今回は、1940年代のアメリカ陸軍防寒M41フィールドジャケットを分析します。
以前モデル品を分析しましたが、今回はいよいよ官給品です。
なんと独特のカスタムが施されていました。
中古品で欠品・汚れなどがありますが、時代を考えると程度は良好ですよ!
目次
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1 アメリカ陸軍M41フィールドジャケット(官給品・プチカスタム)とは?
その軽快なフォルムと着やすさで人気のアメリカ軍M41フィールドジャケット。
その型式番号の示す通り、1941年に採用されました。
(前作はM38フィールドジャケットでしたね!)
多くの国がウール製4ポケットの堅苦しい制服で戦争していた時代、そんな固定観念を一瞬で過去に押しやった画期的な戦闘服でした。
ただしシェルの生地が薄くてすぐに擦り切れたり、ウール製ライニングなので前線での洗濯が問題だったりしました。
でも丈が短く、風も防ぎある程度の保温力もあるので、日本のみならず海外でも人気が高いですね。
当ブログでも、よくできたモデル品を記事にしましたが、人気の記事になっていますよ。
そんなM41フィールドジャケットですが、今回はやっと官給品を分析します。
ただし一部が改造(プチカスタム)されていました。
もしかしたら、前オーナーである兵士は、意外にファッション感覚に優れた方だったのかも?
さてさて、それはどんなM41フィールドジャケットなのでしょうか?
今回は、大戦中のアメリカ軍装備マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
いつもの見慣れたM41フィールジャケットなのですが…
背面
ウエストのサイズ調整タブに注意!
(ここがカスタムポイントです。)
前面裏側
脇はウール生地はなくコットン生地で通気性を確保?
背面裏側
実際に使用されていたものなので、ライニングは部分的(背中)が変色していますね。
襟周りレイアウト
襟は裏のチンストラップとボタンで立てることができます。
襟裏生地の色調が違っていますね。
前合わせはジッパーとボタンです。
エポレット
テーパー付きのクサビ型
胸ポケット
オープンタイプです。
ポケット内側の生地はライトブラウンのコットンツイル製
(いくつかバージョンあり。)
右ポケット内にはタグの跡が!😭
袖
殆どストレートですね。
背中のアクションプリーツ
ウエストのサイズ調整タブ
本当は裾付近にありますが、兵士がウエスト付近に移動させていますね。
ボタンは丁寧に手縫いされていました。
参考:本来のサイズ調整ストラップの位置
(モデル品)
裾に近い位置にストラップとボタンが縫い付けられていますね。
でも今回のモデルは背面のウエストバンドの部分にストラップとボタンを移設しています。
脇には別生地のパーツがあります。
ジッパー
スライダーのプルタブに穴が開いている古いタイプ
刻印は「CONMAR」
ジッパーエンドは生地を折り返して強度を上げていますね。
当時の一般的な処理です。
(現在はナイロンテープで補強する場合が多いですね。)
ボタン
何故か現代風のプラスティック製に見えますね?
プチカスタムの証
元々あった箇所の糸を解き、ストラップを移設。
その後新しい糸で同じ箇所を縫い直しています。
(⬜︎の箇所に注意!糸色とピッチがここだけ替わっていますね。)
とても丁寧な仕事です。
本来ストラップを取り付ける箇所には、3個のボタンを縫い付けるためのマーキングがありました。
(…ということは、製造過程でカスタム化された?🤔)
今回のモデルでは、シェルは同じ色調の生地でしたが、襟裏などのパーツには違う色調の生地が使用されていました。
(これは官給品の証でもありますね。)
A:シェルと同じ生地
B:やや暗い生地
C:ブラウンが強い生地
またウール生地のライニングも2種類の色調がありましたよ。
D:僅かにグリーンが強い生地
E:濃いODの生地
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3 その特徴とは?
生地はカーキに染められたコットンポプリンと呼ばれる、薄く軽量な生地です。
さらさらしていて肌触りは良好ですね。
ほぼ裏側全面に、OD(オリーブドラブ)の薄いウール生地ライニングがあります。
デザインは、エポレット付き、胸ポケット×2というシンプルなもので、袖口や裾にはサイズを調整するストラップがあります。
…ですが今回のモデルは、裾のストラップがウエスト部に移設されていますね。
珍しいカスタムです。
面白いのは、裾には本来ボタンを取り付ける位置のマーキングが残っているところです。
…ということは、製造の過程でカスタム化したのでしょうか?
(本来裾にあるストラップの処理も、ほとんど違和感のない状態です。)
全体的な縫製は、とても正確かつ丁寧で、とても戦時中に大量生産された衣類とは思えない仕立てですね。
4 製造とサイズのデータ
製造・契約年度 1940年代
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
ウール
表記サイズ 不明
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
着丈 約68cm
肩幅 約45cm
身幅 約58cm
袖丈 約63cm
状 態 中古上品
官民区分 官給品?
入手場所 名古屋の専門店
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
タグが失われているのではっきりしたことは言えませんが、今回のモデルはもしかしたらテーラーメイドの私物なのかもしれませんね。
だとするなら、製造前にカスタム化することは可能です。
でも、襟うらの生地やライニングの生地色が複数使用されていたりして、官給品の雰囲気も残っています。
面白いM41フィールドジャケットですね。
確かに、裾よりもウエスト(サイズが合致すれば)にストラップを取り付けた方が、見た目はファッショナブルかもしれませんね。
このカスタムについては、他に例がないか調査を「ケイゾク」します。
さて、官給品のM41フィールドジャケットですが、さすがに近年では程度の良い個体が少なくなってきましたね。
(破損や汚れの酷い個体が多いです。)
また稀に見かけるデッドストック…に近い個体も、手の届かない価格になってしまいました。
そのためどうしても官給品が欲しいというコアなマニア以外は、忠実なモデル品を購入・着用した方が良さそうですね。
幸い人気のジャケットということもあって、モデル品の種類も多く、場合によっては有名なファションブランドからも販売されていますよ。
再現度も素晴らしいモデルが多いですね。
勿論大手通販サイトでも取り扱われています。
あなたのシチュエーションに応じて購入できるのが嬉しいですね。
購入する場合は、忠実なモデルほど表記サイズより大きく作られている(官給品どおりなのですが…😅)ので、ワンサイズ小さいものを選びましょう!
(それでも試着またはサイズ確認は必須ですよ!)
今回は、プチカスタム化されたアメリカ軍M41フィールドジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それではまた、次回をお楽しみに!
(20231127更新)
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参考:M41フィールドジャケットのモデル品に関する記事はこちらです。⬇︎
その他の第二次大戦中に使用されたアメリカ陸軍フィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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