今回は、1950年代のアメリカ軍M51フィールドジャケットを分析します。
前作M43/M50フィールドジャケットの欠点を大幅に改良したモデルですね。
1960年代まで使用されました。
今回は中古品ですが程度は極上ですよ!
目次
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1 アメリカ軍M51フィールドジャケット(中期型・11448A)とは?
第二次大戦後、M43フィールドジャケットを改良したM50フィールドジャケットを開発・支給したアメリカ軍。
でも1950年には、予想外の朝鮮戦争が勃発しました。
この戦争に国連軍の一員として参加したアメリカ軍でしたが、M50フィールドジャケットの支給が間に合わず、殆どM43を主体とする旧式装備で戦闘を開始しましたね。
しかし、アルディンヌの森よりはるかに強い朝鮮半島の寒気は、M43、M50フイールドジャケットの防寒能力の低さを図らずも露呈させる形になりました。
また、前線からはあらゆる面でこれまでのフィールドジャケットの使い勝手の悪さも指摘されましたね。
そんな中、前線の声を重視し、急遽新しい防寒装備としてM51シリーズが開発されます。
今回のモデルは、その中でも最も使用頻度の多いM51フィールドジャケット(中期型)になります。
前作M50フィールドジャケットがM43のマイナーチェンジだったのに対し、M51フィールドジャケットは各部をさらに改良し、より防寒に特化されているのが特徴です。
さてさて、それはどんなジャケットなのでしょうか?
今回は、アメリカ軍フィールドジャケットマニアのあなたと一緒に確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
前面
一見M43/M50フィールドジャケットと大きな違いはないように見えますね。
背面
前面裏側
背面
前合わせはジッパーとダットファスナーです。
ここが新しいですね。
襟は襟裏のボタンで留めて立てることができます。
(M43、M50のようなチンストラップはありません。)
胸ポケット
ダットファスナーで開閉
腰ポケット
ダットファスナーで開閉
腰ポケットの中は毛布生地で、ハンドウォーマーも兼ねていますよ。
暖かそうですね。
エポレット
M43、M50より幅広です。
ボタンで開閉
袖口 マチ付きで2個のボタンで開閉、調整
サイズスタンプ
データスタンプ 正式品名は「コート」
朝鮮戦争後のモデルで、1956年度契約品です。
データスタンプ下部には謎の赤いスタンプが!
(検査スタンプでしょうか?)
裾のドローコード
前身頃裏側
見えているボタンはライナー用です。
ウエストのドローコードは、何故か表側にでています。
(出ていないモデルもあり。)
袖口裏側
ここにもライナー用のボタンが。
ジッパー
刻印は「CONMAR」のアルミ製
殆ど使用されていないので、昨日製造されたようにピカピカです。
表に出ているウエストのドローコード
ダットファスナーの刻印
ジッパー差込口にも刻印が。
両袖に階級章、左肩口に部隊章を縫ったあとがあります。
でも全体的に着用感が感じられませんね。
肘はM51から立体裁断、縫製になりました。
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3 その特徴とは?
生地はOG(オリーブグリーン)に染められた高級なコットンサテンで、厚く重量があります。
M43フィールドジャケットの生地と同等品ですね。
生地のカラーはOG-107ですが、M50フィールドジャケットより茶色が強い印象です。
(これは製造誤差やバリエーションなのかもしれません。)
M50フィールドジャケットとは生地を変更したので、やや重くはなりましたが、防風性能がアップしていますね。
デザインは、それまでのフィールドジャケットと概ね同じです。
構成は、エポレット付、胸ポケット×2、腰ポケット×2で、裏側にはライナーを取り付けるためのボタンがあります。
M43/M50フィールドジャケットと大きく違うのは前合わせで、ボタンのみからジッパーとダットファスナー併用に変更されていますね。
また各ポケットもボタンを廃止しダットファスナーに変更されていますよ。
これで、かじかんだ手や手袋をつけたままでも、ポケットを留められるようになりました。
M43、M50フィールドジャケットにあった襟のチンストラップは省略されて、襟にあるボタンとボタンホールでスタンドカラーになるようデザインが変更されていますね。
(これは後の陸上自衛隊のOD作業服にも採用されていました。)
今回は準備できませんでしたが、ウールパイル製の専用のライナーと、専用の防寒フードがオプションで準備されていました。
全体的な縫製は、丁寧かつ正確で、強度も十分ですね。
このジャケットも厚いライナーを装着することを前提にデザインされています。
そのためサイズはS-Rですが、M65フィールドジャケットでM–Rを着用している私でも着用可能なサイズ感です。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1955年
製造場所 アメリカ
契約会社 アメリカ
製造会社 〃
材 質 コットン
表記サイズ R–S(S–R)
各部のサイズ(平置)
着丈 約80cm
肩幅 約48cm
身幅 約56cm
袖丈 約62cm
状 態 中古極上品
官民区分 官給品
入手場所 ヤフオク
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
前作M50フィールドジャケットから大きくデザインが変更されたため、とても使い易くなっていますね。
私の先輩方は、
- 襟の形がキレイ
- 袖口も一般的なタイプ
- 前合わせにジッパーを使用していて防寒能力が高い
…ことから、M51フィールドジャケットを頂点と考えている方が多いですね。
(M65よりも断然M51に人気があります。😃)
たしかに洋服らしい戦闘服はこのM51フィールドジャケットが最後で、以降のM65フィールドジャケットは戦闘に特化して各部が簡略化(マジックテープを多用など。)されたり、フードが付けられたりしていきました。
そういう意味では、古き良き時代のフィールドジャケットと言えます。
でも現代でも着やすくて良いジャケットですよ。
(だからでしょうか?最近、多く復刻されていますね?)
袖がボタンでスッキリしているのもいいですね。
カラーもシックで落ち着いています。
ただ、さすがに今日では官給品の数が減って高価になりつつありますね。
でも中古品なら、まだまだ入手可能ですよ。
今回のモデルも一度支給されたものですが、殆ど着用感のない極上品でした。
もしかしたら同じレベルのものが見つかるかもしれませんね。🤔
注意点はサイズで、表記サイズで購入すると、少し大きいサイズ感になります。
購入時は、一つ下のサイズがベストかもしれませんね。
超有名なM43フィールドジャケットと、M65フィールドジャケットに挟まれて、あまり知られていないM51フィールドジャケットですが、今まさに見直すべきアイテムなのかもしれませんね。
今回は、アメリカ軍のM51フィールドジャケットを分析しました。
いやー軍装品って、本当に素晴らしいですね!
それでは、また次回をお楽しみに!
(20230330更新)
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参考:他のM51フィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルの前に採用されたフィールドジャケットに関する記事はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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