとか。
曰く「官給品は汗を全く吸わなくて、フライト終了後には飛行服やシャツがかなり濡れてしまう。そこでパイロット皆んなで話し合って発注した。」ということでした。
パイロットの為に考えられて製造・採用された官給品ですが、そんな問題点があったのですね。😅
それはともかく、このレザージャケットも現在既に用途廃止で入手困難品になっていますよ。
元々人気のない自衛隊フライトジャケット。
その中でも圧倒的に数が少ないですし、厳格な廃品管理で民間に出回ることはまずありません。
それでも1990年代までは、現在ほど厳しくありませんでしたので一部が市場に流れていたようです。
(今回のモデルも、その一部でしょうか?)
探しているあなたは、ぜひ国内のオークションを主体にチェックしてみてください。
(数年に一度くらい出品されていますよ!)
私は、とある飛行隊で私費で発注されたリアルレザーの私物航空服を探してみたいと思います!
今回は、陸上自衛隊の70式冬用航空服(レザーフライトジャケット)を分析しました!
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20250616更新)
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参考:陸上自衛隊のパイロット装備に関する記事はこちらです。⬇︎
陸上自衛隊のレザー装備に関する記事はこちらです。⬇︎
他の自衛隊装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍のフライトジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の防寒装備に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍の単色衣類に関する記事はこちらです。⬇︎
各国軍のレザー装備に関する記事はこちらです。⬇︎
✳︎ ✳︎ ✳︎
読んでいただき、ありがとうございました。
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