今回は、航空自衛隊の歴史の中で、比較的短期間の使用で終わった3番目の作業服を分析します。
支給された当時は、とてもガッカリした覚えがありますね。
あきらかに、ある軍隊の真似だったからです…。
それはともかく、中古品ですが程度は良好ですよ!
目次
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1 航空自衛隊旧作業服(グリーンタイプ)とは?
あまり知られていませんが、航空自衛隊創設当初、作業服は陸上自衛隊と同じアメリカ軍M43ジャケットとよく似たデザインのものを使用していました。
しかし当時既にアメリカ空軍が、セージグリーンとエアフォースブルーを基調としたシンボルカラーに変更されていましたね。
これを見た航空自衛隊は、作業服を陸上自衛隊採用のシャツタイプに変更、生地の色調をセージグリーンに似たグレイに変更、航空服(フライトジャケット)を紺色に変更したのでした。
凄いですね。まったくの「サル真似」そのものです。
(お猿さんに失礼ですが…。)
当時の偉〜い方々は戦闘機や地対空ミサイル、そしてレーダーなどの正面装備を整えるのに一生懸命で、個人装備まで目が行き届かなかったのでしょうか?
(驚くことに野戦用の雨具は皆無で、個人戦闘用としては制服の雨衣(紺色)を使用するという支離滅裂ぶりでした。)
何を考えていたのでしょうね。
結局グレイの作業服は制電繊維が加えられるなどマイナーチェンジをして、1960年から1990年代の、なんと約30年以上も使用されたのでした。
そして1990年代末に、全く何の前触れもなく新しい作業服が開発・支給されました。
それが今回のモデルです。
さて、グレイタイプの作業服と何が変わったのでしょうか?
そして航空自衛隊のオリジナル性はどのくらいなのでしょうか?
今回は航空自衛隊マニアのあなたと一緒に、確認していきましょう!
2 全体及び細部写真です!
上衣
前面
襟元のダットファスナーが目をひきますね。
背面
裾のデザインが前作からやや変わっていますが、同じシャツタイプです。
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーと2個の ダットファスナーです。
いずれもプラスティック製なので、アイロンで溶けてしまう場合もありました。
(アイロンの温度が「中」なら大丈夫でしたよ。)
サイズスタンプ
タグ
襟は ダットファスナーを留めると通常タイプの襟になります。
でも、スタンドカラー(立ち襟)にはなりません。
(冬は、作業服外衣(ジャンパー)を着用しました。なら最初から解禁でも良かったのでは?)
航空自衛隊伝統のショルダーループ
頑にエポレットは使用せず。
胸ポケット
デザインは、グレイ系作業服の形状を継承
二枚のマジックテープで開閉
脇の通気孔は廃止されています。
左袖のペンポケット
袖もグレイ系作業服を継承
マチ付き、マジックテープで開閉
背中は二つの部品で構成
ジッパーは勿論「YKK」
下衣
前面
腰の左右にはスラントポケットがあります。
(腰パッチポケットは廃止されていますね。)
ベルトループは、伝統の幅広タイプです。
背面
代わりに臀部にポケットが設けられていますね。
まるでアメリカ軍ユーティリティトラウザースのようなデザインです。
前面裏側
背面裏側
前合わせはジッパーとマジックテープです。
臀部には2個のポケット
サイズスタンプ
タグ
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3 その特徴とは?
生地はツイルですがカラーがグレイからグリーン(濃緑色陸軍機用?)に変更されています。
デザインは、上衣は基本的にグレイタイプと大きく変わりません。
2ポケットのシャツタイプですが、襟元にダットファスナーが追加されています。
一方下衣は、アメリカ軍のユーティリティートラウザーズを参考にしているようです。
腰左右にスラントポケットと臀部に2ポケットなのですが、伝統の膝ポケットは省略されていますね。
航空自衛隊伝統のジャケット右肩のループはしっかり継承されていますね。
全体的な縫製は、とても正確かつ丁寧で、日本製らしい上質な仕立てです。
4 製造とサイズのデータです!
製造・契約年度 1999年
製造場所 日本
契約会社 日本
製造会社 〃
材 質 コットン
ビニロン
表記サイズ 3A
(日本人のL)
各部のサイズ(平置)
上衣
着丈 約83cm
肩幅 約45cm
身幅 約57cm
袖丈 約60cm
下衣
ウエスト 約44cm
股上 約32cm
股下 約77cm
着丈 約107cm
裾幅 約23cm
状 態 デッドストック
官民区分 官給品
入手場所 東京のイベント
入手難易度 3(困難)
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5 まとめ
航空自衛隊が参考にしたアメリカ軍は、朝鮮戦争やベトナム戦争の戦訓から、1960年代に地上員はOG(オリーブグリーン)系に、パイロット装備はセージグリーン系に色調が変更されました。
皮肉なことに、ちょうど航空自衛隊がグレイタイプの作業服を採用した時期ですね。
1980年代に航空自衛隊で、高級幹部の方が仰っていました。それは…
「現在のアメリカ空軍は、10年後の航空自衛隊だ!」
でした。
…いえいえ、個人装備は30年以上は遅れていましたよ。
一時が万事この調子だったので、しわ寄せは全て末端の隊員に掛かってきました。
長い期間劣悪な装備で苦しんだ隊員は、本当に可哀想ですね。
でも、新しい作業服が支給される…という情報は、当初吉報として受け入れられました。
それだけグレイの作業服は、隊員によく思われていなかったのですね。
果たして、待ち望んだ新しい作業服は、カラーは米軍の真似、デザインは前作とあまり変わらないものでした。
これはショックでしたね。
何故なら、1990年当時のアメリカ軍は、全軍(陸、海、空軍と海兵隊)統一のウッドランド迷彩服が支給完了していたからです。
航空自衛隊にも存在した、けっして少なくない数の隊員が、「またアメリカ軍の真似か…。」と酷く落胆したものです。
時代の趨勢に目を背け、自分たちの狭い視野の中だけで製造される装備は、ただの自己満足装備であり、実用には適していない場合が多いですね。
過去にそんな装備を支給した他国の軍隊は、勝敗を決する戦いでことごとく敗北しているのは歴史が証明している通りです。
(航空自衛隊を表す言葉で「勇猛果敢、支離滅裂」というのがあります。どうやら「勇猛果敢」は末端の隊員、「支離滅裂」は高級幹部に掛かってくる言葉のようですね。)
幸いにも、今回のモデルの次に採用されたデジタル迷彩作業服は、パターンもデザインもアメリカ空軍とは違ったものになっています。
何かが航空自衛隊の中で変わったのでしょうか?
いえ、変わってきたと信じたいですね。
これからの航空自衛隊に期待したいです。
(宇宙関係の部隊もできましたしね!)
今回は、航空自衛隊のちょっと懐かしい作業服を分析しました。
いやー自衛隊装備品って、本当に素晴らしいですね?
それでは、また次回をお楽しみに!
(20231105更新)
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参考:
航空自衛隊の歴代作業服はこちらです。⬇︎
今回モデルの後に採用された作業服に関する記事はこちらです。⬇︎
航空自衛隊の他の迷彩服に関する記事はこちらです。⬇︎
今回のモデルが支給され始めた時期のアメリカ軍迷彩服はこちらです。⬇︎
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読んでいただき、ありがとうございました。
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